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いつのまにか女子扱いになっていったボクの中学時代  作者: 栄啓あい
第一章 中学一年生 一・二学期
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第四話 音楽の授業ー提案

 夏休みも終わり、2学期になって2週間が過ぎた


 1学期はいろんなことがあったなあ。


 入学してからすぐ体育祭、そして期末テスト。

 

 体育祭は3位という微妙な結果に終わってしまったけど、そんなに気にしてはいない。


 それより、2学期はまたいろんな行事がある。


 校外学習、2つの定期テスト、音楽鑑賞教室、・・・


 そしてなんといっても合唱祭がある。


 私は合唱祭をすごく楽しみにしている。


 もともと歌も好きだし、ピアノも弾けるからだ。


 

 次の授業は音楽。


 今は合唱祭の練習をしている。


 ほとんどの男子が張り切って声を出す中で、私は1オクターブ上で同じパートを歌っている。


 声がもともと高いので、ちゃんとした音域で出せない。


 だからやはりテノールはやりずらい。


 でも、とにかく歌う。


 何が何でも歌う。


 今日の音楽の授業は歌うだけで終わった。


 なんだかとても楽しかった。


 そのあと、私も帰ろうとした。しかし、


 「藤本くん、ちょっといい?」


 先生に呼び止められた。


 「何ですか」

 「ちょっと話したいことがあるんだけど」

 「はい」

 「藤本くんって今、テノールでしょ」

 「はい」

 「それで、1オクターブ上で歌っているでしょ」

 「はい」

 「でも、それだと、歌のテストとかも悪くなっちゃうし、何より、合唱が成り立たなくなっちゃうの」

 「・・・・・・」


 気が付くと、教室の中には誰もいなくなっていた。


 「だから、一つ私から提案なんだけど、ソプラノで歌うのはどう?」

 「・・・」


 正直言って嬉しかった。


 テノールにいては歌いづらい、そして、1オクターブ上で歌っていることにも後ろめたさがあった。


 そして、男子は特にやる気がない人が多い。


 つまり、テノールにいては居心地が悪かったのだ。


 「どう・・・かな?」

 「わかりました。がんばります!」

 「よかった!ごめんね、なんか」

 「いえ、いいんです。ソプラノを私からも望んでたみたいですから」

 「ほんと?じゃあ来週からよろしくね」

 「はい!よろしくお願いします!」


 なんだか心が晴れやかになった気分だった。


 しかし、次の授業まであと一分であった。


 「ありがとうございました!」


 そう早口で言って、急いで音楽室を出て、廊下を走り出した。


 しかし、つっかかった気持ちが消え、足取りは軽かった。

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