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いつのまにか女子扱いになっていったボクの中学時代  作者: 栄啓あい
第一章 中学一年生 一・二学期
10/30

第十話 合唱祭の週末

 ―合唱祭が終わった週末の日曜日


 私は、お昼ご飯を食べて、一息ついたところだった。


 突然、家の電話が鳴った。


 電話には、お母さんが出た。


 「もしもし」

 『もしもし、藤本さんのお宅でしょうか』

 「はい」

 『神田香華です』

 「香華ちゃん!どうしたの?」

 『亜貴くん、いますか』

 「あっいるよー。代わる?」

 『いえ、大丈夫です。いないときにお母さまと二人だけで話したいので』

 「あら、そう。じゃ、いなくなったらこっちからかけ直すね」

 『ありがとうございます』


 そうして、電話が切れた。


 電話は、今私がいる場所から少しだけ離れているので、内容は私にはあまり聞こえなかった。


 

 お母さんが戻ってくる。


 「誰だった?」

 「香華ちゃん」

 「え!?なんか言ってた!?」

 「さあ。やっぱり後で用件言うって言ってたから」

 「そっか・・・」

 「それより、今日は塾行かなくていいの?期末テストも近いんでしょ?」

 「え~でも今日はいいよー」

 「お母さんも亜貴がそこにいると色々と大変なの」

 「そうなの~?」

 「あと、亜貴、テストやばいんでしょ?」

 「うっまあ・・・」

 「今回こそは真面目にやってみなさいよ。成績上がるの見たら、自分でもうれしいでしょ?」

 「そうだね。じゃあ行くか!」


 そう言って、準備をした。


 「いってきまーす」

 「いってらっしゃーい」


 そして、家を出て、自転車をこぐ。


 今日は太陽がよく当たっていい天気だ。


 ―でも、香華は何で電話してきたんだろう・・・。


 私、何か悪いことしたかな。



 自転車をこいでいると、佐藤くんと晴海が歩いているところを見かけた。


 「よっ。亜貴」

 「晴海ー!作実ー!やっほー」

 「やあ。あっきー。」

 「なんかこうしてちゃんと晴海たちと会うのも久しぶりかもね」

 「まあ・・・確かにな・・・。同じクラスなのに、あんましゃべってなかったな。」

 「あっそうだ!あっきー合唱よかったよ!ソプラノきれいだった!」

 「うん!ありがとう!」

 「ピアノもありがとう!大貢献だね」

 「いや・・・そんなでもないっしょ。みんなで頑張ったんだから」

 「っていうかあの格好どした」

 「ああ!晴海、やめて!」

 「いや~かわいかったよ~」

 「いや、そんなつもりじゃあ。嬉しいけど」

 「えっ何が!?」

 「えっいやいや。かわいいって言われると嬉しいってこと」

 「えっそうなの?俺、かわいいって言われるとなんかあんまいい気分になんないけどな」

 「え!?晴海は言われたくないの?」

 「うん。あんまり・・・」

 「僕は言われるとちょっとだけなら嬉しいぞ!」

 「あ、やっぱり!作実はわかってくれるなあ」

 

 そんな会話をしていたら、時間はあっという間に過ぎてしまった。


 「じゃあ、私は塾に行くから」

 「うん。じゃあなー」

 「またねー」


 そうして、別れた。


 塾に行くと、三年生と先生以外は、誰もいなかった。


 私は、ふと、勉強をしながら考えた。


 そういえば、お母さんは私に休日は塾に行けなんて言わないのに、今日は何であんなに行かせようとしたんだろう。


 私がいたら不都合なことでもあったのかな・・・。


 とりあえず、ちょっと電話してみるか。


 ところが、何度家にかけても、話し中だった。


 お母さん、誰とずっと電話してるんだろう。


 お母さんの携帯にかけても、出ない。


 そういえば、さっき香華の電話で、あとでかけるって言ってたな。


 こんな長電話する用事なんだろうか。


 香華と何があったかは気になりつつも、勉強しておく。


 三・四時間経ったところで、帰りの支度をする。


 お母さんに電話をする。


 今度はかかった。


 「もしもし」

 『もしもし』

 「今から帰るねー」

 『え!もう帰るの!』

 「うん」

 『悪いけど・・・あと十分くらい待ってくれない?』

 「えっ何で」


 お母さんは少し慌てている様子だった。


 『まあ。とりあえずちょっと待って』

 「は~い」


 とはいえ、私は早く帰りたいのだ。


 でも、言われた通り、ちょっと待ってみる。


 もう一度、家にかけた。


 『もしもし』

 「もう塾でていい?」

 『あっうん。いいよー』


 お母さんは何かたくらんでいるような・・・なんか嬉しそうだ。


 そうして、塾から出た。


 家に帰ると、お母さんはいつもの通り、コーヒーをすすっていた。


 う~ん。気のせいか。


 夜は、明日の準備をして、今日は早めに寝た。


 この週末は、なんだかちょっとそわそわした感じだった。


 ま、電話のことは、明日香華に聞いてみよう。

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