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02 ―少年と星水晶―
凍った氷さえなお凍てつく寒さの土地。
冬枯れの地ネージュ。
その辺境の村では探検と称して、水晶を発掘する遊びが流行っていた。
価値のないガラスくず。
値段のつけられないそれらは、けれど子供たちの遊び道具としては申し分のない玩具だった。
ある日、村の子供たちの中でもとびきり好奇心の強い二人が見つけた。
それは、空の光を閉じ込め散りばめたガラスくず。星水晶。
手にした彼らはそれらをお守りにして、約束を交わす。
「いつか、二人で……もっと綺麗なあの空の星を手に入れよう」
終わる事を知らぬ幼い夢は、胸の内の輝きをガラス屑の中へ注ぎ込んだ。
願わくば、再びその夢を取り出す時。
空の輝きを代わりにしまい込めるように、と。