9月30日 号泣
朝から、頭が痛い。全く起き上がることが難しい状態だった。私たち5人で集まった日から、早くも10日が経った。あれ以降、私は、誰とも連絡をとっていなかった。いつも連絡をくれる優衣も体調を気にしてくれる実咲からも。でも、どこかスッキリした自分もいた。あれから、ずっと集まらなかった私たちが、このタイミングで集まったのも何かの縁なのかもしれない。ましてや、あんな終わり方をしたのだから。
ー9月20日ー
目の前には、号泣している真波がいた。彼女は、ここにいる誰よりも強い。そんな彼女が崩れているのを見て、私たちは何もできないでいた。ルックス、賢さ、性格どれをとっても、彼女に敵うものはいなかった。そんな真波を見て、いつしか、私たちは"天才"と呼ぶようになっていた。
しかし、中学生の真波は、今ほど強くなかった。彼女の周りには多くの人がいるから、どうしても目立ってしまう。目立ってしまうが故に、彼女を敵とみなす者も少なからずいた。中3の頃は、真波と対立する女子グループもできるほどだ。でも、そんな時、優衣が先頭になって、彼女のことを守ってくれていた。
でも、守ってもらうことを彼女は、望んでなかったのかもしれない。一目置かれる存在だと、彼女自身もわかっていた。だから、そういう存在でないといけないと思いすぎていたのかもしれない。天才であるがこそ、彼女の不安を誰もが理解することは難しかった。そもそも、私たち5人の中にいることの方がおかしかったのかもしれない。
真波が泣き崩れてから、1分が経過した。席のとなりにいた実咲が肩をさするので精いっぱいだった。陽菜乃は、黙りこみ、真波を見つめる。私は、無理に明るく振る舞い、店員さんに追加のオーダーを頼んだ。
そんな私たちとは、正反対だったのが優衣だった。真波が泣き崩れて、すぐに機嫌が悪くなった。最初は、真波の方を見つめていたが、徐々に視線をそらせていった。私たちは、真波がもとのテンションに戻るのを待っていたが、すぐにとはいかないようだった。そんな、真波に優衣は呆れてしまったのか、何やらカバンから財布を取り出した。そして、自分が食べた分であろう費用を机に置いて、席を立ったのだった。私が声をかけるも、無視。どんどん、彼女の背中は遠くなっていく。私たち、5人が5人でいれるのも今日、限りなのだろうと脳裏をよぎってしまっていた。




