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第21話 ユウラとの再会

「何も、起きなかったな」


「はふーん!薬!俺もう限界だふー!あ!マリモの妖精さんこんにちは!僕アメファって言いますぅ!これからよろしくお願いしまぁーす!」


「あぁ、アメファももう限界を迎えてきたようだ。はい、今日の分の飴玉だ」


「はふぃー!俺の愛する薬!今日はイチゴ味だぁ!いただきまぁす!はぁん!おいちぃ!」


あー。限界だ。いつ三大凶悪犯が襲ってくるか分からないこの張り詰めた状況で数時間。気が付けば徹夜していた訳だが、この老体だ。元の世界より徹夜によるダメージが大きい。押し寄せる眠気と格闘することしかもうできない。アメファに「飴のことを薬って言ってたのかよ!」と言うツッコミが出なかったのもそのせいだ。


「そーいやユウラとモテーノ見てないな。どうしたんだろ」


そんなことを呟いた時だった。

体育座りをしている義男の前に誰かが現れた。


「ヨシコちゃん、無事だったんだね」


「その声は、、、ユウラ!?」


見上げると、そこに立っていたのはユウラだった。

しかし、ユウラは腕や頭に血が滲んだ包帯をしていた。


「その怪我大丈夫か?」


「うん。治療してもらったから大丈夫。あっ、シャーちゃんとゴンゴンも無事だよ」


「あれ?お前、今朝急遽必要なものがあるって言ってこの国に来たんじゃないのか?なんで家にいるあいつらの無事を知ってるんだ?」


そうだ。本来、修行に参加するはずだったのにユウラは朝食を終えた後に急いでハジメノに向かっていったのだ。なのにシャーロットとゴンザリーナの無事を確認しているということはハジメノからシャーロットの家に戻ったということになる。


「あぁ、それはね。私はいつものように早朝<シックスセンス>をしてたんだけど、、、」


「ちょい、ストップ。何だってぇ?」


これには眠気に殺されそうになっている俺でもツッコまざるを得なかった。

なんだ?早朝<シックスセンス>って。そんなパワーワード見逃せない。


「早朝<シックスセンス>って言ったの。私のスキル<シックスセンス>は未来に起こる危機を察知できる能力で、毎朝それをすることで一日平和に過ごせるかっていうのを確かめてるの」


「なるほど、それで今回の危機を察知したと、、、」


「うん。だけど、今までずっと平和だったからこんなことが起きるなんて思ってなくて準備が不十分だったから朝イチで武器を買っておこうと思ったんだけど、思ったより早く事件が起きちゃって、、、」


「でも、よく間に合ったな。ハジメノと家はまぁまぁ距離あるぞ?」


片道大体1時間くらいかかる。走ったとしても40分くらいだろう。でも、ユウラが家を出てからキモスが現れたのは約30分後くらいだ。往復走っても俺とゴンザリーナが家を出てから割と時間が立っているはずだ。

かつて『冷徹の女剣士』と呼ばれたシャーロットでも今の体では三大凶悪犯と呼ばれるキモスを止めていられるのはせいぜい数分だろう。


「<影渡り>っていうスキルを使ったの。スキル<影渡り>は影のある場所を一瞬で移動できる。だからハジメノへの道から少し外れたところの森に行って影を伝うと早く移動できるの」


「そんなスキルがあるのか。で、シャーロットのところについた時はどうなってたんだ?」


「私が着いたとき、シャーちゃんはもう倒れてて、、、」


ーーシャーロット家の庭


「シャーちゃん!?大丈夫!?」


「、、、大丈夫じゃ、、、<鈍感>、、、ふぅー。耐えた耐えた。さぁ、ゴンザとヨシコを助けに向かうぞ。」


シャーロットは最終手段<鈍感>で痛みを消すと、ゆっくりと立ち上がった。


「シャーちゃん。<鈍感>を使った時は戦わない約束でしょ。待ってて」


「そんなこと言われても行かないといけないんじゃ!キモスは一回ターゲットを見つけると止まらん!ワシが止めんと!」


「今のシャーちゃんには無理だよ!私一人で止めるから!信じて!私の二つ名がキモスに有利だってことはわかってるでしょ?」


キモスは一度幼女を見つけるとその子しか見えなくなる。つまり、ただでさえ視界が狭くなっている状態のキモスに影の薄いユウラは余計に見つけにくい相手なのだ。よって、ユウラはキモスに対して不意打ちをしやすい立場にあると言える。


「、、、ワシもさっきの戦いで自分の衰えを感じておったところじゃ。自分が行っても意味のないことはわかっておった。、、、二人を頼んだぞ」


「わかった」


そう言ってシャーロットの家を後にしてハジメノへの道を走っていくとキモスがキョロキョロしながら走っているのが見えた。そこでユウラは奇襲をしかけたのだった。


「くらえ!私の必殺技<こんにゃく>!」


「うひぇーーー↑なんだこれぇ!気持ち悪ぃよぉ!」


ユウラはハジメノで買ったこんにゃくを釣竿につけ、キモスの顔につけた。普通の人がやればただの嫌がらせだがユウラの<こんにゃく>は一味違う。ユウラの<こんにゃく>を受けた者は、その強烈な気持ち悪さと不快感によって体が震え数分間動けなくなる。


「よし、これで時間を稼ぐ!」


しかし、数秒後こんにゃくの効果が切れてしまった。キモスが本気を出したようだ。


「あああああああぁぁぁぁぁぁーーー↑なんで俺の邪魔をするんだよぉ!俺はただゴンザリーナちゃんと遊びたいだけなのによぉぉぉぉぉぉーーー↑」


「何でこんなに早く効果が切れるの!?もう一回!<こんにゃく>!、、、あれ?効かない!?<こんにゃく>!<こんにゃく>!」


「しつけぇよぉぉぉぉぉぉぉーーー↑むしゃむしゃ!きえぇぇぇぇぇぇーーー↑」


ユウラが何度顔にこんにゃくを当てても効かなかった。

そして、叫びながらキモスはユウラの武器であるこんにゃくを食べてしまった。


「私の<こんにゃく>が効かないなんて!」


「邪魔だぁ!<ジャンボリコーダー>!」


キモスがそう叫ぶと天から巨大なリコーダーが降ってきて地面に刺さった。

そして、キモスはそれを片手で抜き取ると口の部分を舐め始めた。


「うほぉーーー↑これだぜぇ!これだぜぇ!」


「き、きしょい、、、」


あまりのキモさにユウラは心の声が漏れてしまったが、それがマズかった。

「あぁ!?今なんて言った!?きしょいだとぉ!?俺のっ!俺の真の愛をバカにしたなぁ!?おるぁ!!」


バカにされたのがよほど腹がたったのか、キモスはジャンボリコーダーでユウラの横腹を殴った。

すると、ユウラは飛ばされて近くの木に強くぶつかった。


「ああああああ!待ってて!ゴンザリーナちゃん!今行くよぉーーー↑」


「、、、もう最終手段を使うしかない、、、これで時間を稼げれば十分、、、<鏡の向こう>!」


ユウラは木に体を強打したため動けなかったが、力を振り絞ってそう叫んだ。

すると、ユウラを飛ばした後ハジメノの方へ再び走り始めたキモスの目の前に大きな鏡が現れ、キモスはその中へ吸い込まれていった。

それを見届けた後、ユウラは気を失ってしまった。


そして、目を覚ました時にはユウラはシャーロットの家にいた。

援軍に向かったゴンザリーナと兵士数名がユウラを途中で見つけ、家まで連れていき治療をしていたのだ。

兵士たちに事情を聞いたユウラは兵士たちが止めるのを振り切って<影渡り>でハジメノに向かった。


「ーーこういう訳なの」


なるほど。シャーロットを家で安静にさせてユウラが一人で戦い、倒れてしまったところを援軍に向かったゴンザリーナと兵士が助けたという訳だ。

しかし、ここで最大の疑問が生まれる。


「鏡の中に吸い込まれたキモスはどうなったんだ?」


「<鏡の向こう>は鏡と鏡を繋げてワープさせるスキル。一つ目の鏡は私がキモスの前に出した物。もう一つは非常時用に数ヶ月前からトンガリ山に置いてある鏡。だからキモスは今頃トンガリ山にいるはず、だけどまた現れるのは時間の問題かも」


トンガリ山はハジメノの近くにある山だ。確かにワープさせたことで難を逃れたがあくまでそれは一時的だ。キモスは一度幼女を見つけるとその子しか見えなくなるやつだ。絶対にまた現れるだろう。


「じゃあ、どうすればいいんだよ、、、」


「はふーん。俺に作戦がある。聞いてくれないか?」


誰だ?と思って振り返るとそこにはいつもと違って目のキリッとしたぽっちゃりハゲ、アメファがいた。


「いや、お前どうしたんだよぉぉぉ!?」

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