9月20日 運命の日
今日は、私たちにとって、運命の日であった。久しぶりに5人で集まるということもあり、少し緊張で上手く勉強がはかどらないでいた。
優衣、真波、実咲、陽菜乃と私の5人が集まるのは、中学校の卒業式以来だ。特に、実咲や陽菜乃は、住んでいる地域も通っている学校も遠いため、なかなか会う機会が少ない。そんな中、来てくれることになったのは本当にうれしかった。
私は、集合場所であったイタリアのお店に着いた。店員に予約の名前を伝えると、テーブルに案内された。テーブルには、一番早く到着していた陽菜乃がいた。
髪はポニーテルに結び、今流行りのまるぶちのメガネをかけていた。中学生の頃と比べると、随分大人っぽくなった印象をうけた。
私 「久しぶりー」
陽菜乃「久しぶりだね。体調どう?」
陽菜乃は、落ち着いた口調で答えてくれた。
私 「ボチボチかな」
陽菜乃「そっかぁー」
私 「志望校は、決めたの?」
私は、話題を変えた。
陽菜乃「うん。一応、東京の大学行く予定」
私 「東京行くんだぁ。スゴイね」
陽菜乃「全然スゴくないよ。行くの迷ってるくらいだし」
私 「なんで?」
陽菜乃「実はさ、お姉ちゃんがね」
陽菜乃から、身内のことを聞くのは初めてだった。
私 「お姉ちゃんがどうかしたの?」
陽菜乃「今、お姉ちゃん、大学やめてからずっと家にいて大変なんだよね」
私 「そうだったんだ」
陽菜乃「だから、このまま大学行くか迷うんだよね」
私 「聞いていいかわからないけど、なんで大学やめたの?」
私は、少し目線をそらした。
陽菜乃「私もよくわからないけど、なんか面白くなかったみたい」
私 「陽菜乃のお姉ちゃんって、聖徳高校だよね?」
陽菜乃「うん。会ったことある?」
私 「私は、ないな。もしかしたら、優衣とか真波だったら知ってるかもだけど」
陽菜乃と、ここまで深く話をしたのは、初めてだった。中学校の時は、いつも5人で行動していたこともあり、二人で話す機会すらあまりなかった。
陽菜乃の横には、常に"実咲"という存在がいたことも大きかったのかもしれない。実咲が太陽であれば、陽菜乃は、陰みたいなところもあり、どうしても小さく見えてしまっていた。実咲は、中学生時代から派手で、周りには多くの友だちがいた。一方、実咲はおとなしい性格もあり、一人でいることが多く、"陰キャ"的な扱いだったのかもしれない。
優衣 「何の話ー?」
私たちが、話に熱中している間に優衣がやってきた。