戦利品は戴く
彼女達の遺体は、丁寧に火葬した。
そのままにしていると魔素の多い場所、このゴブリンの村など魔物が多く生活していた場合に放置しとくと、アンデット系統の魔物にいつか成ってしまうらしい。
埋葬もいいが先生曰く、死霊術師に利用される場合があるらしい。
それでは彼女達があまりにも可哀想だ。
なので火葬し、骨はゴブリンが使ってた石で出来たトンカチで砕き、彼女達が居た倉庫にあったビンにまとめて入れる。
本は分けてい入れてあげたかったが丁度いい空きビンはこれしかなかった。
砕いた理由はただ火葬するだけではいけないらしい。
教会か聖魔法で清めた水、聖水をかけなくてはいけないそうだ。
残念ながら俺は聖魔法は使えない、なので法骨は砕き、ビンに詰めてから埋葬した。
墓標なんて気のきいたものもないので、持ってきた折れた剣を墓標の代わりに立たせた。
丁度村の外に一輪の白い花があったので丁寧に植え替えをする。
鑑定したらリポポーノと変わった名前の花で、花言葉が"永遠の幸せ" "明日への希望"だそうだ。
天国なんてあるのか知らないがあったらそこで幸せになってほしいものだ。
彼女達の埋葬が無事に終わり、俺は倉庫に向かった。
倉庫の中は、ゴブリン共が集めたのか、色々な物が入っている。
何気に整理されとる。ゴブリンの癖に。
まぁ、そんなことはどうでもいいとして、使えそうなのがあれば持っていくつもりだ。
さぁ、漁ろう。
漁ること15分、使えそうなのを何個か選んだ。
まず、おなじみの回復薬と毒消し薬、三本ずつ手にいれた。
たぶん俺自身には使わんだろう。
だって一撃死するほどの紙装甲だもん。
状態回復薬、呪い以外の状態異常を治してくれる。
ただ、一本しかないのでここぞとゆう時に使おう。
続いて魔力結晶石、これを一言で表すと予備バッテリーってところか。
魔物にとってはMPの回復に使える便利なもの扱いだろう。
他には加工して武器や防具、装飾品に使えるらしい、俺には必要はないかもしれないが持っていく。
商人の日誌もあった。
大分古い、誰かを襲って手にいれたのか、彼女達の誰かのものか、定かではないが読めるので持っていく。
この日誌の家族か友人に届けてやりたいしな。
もちろん、俺はしゃべれないので字を書くことからはじめよう。
帽子も手にいれた。
帽子名が"賢者の三角帽子"だ。
見た目はいかにも魔女ですと言わんばかりな帽子で、てっぺんの先っぽに魔力結晶石を加工した、青色の宝石の様なものが付いてる。
鑑定したら、とある魔法使いが作った作品らしく、何故か名前の処だけ鑑定でも無理だった。
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道具名:賢者の三角帽子
耐久値:100/100
内蔵魔力値:200/200
ランク:A
装備者:
防御力+10 魔攻+10
魔防+10 敏捷+10
装備スキル:
〔自動修復〕〔自動洗濯〕
〔全状態異常無効〕
〔攻撃魔法ダメージ半減〕〔内蔵魔力回復〕
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装備スキルは装備者に恩恵または災厄を与えるらしい。
ランクがA?ようわからん。
自動修復:
道具自身が持つ魔力を消費して道具自身が受けたダメージを自動で回復するスキル。
自動洗濯:
一定時間たつと洗濯した状態になるスキル。
どんな汚れも臭いも綺麗に消える。
全状態異常無効:
ありとあらゆる状態異常を無効化するスキル。
攻撃魔法ダメージ半減:
どんな攻撃魔法もダメージを半減にするスキル。
内蔵魔力回復:
内蔵された魔力結晶などの魔力を自然回復するスキル
魔道具との相性がいい。
この様な感じだ。
何故にゴブリンが持っていたかは不明だが、宝の持ち腐れはよくないので俺がいただく。
でも、これは装備したままでないとこのスキルは発動しないのか。
『長い間装備を続けると装備スキルは装備者に帰還します。』
てことは、この便利なスキルは帽子が無くても手に入る可能性があるのか。
これはいいことを知ったな。
そして、ゴブリンとの戦いで忘れていたが俺のLvも上がり、新しい称号も貰った。
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個体名:グリーンピース
種族:グリーンスライム
性別:なし
Lv:9
ランク:F
装備
・賢者の三角帽子
HP:23/23
MP:28/28
攻撃力:11
防御力:19
魔攻:20
魔防:22
敏捷性:26
固有スキル
〔溶解&吸収〕 〔分裂〕
〔魔力感知〕 〔振動感知〕 〔熱感知〕
転生スキル
〔鑑定〕 〔群にして個〕
〔ぷるぷるボディ〕
装備スキル
〔自動修復〕〔自動洗濯〕
〔全状態異常無効〕
〔攻撃魔法ダメージ半減〕
〔内蔵魔力回復〕
スキル
〔腐食耐性〕 〔打撃耐性〕
称号
分裂体の司令塔
スキルを愛でる者
ゴブリンキラー
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おぉ!一部のステータスが一気に高くなった。
理由は帽子の効果が加算されたからそうだ。
称号の方は、ゴブリンキラー?なんぞや。
称号:ゴブリンキラー
ゴブリンを1人で20体倒した者に贈られる称号。
ゴブリン系に与えるダメージを増加、受けるダメージを減少させる効果がある。
だそうだ。俺はゴブリンなんて一体しか倒してないぞ?
『分裂体は個体グリーンピースであり、結果的には1人で倒したことになります。』
あ、忘れてた。
こいつら俺でもあった。
まぁ、とりあえず俺達は戦利品を持ってこの村を後にした。
軽く補足
道具ランク
Sランク:神級
神によって創られた道具。これ一つで世界を救うこともできれば壊すこともできる。
ただし、道具が使用者を決めるため、使うどころか触れることさえできない。
アーティファクトもこの部類。
Aランク:伝説級
国宝級の人物により創られた道具。これ一つで城を一つ買うのとができる。
Bランク:特殊級
この世に2つと無い代物。
Cランク:上級
生産が難しく、それなりの値段がする。
Dランク:中級
多く生産された、誰でも買うことができる。
冒険者の多くがこのランクを装備している。
Eランク:下級
実戦にはあまり向いていない。
その分、安く手にはいる。
Fランク:雑級
実戦ではただのゴミ
レプリカや観賞用、装飾品としては最適なので、あえてFランクを使用にする人もいる。