スカート登校
小三になり、秋になった。
「あさって、いとこが家に来るんだけど、その子、私が女の子の格好でいないと泣き出して・・・。月曜日女装して朝家を出るようになるかもしれないんだよ。どうしよう・・・」
私は学校で、仲良い女子に尋ねた。
「いいじゃん!そのまま来れば!見てみたいなあーあきの女装」
「え、でも、そういうわけにはいかなくない?」
「大丈夫大丈夫!あきはもともとかわいいし、みんなも受け入れてくれるよ。ちゃんと事情話せばいいし」
「そういうことじゃなくって・・・恥ずかしいかも・・・」
「一回来てみ!またこういうことあるかもしんないし!」
「そうだよね・・・じゃ、やってみるか・・・」
そして、泰平は翌日家に来た。
「あき姉!一緒にお風呂入ろう!」
「えっ!それはちょっと・・・」
そうだ。私は泰平に男だということを隠している。
一緒にお風呂などもってのほかだ。
「泰ちゃん。お父さんと入ってきなさい。あきはちょっと今忙しいから」
「はーい」
よかった。
お母さん、助け舟ありがとう。
そして、翌日―
私は学校がある。
泰平は、運動会の振り替え休日らしく、そのまま家にいる。
私が起きると、既に泰平は起きていた。
「あき姉!おっはよー!」
私は、お母さんがこの前買ってきたという女児服を着ている。
ご飯を食べて、学校へ行こうと玄関に行く。
やはり、泰平は見送りに来た。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい!」
そして、この格好で家を出た。
さて、どうするか・・・。
そう思っていたら、昨日相談した友達が通りかかった。
「あきー。かわいいねー。スカートなんだ。清楚系女子って感じ?」
そう言って、にっこり笑っていた。
「っそ、そんなこと!いえ・・・るかもしれないけど、私だって、す、好きでやってるわけじゃないんだからね!」
「ふふ、かーわいい」
「っっ!」
なぜか反論も出来ない。
恥ずかしいところもあるが、今日はしょうがないや。
小学校に行く。
しかし、私がこんな状態なのは、一人しか知らない。
同じクラスの男子だって、気付かずに通り過ぎてしまう。
教室に入って、自分の席に座ると、やっと私のことにみんな気が付いた。
そんな溶け込んでいるかな?
「あき・・・だよね?おはよう。どうしたの?そんなかわいい格好して」
「やむを得ずって感じ。ちょっといろいろあってね」
色々あったのは、まっとうな事実だ。
「ふーん。かわいいねー。これからもそれで来ればいいのに」
「いや、それはちょっとまずいんじゃないかな」
その後、教室に入ってきた先生も相当驚いていた。
出欠をとるとき、「休みか?」と言ってしまうほど、わからなかったっぽい。
その時、いや、その日はスカート姿のあきっていうので、話は流れたんだけどな・・・。
とりあえずこの時は自分が男だとは確信を持っていた。




