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第4話 拷問にかけられる老婆

「おい、薬はどこに隠してんだ!」

「限界が、近いと思うZE☆」

「早く出せっつってんだろぉがぁぁぁ!はふーん!はふーん!あ!チョウチョ!」


俺は浅はかだった。

この世界の情勢を知ろうと都市の中心までまた歩いてきたわけだが、そういや薬キメてるという冤罪をかけられたままだったのを完全に忘れていた。

『EXCITING☆老婆』の影響で記憶力が低下しちゃったのかな。


義男はのほほんと歩いているところを兵士に取り押さえられ、抵抗もできず現在城内の取調室で尋問を受けている。

兵士は三人組で、一人は爽やかなイケメン、一人は薔薇を咥えた長髪のチャラ男、そして最後の一人は兵士とは思えないぽっちゃりのハゲがかった男だ。


ひたすらに無実を訴え続けている義男の主張は兵士達に全く受け入れてもらえなかった。

すると、イケメンがとうとう痺れを切らしたようで、


「あと3秒以内に出さないと拷問にかけるぞ」


「タイムリミットエグ短いなぁおい!ってか本当に薬なんてやってねぇよ!」


「口の悪い婆さんだ。あ、3秒たった。はい拷問始めまーす」


そう言うと男たちは義男を拷問椅子に座らせ手足をロープで縛ると、義男の足の裏をくすぐり始めた


「どぅるくしとぅむりあぁあぁあぁぁぁasdfghjkl;!!」


足の裏こちょこちょ

それは、どんな人間をも殺す究極奥義。逆らうことなどできない究極必殺。

義男はそのくすぐったさに耐えきれず叫び声をあげた。もちろんcv:お婆ちゃんである。


「早く吐かないと、死ぬぞー?」

「あと1分も持たないと思うZE☆」

「だから早く薬をだせっていってんだろぉがぁぁぁ!あ!校長先生こんにちは!今日はいい天気ですね!」


「おい三人目ぇ!さっきから言おうと思ってたけどお前こそ薬キメてんだろ!おい!」


そう叫んでいる間にも足の裏こちょこちょは続く。

しかし、このままくすぐられ続けられてしまうと体内にクスグラレターゼ酸ナトリウムが溜まって肺が収縮し、酸素が脳に届けられず死んでしまう。たしか生物の授業でこんな感じのことを習った気がする。気のせいだったらごめん。


もう諦めるしかないのか。

そう思った時だった。


幼き時の記憶が脳裏に浮かんだ。

あれは俺が6歳の時だ。

おばあちゃんは帰宅すると、いつものように俺のところまで来て「野良猫が公園で寝てたんだけどね、その寝顔がかわいかったんじゃよ」と散歩での出来事を話していた。

だが、いつもと違うことに気がついたのはその直後、おばあちゃんが「お茶でも飲もうかね」と台所まで行こうと方向転換した時だった。

おばあちゃんの背中にサバイバルナイフが刺さっていたのだ。

驚いた俺が「ぎゃー!」と叫ぶと、駆けつけた母は慌てた顔をしながら急いでサバイバルナイフを抜いた。

既に大量の血が流れていて、服も血で真っ赤になっていた。

にも関わらずおばあちゃんは「ははは、そういえば途中で通り魔が横を通っておった気がするわい」などと全く刺されたことに気が付いていない様子だった。

その後、すぐに病院まで行って検査をしたがなんの異常も見つからなかったため、輸血だけして小一時間ほどで帰ってきたのだ。


ーーーそうか!おばあちゃんは鈍感だ!これならいける!


「スキル<鈍感>!!」


そう叫ぶと途端にくすぐったい感覚が無くなった。


『EXCITING☆老婆』のスキル<鈍感>が覚醒したのだ。

老化による感覚機能の低下。普通の老婆ならばカイロによる低温火傷に気付くことができずに、大怪我につながる危険があるため気を付けなければならないものなのだが、俺は『EXCITING☆老婆』だ。

感覚機能の低下ですらプラスに変えてしまう。


くすぐったくなくなった義男は兵士の顔を見て、ドヤ顔で余裕の笑みを浮かべた。


「こ、こいつ拷問が効いてねぇぞ!?」

「これは、驚きだZE☆」

「効けよぉ!早く吐けよぉ!あ!世界がぐるぐる回り始めたど!ぐるぐるぐるぐる!」


あ〜。気持ちいい〜。

一度は言われてみたかったんだよなぁ〜。「効かないだと!?」ってやつ。

俺、ある意味最強の能力を手に入れたかもしれないわ。


するとチャラ男が口を開いた。


「この婆ちゃん、常人じゃないZE☆怒らせて反撃でもされたらこの国滅ぶかもしれないZE☆」


「そうだ、今のうちに逃がしてくれるならこの国を滅ぼさずに大人しくしてやろう」


調子に乗ってそう言ってみた。


「そうだな。確かに会話もまともにできるし、そもそもこんなお婆ちゃんが薬キメるわけないもんな」


「いや、気付くのおせーよ!!」


「今回は冤罪をかけて申し訳なかった」


イケメンはそう言うと、城の入り口まで俺を連れて行った。


「はい、これで晴れて釈放ね。でも今度は疑われるようなことはしないでな」


「そもそもあのロリっ子が過剰反応してるだけだと思うんだけど!?違うか!?」


なんか俺が疑われるようなことしたから悪いみたいになってるけどあのロリっ子が悪いよな。

ロリっ子だからってなんでも許されると思うなよぉ!?


「婆ちゃん、あんた相当な歳なのにイカした言葉づかいだZE☆俺はそんなロックなアンタが好きだZE☆」


「おいおい薬持ってないのかよぉ!つまんねぇなぁ!あ!お空に玉ねぎが浮いてらぁ!うまそー!」


今まで、あえてツッコミをいれてこなかったがこの二人キャラ濃すぎないか?

チャラ男は語尾に絶対「ZE☆」付けるし、ハゲは明らかに薬キメてるし。


「じゃあな、お勤めご苦労さん」


そう言って義男は城を後にした。


疲れたぁ〜。まぁ無罪ってことが証明できたからよかったか。

ってか異世界来てからハプニングだらけで頭狂いそうだわ。


義男はちょっと休憩することにした。

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