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第二話 入学―2
その日の帰り、誰かに話しかけられた。
「藤本くん。ちょっといい?」
「なに?」
話しかけて来たのは、さっきつっかかってた、神田香華だった。
「どうしたの?」
「覚えて、ない?」
「私?」
「うん。昔、同じ幼稚園だったはずなんだけど…。」
「あっ、えっ?あああああ!思い出した!まほろば幼稚園で一緒だった!」
「そう!」
「確か、仲良かったよね、私たち。」
「うん!これからまた、よろしくね!」
「またなかよくしようね!」
「だけど、こんなところで再会できるなんて、すごいね。」
「ほんとだよね。」
「これも何かのめぐりあわせかもしれないね。」
「もしかすると、そうかもね。」
「じゃ、また明日ねー。」
「うん。バイバーイ。」
四月の風はあたたかい。しかし、太陽は、こんな私たちを見て、かすかに微笑んでいるような気がした。