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9月15日 田中優衣

 今日は、17時に優衣と会うことになっていた。優衣とは、田中優衣のことで、私と小学校、中学校が同じだった。小学4年生の時から中学一年生まで同じクラスで、会う機会が他の子と比べると多かった。

 最初は、あまり話さなかったが、小学6年生頃からよく話すようになった。優衣は、真っ直ぐな性格で正義感に溢れている子だった。しかし、真っ直ぐすぎるが故に、人とぶつかることも多かった。中学1年生の時には、いじめに合い、多くの友だちを失った。

 そんな絶望の状態に、手を差し伸べたのが私だったらしい。私は、いつもと変わらずに接していたこともあり、優衣は、嬉しかったらしい。

 最近は、真波に関する話が絶えない。どうやら、優衣は、真波と高校二年生の時に喧嘩をしてしまって以来、仲直りができていないらしい。なぜ、喧嘩になったのかも理解してないので、本当はそこについて聞く必要があった。

 しかし、優衣は、私に会うと、毎回どうすればよいかよく聞いてくる。そのたびに、問題の解決策を提示していた。

 優衣は、学校終わりということもあり制服姿で集合場所にやってきた。


 優衣「久しぶり」

 私 「久しぶりだね」

 優衣「まった?」

 私 「5分ほどだけ」


 優衣は、走ってきた様子だった。

 

 優衣「最近、どう?」

 私 「ぼちぼちかな。そっちは?」

 優衣「うん。受験勉強頑張ってる」

 私 「そっか。受験まで一年きったもんな」

 優衣「うん。ここから、どれだけ追いこめるか」

 私 「頑張れー。真波には、連絡した?」

 優衣「してるよ。けど、仲直りっていう感じじゃないかな」

 私 「優衣は、中学校の時、真波と仲良かった?」

 優衣「うーん。五人の中の一人って感じ」

 私 「真波って、あんまり心開かないよね」

 優衣「なんていうんやろ。私とタイプが違うんよね」


 優衣は、真波との違いを気にしていた。


 私 「優衣は、いっつもストレートすぎるよ。思ったことなんでも言ったらあかんよ」

 優衣「そうなんよね。でも、つい言っちゃうのよ」

 私 「真波とは、会わへんの?」

 優衣「学校では、時々顔合わすんやけど、話す感じにはならへんかな」

 私 「クラスも違うんやんな?」

 優衣「うん」

 私 「じゃあ、二人で会う約束したら?」

 優衣「今さら厳しいよ。喧嘩した当時やったらわかるけど」


 やはり、真波に対して抵抗があるようだ。


 私 「じゃあ‥‥。実咲とか陽菜乃とか入れて会ったら?」

 優衣「最近、実咲も陽菜乃も忙しいみたい」

 私 「優衣は、実咲か陽菜乃に会ってるの?」


 実咲は、宝徳寺学園高校。陽菜乃は、准南高校。二人とも、私たちが通う聖徳高校からは、30分ほど離れたところにあるのだ。


 優衣「いや、全然。実咲は、連絡とるけど。陽菜乃は、全く」

 私 「そっか。そっちも難しいかぁ」

 優衣「うん‥‥」

 私 「真波って、学校でどんな感じなの?」

 優衣「三年生になってからは一人でいるのよく見かけるけど、二年生の時は、友だちとよくいたかな」

 私 「そうなんや。真波は、優しいもんね」

 優衣「真波は、BIG3って言われてるんよ」

 私 「よく聞く。BIG3?」

 優衣「そうそう」

 私 「BIG3ってすごいな?」


 真波は、聖徳高校でBIG3と言われている。


 優衣「うん。可愛くて性格良くて成績優秀な3人が集まった三人のことを言うねん」

 私 「まぁ、優衣はBIG3って言われてもビックリはしないよね」

 優衣「それは、合ってる」

 私 「じゃあ、真波は学校で有名な感じ?」

 優衣「うん。たぶん、女子人気NO1ちゃうかな?」

 私 「そんな凄いの?」

 優衣「まぁ、私の意見やけど」

 私 「そんだけ凄いと、いろいろ話すのも難しそうやね。まずは、実咲呼んで三人で仲直りする作戦考えようよ」

 優衣「わかった」


 優衣としては、どうしても仲直りしたい様子だった。


 私 「そろそろ、18時なるけど大丈夫?」

 優衣「えっ、もうそんな時間?」

 私 「うん」

 優衣「そろそろ行かなきゃだ。もっと話たかった」


 優衣は、本当に寂しそうにしていた。

 

 私 「大丈夫やって。心配せんでも。私も体調が回復したら真波に会って、いろいろ伝えるから」

 優衣「ホント?」

 私 「うん。あんまり怒らんといてよ」

 優衣「うん、頑張る」


 そう言って、優衣は、リュックを背負った。


 優衣「じゃあ、行くね」

 私 「うん。また、連絡する」

 優衣「今日は、帰るね」

 私 「また、今度ー」

 優衣「うん、バイバイ」

 私 「バイバイ」

 

 優衣は、そう言って自転車置き場の方に向かった。久しぶりに優衣に出会って、昔の頃に戻れたような気がした。また、明日から‥‥。そんな気持ちで、ドアを開けたのだった。

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