02 メリルさん
長々と語っちゃいましたが、目下の問題は、リグラルト王国からの式典出席依頼。
実はまだまだ、この世界の地理や社会情勢に疎い俺。
どれ、こういう事は、我が家の生き字引ことメリルさんに尋ねるのが正解。
「リグラルト王国のヴェルクリといえば、セシエラさんがお住まいの街です」
ありがとう、メリルさん。
とても素晴らしい情報に、
俺、いきなりやる気が過充電。
セシエラさんと言えば、友人のモノカさんのお知り合いで、メリルさんとも大の仲良し。
お作法・マナーの達人で、お偉い貴族様方へ教授しちゃうほどの講師にして先生。
そして何より重要なことは、王族と見紛うほどのエレガント系美人さん。
そのあふれる気品と柔らかな女性らしさは、まさにフェミニンの達人。
つまり、俺の中の『モンスター』も大絶賛な魅惑の貴婦人なのですよ。
合法的にセシエラさんに会える依頼とは、何という神の采配、
この機会、断じて逃すべからず。
「……」
ふと気付くと、メリルさんから、いつもの視線。
「程々に、なさいませ」
ありがとうございます、メリルさん。
その視線こそが、『モンスター』への何よりのご褒美にしてご馳走。
では早速、出席のお返事でも。