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9月17日 五十嵐実咲

 実咲から連絡が来たのは、次の日の朝10時だった。優衣と真波の件を伝え、今日一緒に話をしたいことが書かれていた。

 おそらく、登校前に連絡をしてきたのだろう。所々、変換ミスの文字があった。実咲は、准南高校に通っている。准南高校は、八代駅から30分ほどかかる。そのため、朝は、いつも忙しいことを教えてくれたのを覚えている。

 八代市の中学生は、7つほどの高校から進学先を選ぶことになる。優衣や真波が通う聖徳高校は、市立で一番賢い高校になる。中学生の中でも、上位の学習成績が必要となる。

 陽菜乃が進学した海美高校には、特別クラスがある。高校1年生から、大学受験を目指した特別なカリキュラムがしかれている。学力成績は、聖徳高校よりもさらに高いものが必要となる。

 そして、実咲が進学した准南高校は、聖徳高校より学力成績が低い高校になる。しかし、高校設立が、3年前ということもあり、校舎がキレイで制服も可愛かった。そのため、女子中学生から、人気を集めていた。

 実咲は、聖徳高校にいける学力は、あったが、制服が可愛いといった理由で、准南高校を選んだ。


 〈高校〉

  ・聖徳高校 八代市 市立

  ・八代高校 八代市 市立

  ・守山高校 八代市 市立

  ・多田高校 佐田市 市立

  ・佐田高校 佐田市 市立

  ・准南高校 佐田市 市立

  ・海美高校 河原市 私立

 

 実咲と初めて出会ったのは、中学2年生の時だ。当時、私が通っていた「学修館」という塾に入ってきた。当時から、実咲は、人懐っこい生活でみんなから愛されていた。

 実咲は、入塾してまもなかったが、優衣や真波と話しているところに、躊躇なく入ってきたのを覚えている。中学校が違ったが、毎日のように連絡をくれた。私が病気になって学校や塾に行けなくなってもやりとりは続いていた。

 私は、実咲と18時にハンバーグ屋さんのマクドニルドに待ち合わせをした。マクドニルドは、電車から降りてすぐのところにあったため、実咲は、17時45分に来た。スクールカバンを背負いながら、私のところへ近づいてきた。


 私 「久しぶり」

 実咲「久しぶり、元気?」

 私 「うん、なんとかね」


 少し、眉間にシワを寄せながら聞いた。


 実咲「リハビリは?」

 私 「前より、できるようになったことが増えたよ」

 実咲「そっかぁ。今は、どこの病院にいるの?」

 私 「今は、佐田駅の近くにある佐田記念病院ってところ」

 実咲「リハビリは、どんなことするの?」

 私 「筋トレが多いよ」

 実咲「そうなんだ。他に何かしてるの?」

 私 「手術直後は、歩行トレーニングとかスプーンとかお箸とかの微細運動もしてるよ」

 実咲「全部できるようになったんだね」

 私 「そうね。最初は、手術前と同じようにいくか心配だったけど。3ヶ月もすると、生活に不自由はなくなってきたかな。

 実咲「そうなんだ。よかったー」


 クシャと笑った実咲の姿は、昔と変わらなかった。


 私 「実咲は、優衣とか真波と連絡とってる?」

 実咲「時々かな?どっちかと言うと真波の方がとってるかも」


 実咲から、意外な返事が返ってきた。


 私 「真波の方が連絡とってるの?」

 実咲「うん。おかしい?」

 私 「おかしくないけど、なんか意外」

 実咲「そう?」

 私 「うん。真波って、連絡すぐ返ってこないイメージあったから」

 実咲「返ってこないよ」

 私 「返ってこないんかい」


 実咲は、真面目な顔をしながら、真波について教えてくれた。


 実咲「でも、真波は連絡したくないわけじゃないよ」

 私 「そうなの?」

 実咲「そうそう。真波は、不器用なの」

 私 「不器用なの?」

 実咲「ホントはさ、もっと思ったことをいいたいの。自分の気持ちを伝えたいの‥‥」

 私 「‥‥」

 実咲「でも、周りの期待に応えようと一生懸命なの。だから、しんどくなって、人との距離をとるの」

 私 「そうだったんだ。知らなかった」

 実咲「そりゃあ、なんでも思ったことをすぐに言ってしまう優衣とケンカになるよ」

 私 「真逆だもんね」

 実咲「まぁ、真波はクールすぎるんだけどね」


 実咲は、その後も、真波について熱く語ってくれたのだった。

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