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いつのまにか女子扱いになっていったボクの中学時代  作者: 栄啓あい
第二章 女の子にされていく日々
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第十七話 終業式

私が女子になっていく日々は、どんどん過ぎた。


体育の授業のあと、全然みんな気にしていなくて、むしろ、それが普通のような、当たり前のような、そんな感じだった。


今は、二学期が終わろうとしている時期だ。


終業式はそろそろ。


大掃除などもあり、最後の日はやっぱり忙しい。


「あっきー、雑巾こっちもお願い!」

「あき!この辺やってくれるー?」

「藤本ー!」

「ちょっちょっと待ってよお!」


何だか、私は少しコキ使われてる感じだ。


そして、 中学で二回目の通知表をもらった。


全体的に、いい感じだ。


体育は、3らしい。


「体育は、藤本さんが移ってからの評価は、三学期に入るからね」


国本先生はそう言っていたので、まだ安心かも。


そして、終業のチャイムと共に、帰り始めた。


「香華、一緒に帰ろ!」

「おお!あきちゃんもとうとう女子を帰りに誘えるようになったね!」

「えっえっと、香華は、特別!」

「ほんとー?」


香華もまだまだ恐いところがあるな。


帰りは一緒に、二学期のことについて話し合っていた。


「何だかんだ、ごめんね。二学期」

「えっと、まあ、別に悪い気はしなかったし、その、なんとかなってたよね…。最初の方は、ちょっと変だなあって思って躊躇ったところもあったけど?でも、何か、今はもういいっていうか」


何言ってんだ私は。


こういうときにビシッと言えないのが、私の悪いところだなあ。


「つまり、」

「嬉しかったんでしょ?」

「え?」

「楽しいでしょ?今も」

「まあ、男子の時も楽しかったけど、女子になって、もっと楽しくなったところもあるかな!」


なんでだろうね。


実際、楽しいんだよ。今の生活。


前より、もっと、楽しいの。


「実は、あきって、幼稚園の頃、すっごく女の子らしかったの。それで、本当にこんな女友達がいたらな、ってずっと思ってて、私、中学で再開したとき、すっごく嬉しかった。だからこれからもよろしくね。女友達として」


何か、どういう思いをすればいいのかわからない。


香華と関わることはすごく楽しいし、好きだし、関わりやすいし…


え?好きだしって?


まあ、いずれこんな生活も終わってしまうのかなあ。


少し寂しいことを思ったが、今は、今のことで楽しもうよ!


「じゃあ、またね」

「う、うん」

「また、あとで」

「あとで?」

「うん、あとで」

「わかった。じゃあね」

「うん」


そう言って、別れた。


吹き抜ける風を感じ、私は、冬の訪れを遅くとも感じた。


冬休みこそ、宿題さっさと終わらせちゃお!


そう意気込み、軽い足取りで家へ向かった。


家に着き、ポストを見ると、何やら見慣れない手紙のようなものが入っていた。


≪招待状 藤本亜貴様へ≫


と書いてあった。


家に入り、封を開けてみると、手紙が入っていた。


読むと、どうやら、クリスマスパーティーへのお誘いらしい。


香華からだった。


そういえば、今日はクリスマス・イヴだったなあ。


場所は、香華の家ー!?


まじか。


何も心構えしてなかったので、あたふたしている。


どうしようかな。


行くは行くけど、なんか落ち着かない。


そして、先ほど聞いた一つの言葉が頭をよぎった。


「またあとでね」という言葉が


そういう意味だったのかー。


とりあえずお腹も空いたので、ご飯を食べよう。


「お母さん。ご飯食べたら香華の家行ってくるー」

「あら、そうなの?」

「うん。クリスマスパーティーやるらしいから。」

「そっか。あんま遅くならないでね」

「わかってるー」

「それより、通知表はどうだった?」

「うん。まあまあだったよ」

「見せて」


見せると、案外曇った顔はしなかった。


「体育の先生も変わったし、色々大変だと思うけど、頑張ってね」

「はーい」


そして、ご飯を食べて、香華のところへ向かう。


途中、蓮間さんに会った。


蓮間さんは、ピッと気がついたようで、即話しかけてきた。


「藤本さんっ!」

「な、なあに?」

「いつも可愛いよねー藤本さんは」

「そ、そうなの…かな?」

「これからどこに行くの?」


ここで本当のことを言ったら、何か怖そう。


「ちょっ、ちょっとね?」

「どこどこ?」

「公園に、ね」

「公園はあっちよ」

「公園…じゃなくて、えっと、川原川原!」

「…ふーん」


恐ろしい恐ろしい。


隠す必要もないと思うんだが、


「まあいいや、またね!」

「うん!じゃあねー」


やっぱり、聞いてたところの、女子の怖さって言うものは、こういうのなのだろうか。


私は陰口を恐れるような男じゃない!


あ、女だったわ。


私は、そのままささっと香華の家へ行った。


玄関のベルを鳴らし、藤本です、と小さく名乗る。


中から出てきたのは、香華のお母さんだった。


「あら、あきちゃんいらっしゃい。久しぶりねー」

「こんにちは。お久しぶりですね。」

「こんなにかわいくなって。幼稚園の頃はもっと女の子らしかったけど、今はちょっと落ち着いたわね」

「そ、そうですかね?」

「さあさあ、上がってらっしゃい。」

「お邪魔します」


久しぶりだったので、ちょっと長く喋ってしまった。


部屋に入ると、既に何人かいた。


香華と、邦子と、ゆっきーだった。


ちなみに、左から、神田、渥美、橋本の三人である。


「いらっしゃーい」

「やっほー」


そして、香華が何か取り出した。


「四人集まったね。クリスマスだし、これ着ようよ」


取り出したのは、サンタの衣装であった。


しかもヒラヒラのスカートの

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