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04 ―灼熱の故郷を胸に―
旅の地で果てた者達がいた。
彼等は疲れに身を任せる事はしない。
一度眠りに着けば、永遠に覚めないだろう事を分かっていたからだ。
そこは、最果て。
冬すらも枯れる果ての土地。
彼等の故郷は。
生まれ出づる命が燃える、灼熱の世界だった。
始まりだけが有り過ぎ、終わりのない。
女神に見捨てられたディストピア。
「疲れた。疲れた。ああ、疲れた」
命は終わる。
けれど、それは生まれ落ちた物に、等しく与えられる運命。
魂が命が、より強くより輝く為の、髪からの正しき贈り物だった。
祝福は途絶えた。
残されたのは、命燃える灼熱だけ。
彼等は最後に、願いを託した。
星降る涙。暗闇の女神の慈悲。
凍てつく氷の欠片に。
「どうか故郷に、正しき女神の祝福を……」