第6話 迷惑な再開
俺とシャーロット(クソババア)は都市を出て、少し離れたところにあるシャーロット宅へ向かっていた。
歩きながらのシャーロットとの会話でこの世界の状況を大体は把握できた。
まず、この世界には魔王なんてものはいない。その上モンスターなどの凶暴な生物もおらず、生態系も地球とさほど変わらない。
そして、先程俺がいた都市「ハジメノ」は周辺の都市と数十年前に平和協定を結んでおり、現在は全く戦争のない平和な状態が保たれている。
つまり、
\\THE☆平和//
というわけだ。
なんだよ、スキルとかあっても戦う機会がないなら意味ないじゃん。
ってか異世界転生してこんな平和な暮らししてる奴って他にいるのかな?
と少しがっかりしながら歩いているとシャーロットがある家の前で足を止めた。
「ここがわしの家じゃ」
「おぉ、これが、、、」
そこにあったのは中世にありそうなレンガで出来た二階建ての家だった。
\\THE☆普通//
クソババアの家だからもっと個性の強い家かと思っていたので逆に言葉が出なかった。
ちょっと期待してたんだけどなぁ。
すると家の扉が開いて中から人が出てきた。
「クソババアお帰りなさいませー!」
!?
既視感のある大きな目、茶髪のツインテール、ぷるぷるした唇。
そして見た瞬間に突如込み上げて来た怒り。
「あ!薬キメおばあちゃんだー!」
「おいこら!テメェ冤罪かけやがって!大変だったんだぞ!」
そこに立っていたのは都市にやって来てまもない義男に薬キメの容疑をかけたロリっ子だった。
「なんじゃ、お前ら知り合いだったんか」
「あぁ、あんまりいい出会いじゃなかったけどな。あのロリっ子、俺に会った途端薬キメの容疑をかけてきやがったんだ」
「ははは、それは災難じゃったのお。まぁあの子は『迷惑クソガキプリンセス』じゃからな。これまでも沢山の迷惑をかけてきたもんじゃ」
この子、『迷惑クソガキプリンセス』っていう二つ名だったんか。
まぁ文字通りクソ迷惑だったな。こんな二つ名がつくのも納得だわ。
「こいつは新入りのヨシコ・ヨシドゥローバじゃ。まともに会話が出来るから薬などキメとらんよ。ほれ、自己紹介と謝罪をせい」
「あたしの名前はゴンザリーナ・ガキンチェ!いきなり薬キメてるとかいってごめんね。···許してくれる?」
そう言ってゴンザリーナは頰を赤らめて少し恥ずかしげに上目遣いで義男を見た。
かっ、かわいいEEEEeeee!!!!
子供だしね!失敗して成長していくものだもんね!
今回くらいはこのかわいさに免じて許してやろうかな!
ってかかわいい顔してんのに名前ごっついな。まぁ、かわいいからどーでもいいけど!
「いいよ、今度から気を付けるんだよ」
「わーい!見た目通りチョロいおばあさんでよかったー!」
クッ、クソがAAAAaaaa!!!!
このロリっ子、いやクソガキやっぱ許さねぇ!
自分がかわいいことをわかってやがる!
「ははは、この勝負ゴンザリーナの勝ちじゃな。ゆーておくがヨシコよ、このガキをそこら辺のガキと一緒だと思わんほうがいいぞ」
「あぁ、もうわかってる。『迷惑クソガキプリンセス』はロリにカテゴライズしないことにする!」
「えへへ!大人ってちょっとした表情の変化でどうにでもコントロール出来るよね!世の中EASY過ぎ!」
「末恐ろしいなぁ!おい!」
恐ろしい。このクソガキ、まだ幼いにも関わらず自分のかわいさという武器をしっかりと使いこなしている。
クソガキのような自由な発言と行動、物語に出て来る王女のようなあざとくてワガママな感じ。
これはなかなかに手強いクソガキだ。
「まぁ、これから仲良くやってくれ。さぁ、家に入るぞ」
シャーロットがそう言うと、ゴンザリーナは笑顔で手招きしていた。
義男はムッとしながらも扉の方へ歩き始めた。
色々と言いたいことはあるものの、ひとまず冤罪をかけてきたロリっ子ゴンザリーナと和解をした。
これからもゴンザリーナには色々迷惑をかけられるとは思うが慣れるまでの辛抱だと思うことにして、義男は新しい生活が始まる拠点、シャーロット宅に足を踏み入れた。