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7話「性奴隷!?そんな夢の存在が実在するの!?」

タイトルが下衆で不安に思った人もいると思うでゲスが、安心してほしいでゲス。


本作は基本プラトニックな小説でゲスよ。


そういった行為の描写は一切ないでゲス。

「おい知ってるか?噂のオークの巣が壊滅してたってよ!」


「知ってるよ。なんでも死体は400近くあったって話じゃねぇか。一体誰がやったんだ?」


「それがよぉ、ギルドの奴らもさっぱり分かんねぇんだと……でも、多分」


「ああ。あんなことが出来る人間はーーー勇者様一行しかいねぇだろうな」



***



ここはギルドの酒場。

背後の冒険者たちの噂話に耳を傾けながら、僕はグラスを傾けていた。


うーん……まぁ、ばれちゃうよなぁ……


最近、冒険者たちの間では、3日前の「オークの巣壊滅事件」の噂が広まっていた。

中には勇者一行がやったということに気づいている人たちもいるみたいだ。まあ、あの数のオークを隠密に処理できる冒険者はこの街にはいないし。


だけど僕らの顔は一部の人間以外は知られていないので、僕らの正体がバレることはないだろう。


勇者一行として活動するときはいつも、僕とユースケは鎧、ヒロユキはフードを被って素顔を隠していた。なので勇者一行がやったとバレても、僕らがその勇者一行だと気がつくものはいないはずだ。……いないよね?


内心で少しドキドキしていると、向かいの席でジュースを飲んでいたヒロユキが話し出す。


「……ハルヒコ。知っているか?」


突然の言葉に、僕は小さく息を飲む。

もしかしてバレる可能性があるのかな……?

ヒロユキは僕より断然頭がいい。僕が気づいていないだけで、ヒロユキには何か別の可能性が浮かんでいるのかも……?

僕が戦々恐々としていると、満を持してヒロユキが口を開く。


「……この近くに性奴隷を売っている店があるらしい」


……心配して損した。

僕の親友は平常運転でクズだったようだ。


「この国は奴隷制を廃止したんじゃなかったのか?」


ヒロユキの言葉を聞いたユースケが驚いた顔をする。


それもそうだろう。

この街で奴隷など見た記憶はない。

前聞いた話では、およそ100年前に奴隷を扱うことは禁止されたらしい。なので異世界転生小説でテンプレの「奴隷娘とイチャイチャ」はこの世界に来てすぐに諦めたはずだ。


「……公には、な。だが裏社会では今も、非合法な奴隷取引が行われているらしい」


ヒロユキもこの話を聞いたのは最近だそうだ。

この城下の北側は貧民街になっていて、衛兵たちでも手に負えないほどに治安が悪いのだが、どうやらそこに奴隷を扱う商人がいるらしいのだ。


「……確証はない。だが……うまくいけば、奴隷っ娘とイチャイチャできるぞ」


ヒロユキの言葉を聞いて、僕はゴクリと生唾を飲み込んだ。



***



「相変わらず陰気な場所だな」


貧民街へと着いた僕たち3人は、ゴミや糞尿が散乱している道の上を例の奴隷商館へと向かっていた。


「仕方ないよ。魔王との戦いでこの国も疲弊してたんだから……きっとこれからどんどん良くなる」


魔王との戦いで、多くの人間が死んだ。

ここにいる人々の半数は、家族の稼ぎ頭を魔王との戦いで無くした人間だ。

兵士や冒険者として働いていた大黒柱を失った家族は、路頭に迷うしかない。

国も問題視していたようで何度も補償の検討などをしたそうだが、生憎魔王との戦いの中で財政に余裕があるはずもなかった。

結果、この貧民街に住む人間が増えてしまったそうだ。


だが、大元の原因である魔王は倒された。


国はようやく貧民街の開発に乗り出すそうで、衛生環境の改善や雇用の産出、遺された家族への補償などを始めている。


近いうちにも、この貧民街は綺麗な街へと生まれ変わるはずだ。


「……だといいがな」


僕がこの街の展望を語っていると、ぼそっとヒロユキが呟いた。


「どういう意味?」


僕が聞くと、ヒロユキは口の端を微かに吊り上げて言った。


「……この街にいる住人の半数は、確かに魔王のせいで貧しくなった人間だ。だが残りの半数は、元から貧しかった人間だってことだよ」



***



「ここが噂の奴隷商館?」


僕らの前には、立派な外観の建物が立っていた。

周囲にあばら家が多い貧民街の中にこんな立派な建物は滅多にない。奴隷商館は、まるで周囲と隔絶された一種の異世界にも見えた。


門の前に立っている門番らしき屈強な男に軽く頭を下げ、荘厳な門をくぐる。門をくぐる時、門番の男が舐めるように僕たちのことを見てきたのが印象的だった。

困ったな。僕にそういった趣味はないんだけど。勇者としての魅力が溢れ出ちゃったかな?


「ハルヒコ。何を考えてるのか知らんが、多分その考えは間違ってるぞ」


「……あいつは俺たちの服を見ていただけだ。『服を見て金持ちかどうか見極めろ』とでも主人に言われているんだろう」


どうやら僕の考えは間違っていたようだ。

お尻の穴を手で隠す必要もなかったらしい。

ニヤついた顔のユースケとヒロユキを放置して、僕は商館の入り口へと向かった。


とことんシラフじゃ書けない小説でゲス。

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