14 秘密
最初に口を開いたのは、リリシア。
「経緯は良く分かったのだが、マリエレンさんの相談内容が、良く分からんのだが」
この世界の女性って『乙女の純潔の誓い』を大切にしているだろ。
それは良い事なんだろうけど、なんだか再婚の足かせにもなっているんじゃないかなって、俺は思うんだ。
ちゃんとふたりが想い合っての再婚だったら、不倫とか浮気とかじゃないんだから、喜ぶべき事だと思うんだけど。
マリエレンさんもそれで悩んでたんだけど、俺の話しを聞いて、いろいろと考えてくれたみたいだよ。
でもこういう考えって、やっぱり俺があっちの世界から来た男だからかな。
妻一同、それぞれ、思案顔。
「私もあっちから来たんだけど、それはそれとして、マリエレンさんには幸せになってほしいって感じかな」
うん、それで良いと思うよ、マユリ。
っていうか、最優先事項は正にそれ、だろ。
「セルジェさんはお若いですが、とても誠実で優しい方だと、私は確信しております」
そうだね、ユイ。
まだ人前では会わないようにしているそうだけど、一緒にいる姿を見ると、びっくりするくらいにお似合いのふたりだよ。
って、セルジェ君ってユイより年上なんだけど、お若いって。
「噂に踊らされるなんて、私たちもまだまだね」
本当にそうだよ、ハルミスタ。
まあ、今回の件は、秘密にしていた俺も悪いんだけどさ。
でも、もう少し、その、夫への信頼というか、なんというか……
「私は最初っから、アランさまを信じていましたっ、ですよぅ」
ありがとう、ニエル。
呼び方がご主人さまとかアランさまとか変わるみたいに、なんだか意見もころころ変わるけど、いつも変わらない真っ直ぐな態度でいてくれて嬉しいよ。
それと、みんなはくれぐれも、今回の件は秘密にしてくれよ。
あのふたりがどうするかを決めるのは本人たちだけなんだから、秘密が漏れて外野が騒ぎ出したり、お貴族さまたちが揉めちゃうのだけは、絶対勘弁な。
みんな、うなずいてくれました。
「秘密と言えば、そろそろお披露目の時間では」
お披露目ってなんですか、メリルさん。




