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魔法剣士ヴィーシャの異世界珍道記  作者: ターンアウトエンド
第一章 ヴィーシャ、異世界に立つ
3/3

第一話

サボる、と言う行為の何と魅力的なことか。


本来やるべき事を無視する背徳感、


皆がやっていない事を自分だけが行っている優越感、


そして何より、縛られる物から解き放たれた解放感は









「ヴィー、そこに居るんでしょう!?出てきなさい!!」






…しばしば現実を忘れさせてくれる。




勘弁してくれぇ…











私が()を思い出してから、2年の月日が流れた。





あの儚げで、健気な少女は2年でヤンチャなクソガキになりました。




いや、此れには理由があるのです。


私もね、親の空気を読んで迷惑を掛けないお利口な子供を演じようと思ってたのよ。


6歳も暫く過ぎるとね、やっぱり白人系の人種は成長が早い。

身長もそこそこ延びて、着るものの見映えがとれるようになると、貴族の義務みたいなものを履行しなければいけなくなった。


パーティーと言うやつですね。


夜会はまだ子供には早いけど、ティーパーティー、お茶会なんてサバトには参加させられてしまうのだ。


ただ茶をしばくだけなら私も厭は無い。


しかし、



貴族のお茶会がただの茶飲み会な訳がない。



男性も参加するお茶会もあるが、基本は女性オンリー。

話す内容は、家や自分の最近有った話。



要約すれば情報交換会。


()()()な、と言う注釈が付くよ!





うふふ、わたくしの実家で最近新しい布を取り扱いましたの。

え、お知りにならない?

王族の方々にもお気に召して頂きましたのよ。

緑色がお勧めでしてよ、あなたの旦那様の領地とも…合いましてよ?



ごめん遊ばせ。

今回の御茶会では当家が用意させて頂いた最高級の茶葉を御賞味くださいな。

王家の御茶会でも披露させて頂いたのですわ。

皆様に喜んでいただいて、特に王太孫殿下には大変好評でしたわ。

…ええ、王太孫殿下は大変可愛らしくて、確かレオナルド様とは二つ違いでらして?

まぁ!、あなたは王家の御茶会には参加されたことが有りませんこと?

くすっ、ご主人の爵位では仕方の無いことかもしれませんわね。



あら、誰かと思いましたら、モグラ擬きのコンラート家の方じゃないかしら。土の中から良く今回の御茶会が分かりましたわね?


っな!なんて下品なっ!誰が馬糞ですか!

当家は王家にも馬を納める由緒正しき生産地でしてよ!

あなたの家のような成り上がりとは違いますの!

燃える石が出たからと領民総出で土を掘るなんて、貴族としての自覚が足りないんじゃ無いかしら?

っ!

だから馬糞呼ばわりは止めなさい!!

っく、臭いなどしませんわ!香水は関係ありません!

ちょ、どうしてわたくしを引っ張るのですか!?

解りましたから離してくださ、

あ、ちょっ…












例に出すとこんな感じ。


おおよそ、こう言った鞘当て(?)が頻繁に行われてたりする。

子供はそれを見て派閥と自慢と嫌みを学ぶ訳で。


なんと教育に悪い。



子供同士も見様見真似で自慢と嫌みを交わす場面もちらほら。

もちろん私の方にも来るがね、基本は流している。


何より、うちの家があまり高位の貴族と言うわけではないから、正面切って受けて立つのも面倒なんだよなぁ。



うちの父は法衣の子爵家で、派閥としては税務部の集団になる。

一応、父が派閥の長なんだが、土地持ちの拝領貴族が自派閥に居ないこともあって、公共事業管理部の一派と並んで弱小派閥である。


子爵なら金持っているだろうと思うけど。私も思うけど。


派閥の長としては夜会やら寄親への付け届けやらと、支出が多いくせに領地を持たないから収入が限られてる所為もあって、家に残る金はそう多くない様だ。



そんなこんなで。


御茶会に出てもサンドバッグが如く言われるだけなので、参加するようになって暫くして、私はサボる様になった。


一緒に参加している母は、寄親の長である公爵夫人の取り巻きの一人として嫌み合戦に参戦している。


正直側にいるのも面倒だし詰まらないので、御茶会が開かれているだだっ広い庭の一角、景観を整える為の生け垣の中によく避難している。


割りと生け垣が高く、囲われている場所もあるので隠れるにはうってつけなのだ。


最近では牛乳とクッキー、シーツを持ち込んで寛ぎスペースと化している。



生えている草が程よいクッションとなって、実に寝やすい。


御茶会の軽食コーナーから拝借したサンドイッチが、適度に腹を満たしているので、それもまた抗いがたい眠気を誘う。













ガサッ「…見つけたわよ」









ヒェっ



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