9月12日 ラジオ
今日も昨日と同じ景色だ。多少、雲が多い様にも感じるがそこまで変化はないだろう。
私の目の前には、4人の笑っている友だちがいた。優衣、真波、陽菜乃、実咲。高校一年生ぐらいまでは会うこともあったが、ここ二年ほど会っていない。みんなは、どうしているだろう?目の前に飾られた写真を見ていると、そんなことを考えていた。時刻は、7時20分。私は、学校に行ってないのでこの時間に起きる必要はない。ただ、私が部屋にいると家族が心配するから、二階の部屋からでてきて、一階のリビングで朝食をとるようにしている。
午前10時。この時間から、私のお気に入りのラジオが始まる。今日のゲストは、シンガーソングライター「堀隆史」だった。いつものように、スマートフォンを机の上に置き、ラジオに耳を傾けた。
ーラジオ番組ー
司会「さぁ、始まりました。ラクユーのテンオクロック。今日のゲストは、堀隆史さんです。よろしくお願いします」
堀 「よろしくお願いします」
司会「はじめましてですよね?」
堀 「はい、はじめましてです。でも、いつもラジオ聴かせてもらってます」
司会「嬉しいねぇ。普段、この時間は、何してることが多いですか?」
堀「そうですね。基本は、作曲作りや歌の練習、ライブの打ち合わせとか音楽関係の仕事をしていますかね」
司会「なるほど。今日は、堀さんについて、いろいろお聞きしていってもよろしいですか?」
堀 「はい」
どうやら、今日のラジオ内容は、シンガーソングライターの堀隆史の深掘りのようだ。
司会「まずは、簡単に堀さんのことについてご紹介しますね。えっーと、堀さんは、宮城県出身、35歳のシンガーソングライター。代表曲には、アニメの主題歌にもなった『紅の器』、ドラマの主題歌『with』、そして今年一月に作曲された『本当は』が大ヒットされております。そんな、堀さんについて今日は、いろいろお聞きしていきます。」
堀隆史の有名曲が紹介された。私は、『虹の器』という曲が一番好きだった。この曲は、応援ソングで堀隆史の曲の中で一番最初にヒットした曲だった。
司会「では、早速いきましょう。ラクユーのクエスチョンタイム!!」
このコーナーは、司会者であるラクユーがゲストにリスナーからの意見をもとに質問するコーナーである。
司会「では、最初に音楽活動に関しては、どのようなことを意識されていますか?」
堀 「そうですね。一番は、自分や他人の思いを表現して誰かに伝わればいいなという思いを背負って活動することを意識しています」
司会「なるほど。以前、堀さんと同業者のDEFさんが来られた時に同じ質問をしました。DEFさんは、『他人ではなく、自分のために歌っている』と仰っていました。一見、言葉だけを聞くと、堀さんの考えと真逆のイメージにも感じますが、そのあたりは、どうお考えですか?」
堀 「うーん、どうなんですかね。DEFさんは、そのように答えられたのかもしれませんが、同じ歌番組に出演した際は、自分のために歌われているような感じは一切感じられませんでした。私の解釈ですが、DEFさんは、自分のために歌うことがだれかのためになると考えておられるのかなと思います」
司会「確かにそうですね。私も、一緒にお話しをさせていただきましたが、とても優しい方で、番組を盛り上げてくださいましたね」
堀 「そうなんですよ。優しさと強さを兼ね備えた方で、本当に尊敬します」
堀隆史の真っ直ぐな思いがスマートフォンごしに伝わってきた。
司会「なるほど。では、次の質問に参りたいと思います。今度の質問は、プライベートのことになりますが、大丈夫ですか?」
堀 「はい、大丈夫ですよ」
司会「お休みの日は、どのようなことをされていますか?」
堀 「そうですね。最近、結婚しましたので、家のことをすることが多くなりましたね」
司会「そうでしたね。結婚発表の時は、周りの方が驚かれたんじゃないですか?」
堀 「そうですね。なかなか、公表できなかったので、世間だけでなく、私の周りの人の反響も大きかったですね」
堀隆史は、最近、舞台女優の人と結婚をした。
司会「私も、インターネットの情報で知ったのですが、まさかという驚きがありましたね」
堀 「少し、驚かせちゃいましたかね」
司会「どうでしょうね。ただ、サプライズも必要ですからね。では、続いての質問に参りたいと思います。堀さんのヒット曲『本当は‥』は、どういう想いをこめられて作られたのでしょうか?」
堀 「そうですね。この曲自体は、一年ほど前にできあがっていました。ただ、歌詞と自分の想いと差があって、歌うことはありませんでした。ただ、昨年の秋頃に、歌詞を変えたところ自分の想いと一致したため、歌うことになりました」
司会「そういう経緯があったんですね。ちなみにこの曲は、応援ソングだと公表されていると思うのですが、二番のサビまでは、ゆったりとしたリズムでせつなさのようなものを表現されていると私は、思うのですが実際は、どのような想いがこめられているのでしょうか?」
堀 「ラクさんのおっしゃる通りで、せつなさを中心とした想いを表現しつつ、そこからどの様に立ち直るのかというメッセージをこめています」
『本当は‥』は、私が好きな『虹の器』以来の4年ぶりの応援ソングだった。
司会「では、ここで一曲はさみたいと思います。曲は、堀さんの大ヒット曲、『本当は‥』です。どうぞ」
スマートフォンから、ゆったりとしたリズムではじまるリアルな歌詞が響いていく。私は、5月に手術をした身体に手をあてながら聴いていた。
あの日から、約4ヶ月が経とうとしていた。上手く言えないけど、「これでよかったのか?」と毎日自問自答しているのだった。
那奈がいなくなった7月から、病院でリハビリを開始していた。現在は、家にいながら、リハビリをすることも可能になった。今は、ひたすら優衣や真波の写真の前でリハビリを行うことが多かった。