表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の槍は砕けない ~一章終盤で死亡する序盤無双キャラに転生したハードコアゲーマーは超効率プレイで生き延びる~  作者: 新人@コミカライズ連載中
第一章:第一章を乗り越えろ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/121

第41話:R18指定

「……はぁ?」

「はぁ、じゃないですよ! 今、しっかりと間違いなく一撃を入れましたよね!?」

「ああ、まあ……」


 突然の気の抜けたやり取りに戦闘のボルテージが下がると、殴られた右頬がじんじんと痛んできた。


「じゃあ、勝負は俺の勝ちってことですよね!?」

「勝負……?」

「期限内に隊長に一発入れられるかって勝負ですよ! まさか忘れたとは言わせませんよ!?」

「いや、覚えてるけど……」


 本当は忘れかけていた。


 正規のストーリーから外れて負けヒロインのミアとフラグを立てやがったことを逆手に取ってこいつを焚きつけるために仕掛けた勝負。


 キナリ雪原に放り込めた時点で俺としてはその結果はどうでもよかったのだが、こいつに取ってはよほど重要なことだったらしい。


 ミアを取られんとするためだけにレベルを40超まで上げて特殊クラスを習得し、自力で帰ってくるとは恐れ入った。


「それじゃあ約束通り、ミアは――」

「カイル! カイル!」


 想定を越えた出来事に困惑していると、ミアが戦いを終えた俺たちの下へと駆け寄ってきた。


 目に涙を浮かべて幼馴染の生存を喜んでいる。


「ミア! 見てたか!? 俺、隊長に勝ったぞ!」


 ミアの両肩に手を置いてはしゃいでいるカイル。


 ……何かムカつく。


 ちょっと油断してただけで本気を出せばまだまだ負ける気はしないんだが。


 そもそも一発入れたら勝ちってのがお前に有利すぎただけで、俺は全然負けたとか思ってないけどな。


 俺は大人だから花を持たせてやっただけで、何なら今から続きをやっても俺は全然大丈夫だぞ。


「うん見てたよ! すごく強かった! でも私、カイルなら絶対に出来るって信じ――」

「ミア、好きだ!」


 大人気なく心の中で毒づいていると、カイルがいきなり告白した。


「……え?」


 告白を受けたミアは元から丸々としたキュートな目を更に丸く見開いて驚愕している。


 俺もびっくりした。


 だって、俺の知ってるカイルといえば恋愛には非常に奥手で本編でも終章までレイアに想いを伝えきれずに煮え切らない態度を取り続ける男だ。


 こんな段階で異性に愛の告白なんて解釈違い以外の何物でもない。


「向こうでずっと……ずっとお前のことばっかり考えてた……。またお前のおむすびが食べたい、お前に会いたいって……。その一心だけで俺は強くなって、ここに生きて帰って来られた……」

「えっ……えっ……」


 睦言を囁きながらカイルはミアの華奢な身体を目いっぱいに強く抱きしめている。


 こういう時に俺はどういう体勢で見てればいいんだろう……。


 腕を組んで後方師匠面でもしていればいいのか? いや、何か違う気がする。


「それで気がついたんだ。俺がお前を守りたいのはただ約束したからじゃなくて……お前が好きだからなんだって」

「ちょ、ちょっとカイル……きゅ、急にそんなこと言われ――んっ!」


 気持ちを抑えきれなくなったのか、カイルはそのままミアの唇を奪った。


 それも貪り喰らうように濃厚な感じで。


「好きだ! ミア、好きだ!」


 十日前とはまるで別人のようにミアを情熱的に求めるカイル。


 その変貌っぷりを見て、隣ではアカツキも『うわっ……すご……』っと喫驚している。


「私も……私も好き……カイルのことがずっと好きだった……んっ……」


 最初は僅かな抵抗を示していたミアもすぐに受け入れてカイルを抱きしめ返す。


「俺もだ。もう絶対に離さない。お前が側に居てくれれば俺はそれだけでいい」

「うん、ずっと側にいて……好き……大好き……」


 俺たちが見ていることなんてもはや気にも留めずに強く求め合う二人。


 嫉妬の感情を焚き付けて主人公を強くしよう作戦は少々効きすぎてしまったらしい。


 もうZ指定どころかR18指定に片足を突っ込んでいる。


 このままおっ始めるのも時間の問題だ。


「……さて、後は若い二人に任せて俺たちは明日に備えて寝るか」

「そうね……」


 陶然とした表情で見つめ合う二人に背を向けて隊舎へと戻っていく。


 背後では依然として二人が熱く口づけし合う音が鳴っている。


 この後どうなったのかは神のみぞ知ればいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんで主人公が子供みたいになってるんだよw 誰もシルバよりカイルの方が強いなんて言ってないだろ 今回は主人公にいいところがないな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ