13/33
03 ―ある愛の終わりに―
決して交わる事のない二者。
隣り合う事が許されない二つの世界
不可能世界。
彼は彼女に恋をして、そして彼女もまた彼を愛していた。
けれど、二人は致命的に、決定的に、断絶された世界の住人だった。
死者は生者に語りかけられないように、生者が死者と時を歩めないように。
彼は世界よりも彼女を愛していた。
世界が彼女を殺すと言うのなら、世界よりも彼女を選ぶつもりでいた。
彼女もまた世界よりも彼を好いていた。
世界が彼を殺すと言うのなら、世界よりも彼を選ぶつもりでいた。
相思相愛。
けれど有限なり。
時に流れがあるように、距離に隔たりがあるように、人の愛情にも限りがある。
変わりゆく世界に、思い変わらぬ保証は、どこにもない。




