12月2日 ゲーム
いつものようにラジオをつけながら、私は勉強をしていた。ラクユーのラジオには、以前出演していたはずの堀隆史が再び来ていたのだ。ラクユーと堀は二回目の共演とは思えないくらいスムーズに話をしている。さすがだなぁ。まだ、朝ということもありリアルタイムではないだろうな。朝のラジオは、部屋を薄い光で満たす。外は、冬の風が吹きさらしており、窓ガラスに浮かぶ霜は音もなく語っているようだ。ラクユーたちの声は、ゆっくりとした息づかいを引き連れて流れ、喋り言葉のリズムだけが時刻を刻んでいく。まだ、5時30分ということもあり朝からコーヒーを作り机の上に置いていた。時折冷えると、コーヒーが入ったコップを手に持ち温める。部屋の中は、コーヒーの香りが漂っている。ゲストの堀隆史の声が少しの間、波のように引いてまた寄せる。間合いを測る沈黙があると、部屋にある時計の音が鳴り響く。どうやら、番組は終盤に近づいており、エンディングの音楽が流れていた。部屋の空気が一段と柔らかくなり、音楽が小さく落ちていく。
ーラジオ番組ー
ラクユー「じゃあ、今度来てくださいよ」
堀隆史 「いいですよ、もちろん」
ラクユー「ホントですかぁ?」
堀隆史 「もちろんです。住所教えてください」
ラクユー「こんなところで言えるわけないじゃないですかぁ」
スマホから大きな笑い声が聞こえてくる。
堀隆史 「家に言ったら、何できますか?」
ラクユー「ゲームしましょうよ」
堀隆史 「ゲームいいですねぇ」
この人たちって、もう30代だよな。それなのに、家でゲームするのかぁ。意外だな。
ラクユー「カラオケしますか?」
堀隆史 「いいですよ」
いいな。生で聴けるの。
ラクユー「生で歌聴けるの嬉しいですね」
堀隆史 「そうですか?」
ラクユー「歌う側だったら、あんまり感じないのかもしれないですね」
堀隆史 「いやー、そうなんですよね」
やっぱり、そういうモノなんだ。シンガーソングライターがどんなことを考えているかなんてわからないもんな。
ラクユー「やっぱり、よく言われますか?」
堀隆史 「歌ってとかはよくありますね」
ラクユー「その時、どんな気持ちなんですか?」
堀隆史 「そんな何とも思わないですよ」
放送終了のブザーが鳴り、スマホの音はだんだん小さくなっていく。残ったの部屋の静けさとコーヒーの香りだけだった。




