11月22日 料理屋けんしん
葵 「バイト?」
私 「うん」
思っていたほど驚くことはなかった。まぁ、世間一般的に見れば高校3年生でバイトをしている人なんて山のようにいるもんな。
葵 「体調大丈夫なの?」
私 「そればっかりは、わからないかな」
今日の体調は悪くない。ただ、明日はどうかわからない。それが一番の不安だった。
葵 「そっかぁ。でも、お姉ちゃんが決めたのならやってみたらいいんじゃないの?」
私 「でも、どんなバイトがいいのかな?」
自分の中では決まっていた。ただ、葵がどう考えるかは聞きたかった。それは、妹という観点からではなく、同じ女性という立場からどう思うのか。
葵 「やっぱり飲食店かな?」
私 「ああ、飲食店は多いよね」
やっぱり姉妹だな。正直、葵もそう言うだろうなと思っていた。ただ、飲食店に行きたいという理由はなかった。私は、チェーン店ではなく個人経営という理由からこの店を選んだのだった。
葵 「どうするの?」
私 「一応1つ受けたいところがあるの」
葵 「どんなとこ?」
食い気味に私の話を聞いてくる。いつも話をしている数倍興味があるみたいだ。
私 「"料理屋けんしん"ってところ」
葵 「何それ、知らないな」
私 「そうだよね」
私も葵と全く同じ反応だった。初めてネットで見た時、こんな店あったっけ?となった。
葵 「有名なの?」
私 「私も知らなかったから詳しいことはわからないけどね」
葵 「だよね」
このまま、病気が治ったらな。今の状態を持続できたらな。ありえないことを願ってしまう自分がいる。
私 「だから、12月の最初の方に行くよ」
葵 「お母さんはどうするの?」
私 「どうしようかな?」
まだ、それは考えていなかった。正直、お母さんやお父さんたちがどんな反応をするのかもよめない。
葵 「ちゃんと言わないと心配するよ」
私 「そうだよね」
葵 「でも、バイトすることには否定しないんじゃない?」
私 「そうだといいけど」
なぜ否定しないと思うのか私は疑問だった。
葵 「心配なの?」
私 「まぁ、病気なってからあんまり仲良くないからね」
葵 「大丈夫だよ、お姉ちゃんなら」
なぜか、葵は私をたててくれた。嬉しいような申し訳ないような気持ちになっていた。




