12 噂
マリエレンさんの雑貨屋さんで、お昼をご馳走になりながら歓談。
とても有意義な時間を過ごせました。
『未亡人』の癒しパワー、正に無限大。
今日という一日に、感謝を。
楽しい時間は飛ぶように過ぎて、
そんなこんなでもうすぐ三時、
いそいそと、自宅へ。
我が家へ戻ると、
おや、空気が……重っ。
何事ですか、これ。
「楽しかったか、アラン」
リリシアが、本気の守護騎士状態、
どうした、リリシアッ、何があったんだ。
「自分の胸に聞いてくださいっ」
マユリの目が、泣き腫らしたように、
何があったんだよ、マユリッ。
「…………」
ユイが無言で見つめてくるけど、その目はうつろ、
本当にどうしちゃったんだよ、ユイッ。
「今まで、商店街で、何を……」
ハルミスタが、言葉を詰まらせて、
だから、どうしちゃったんだよ、みんなっ。
「ひどいですよぅご主人さま、こんなに素敵な奥さまたちがありながら、よもや人妻と……」
待てっ、ニエルッ、何だそれっ。
俺がいつ人妻なんかと、
って、あれ?
もしかして、マリエレンさん?
「もしかしなくてもですよぅ」
いや待て、
待て待て待て、
どっからそんなフェイク情報が、
「ついさっき、レバンナさんが……」
ははあ、なるほど、
あのスピーカーおばさんかよ。
古道具屋のレバンナさん、
悪い人では無いけれど、三度のお茶の時間よりもうわさ話が大好き、
俺がマリエレンさんの雑貨屋でお昼していたのを、
尾ひれを盛大につけて拡散中、と。
オッケー分かった、
今こそ、秘密暴露の覚悟が必要だぞ、俺。




