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第2話:初めましては突然に……
生徒玄関で靴を履き替え、中央校舎2階にある1年多目的ホールで受付を済ませ紫苑と別れた。
「クラスで知り合いいないとか、マジ切ない……」
ブツブツと独り言を呟きながら歩く廉斗。
紫苑と別れる前、受付でもらった入学式のパンフレットを流し読みした時、なんと見事に廉斗の知り合いがいなかったのだ。
「おっはよ!」
「いってぇ!」
声がした瞬間に右肩にくる鈍痛。
振り向けば、背か高くて黒縁メガネをかけてる男子が爽やかな笑顔で廉斗を見ている。
「ちょ、初対面の人にいきなり肩パンは無いですやん!」
「ごめん、やっぱりそうだよな?」
その男子はA組の教室の前に立ち止まって振り向く。
「俺、A組の小峰慶太って言うんだ。 君は?」
「俺は永田廉斗。 俺をA組や」
「廉斗な。 俺の事、慶太でも何でも呼んでいいから」
「おっ、おう……」
言い逃げしたかのごとく、慶太はそそくさと教室に入る。
少し呆気に取られるも、廉斗も教室に入った。