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第8話 ゲテモノ

「あれ?他のお弟子さんはいないのか?」


二階には自分の部屋の他にも部屋がいくつかあった。

おそらく他にもシャーロットの弟子がいると思うのだが。


「あぁ、奴らは帰りが遅いからいつもわしとゴンザの二人で食っておる」


へぇ〜。帰りが遅いってことは若者なのか?

じゃあ美人な姉ちゃんとかもいる感じかな?ちょっと期待。

ってかシャーロットってゴンザリーナのことゴンザって呼んでるのか。かわいい要素ゼロじゃねーか。


「食べよ食べよ!いただきまーす!」


ゴンザリーナのいただきますの後に続いて義男とシャーロットもいただきますを言って食べ始めた。

今日のメニュー、ってよりこの世界に来て初めての食事のメニューは

フランスパンを切ったようなやつ。得体の知れない焼き魚。紫色のスープ。


運んでる時も思ったが。

いかにもYABASOU!

パンはまだいいとして、魚は初めてだからちょっと怖いし、紫のスープは見るからにアウト。


とりあえずパンを食べてみるか。


がじっ、むしゃむしゃ。


うん、思った通りただのフランスパンだった。やっぱパンは安パイだったな。


じゃあ次は魚いってみるか。

歯がゴツゴツしていていかにも小魚めっちゃ食ってます!みたいな見た目だった。

はしで焼き魚の身を少し取って口に運ぶと


「あんめぇ〜〜〜!」


義男は予想と全く違う味だったため思わず叫んでしまった。


甘い。え?どういうこと?

味は生クリームに似てる。つまり、めちゃ甘だ。

焼き魚の少ししょっぱい味を想像していたのも相まってさらに甘く感じたのだ。


「クリムオはデザートじゃぞ!?お前、食べる順番バカなんじゃないのか?」


「デザートもわからなくなるなんて、おばあちゃんボケ過ぎだよー!」


え?この焼き魚デザートなのぉ!?

嘘でしょ?焼き魚がデザートな世界線なんて聞いたことねぇよ?

まぁ、俺甘党だから余裕で食えるけどさぁ。


じゃあ、最後はゲテモノ確定ガチャ。いきますか。

紫だぜ?なんか黒い繊維状のものも浮いてるし。

でもな、ゴンザリーナが作ってくれたんだもんな。

食べないと失礼だよな!えぇい!耐えろ俺!


ゴクッ···


「なんだよ、うめぇのかよ!飲む前においしいっていうオチもあるんじゃないかなってちょっと思ってたけどさぁ!全部見た目と味が合ってねぇよ!」


「おいしいって、そりゃーそうだよ!これはあたしがハジメノにお使いに行った帰りに見つけたミツメイノシシの眉間に膝蹴りをして出させた新鮮なハナミーゾを使ってるからね!」


思いの外うまかったのでゴンザリーナが話している間に一瞬で紫のスープを飲み干してしまった。

しかし、俺は途中である違和感に気付いた。


ハナミーゾって言ったか?

なんか嫌な予感がするような気がするんだけどなぁ。

ハナミーゾ!?

いや、まさかね。

ハナミーゾ!?

、、、一応聞いてみるか。


「あのー、ハナミーゾってのは一体なんだ?」


「ん?普通にミツメイノシノシシの鼻から出てきたやつだよ?またボケてるの?」


あ、勘違いじゃありませんでした。

正解は鼻水でした!だろうな!

つまり浮いてた黒い繊維は鼻毛ということですね!


義男はそのあと数分間賢者のような感情になり、一点を見つめ口だけ無理に笑顔を作りながら無心で夕食を食べていた。

その後しっかりと完食した義男は涙を浮かべながらミラーボールの吊るされた天井を見上げて心の中で叫んだ。


俺、吉田義男は本日イノシシの鼻水を飲み干しました!

おまけに鼻毛も飲みました!

皮肉なことにとてもおいしかったです!


義男はショックを受けながらも初めての夕食を終えた。

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