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いつのまにか女子扱いになっていったボクの中学時代  作者: 栄啓あい
第二章 女の子にされていく日々
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第十六話 体育の授業

月曜日になり、私はさっさと登校した。


なぜだか知らないが、早く行きたかったのだ。


まだ人が少ない学校に入り、教室でのんびりしていた。


すると、突然誰かに呼ばれた。


「藤本さーん」


振り向くと、国本先生がいた。


「おはよ」

「おはようございます!どうしたんですか?」

「ちょっと藤本くんと話したい人がいてね」


だ、誰だろう・・・。


国本先生についていくと、着いたのは、教育相談室だった。



「藤本さんですよー」

「はーい」


ドアを開けると、学校では時々見かける先生がいた。


「真鍋先生!?」

「あら、あなたが藤本さんね。改めまして、私は女子の体育の教師をしている、真鍋です」

「藤本さんが女子の体育にいくって決まったことを真鍋先生に伝えたら、大喜びしていてね、是非会わせてほしいって」

「そ、そうですか・・・」

「ごめんね、朝から。そして、今日からよろしくね」

「はい!よろしくお願いします!」


そうして、真鍋先生との挨拶が済んだ。


「ところで・・・」

「はい」

「藤本さんって本当に男の子なの?」

「え?まあ、多分」

「多分???」

「そうだよねー今の格好だと女の子にしか見えないよねー」


国本先生まで突っ込んでくる。


「かわいいよね」


私は突然顔を赤くした。


何だか今だけすごく恥ずかしくなったような気がしたのだ。


「まあ、中学生にそんな言ったら困っちゃうから、よしておいた方が」

「そうですね」


今の会話をして、嫌ではなかった。


それから、職員室で先生と別れ、私は教室に向かった。


教室に入ると、もうクラスのメンバーで賑わっていた。


「お、藤本!どこいってたんだ?」


晴海・・・中山くん?に声をかけられた。


っていうか、何で晴海って言うのをためらっているんだ?


そして、中山も亜貴って呼んでないし。


「えっと・・・色々あってね」

「色々って?」


案外ストレートな奴だな、こいつ。


「まあ、色々だよ」

「そっか…」


中山のことを完全に異性と見ているような気がする。


そろそろ着席時間なので、席についていると、近くの席の塩木さんの声がした。


「藤本さん」

「どーしたの?」

「藤本さんて体育、女子の方に入るんでしょ?」

「そーだよ」

「やったあ!改めて、よろしくね」

「よろしく~」

「やっぱ藤本さんがいるといいからねえ」

「そ、そうなのかな?」


そ、そうなのかな?


「藤本さん、下の名前何て言うんだっけっ」

「あきだよ」

「じゃあ、そのままあきって呼ぶねっ!」

「あ、うん」


そういう会話をしていると、先生がきて、ホームルームが始まった。


国本先生は、私のことには触れなかった。



ホームルームが終わり、一時間目は数学だったので、少人数教室へ移動する。


授業が始まったが、なんだかずっと落ち着かない気分である。


別に、そんな気にしているわけじゃ…


でも、やはり、平静さを乱していた。


そもそも何でこうなったことを自分は受け入れちゃってるのかわからない。


なぜに私は反対していないのか。


流されていっている気がする。


あとでそう香華に言うと、「だって流してるもん」と一言で終わった。


体育があるのは、四時間目だった。


着替えが済み、香華と一緒に行く。


ちなみに、さすがに着替えは男子とした。


こっちおいでよかなんか聞こえたような気もしたが、普通は行けないもんである。


体育へ行ったら少しずつ集まり出していた。


チャイムがなる前に始まった。


真鍋先生と挨拶し、話し始めた。


「今日は、知ってる人もいると思うけど、藤本さんが入ります。みんな仲良くしていってくださいね」


反対の意見ばっかと思っていたが、全然そんなことはなく、むしろほとんどの人が平然としていた。


「ほぼ全員知ってたみたいね」


そう、香華は言っていた。

しかし、体育が始まると、予想以上に面倒なことがあった。


まず、柔軟体操。


決められた二人組でペアとして協力してやるんだが、これが、接触が多くて少しドキドキした。


ペアは塩木さんだったから、なんとかなったけど。


それから、今日はハードル走をやった。


私は相変わらず、倒したり遅かったりと、大変なことになっていた。


だけど、周りの人たちの技量も、私のちょっと上くらいだったので、そこまで浮かなかった。


ちなみに、今男子はバスケットボールをやっているらしいので、それに比べたら、まあ、楽しいもんでしょ。


それで、なんやかんや授業は終わって、給食の時間になった。


終わるとぞろぞろと帰っていく。


私が教室に戻ると、まだ誰もいなかった。


男子はまだ終わってないのかなあ。


男子が来るまでにさっさと着替えちゃって、教室の外へでる。


外に出ると、香華がいた。


「あー楽しかったー!」

「藤本さんって良いよね。いると楽しいね」


渥美さんと話していた。


私ってそんなにみんなに好かれる要素あるのかな?


まあでも、何だかんだ言っても、居心地はよかった。


これなら続けられそうだな。


そして、うきうきした気分で水道で手を洗い、教室に戻ろうとした。


でも、結局私は女子と同じように、男子の着替えが終わるまで教室に入れず、待っていたのだった。

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