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以前書いたものを現実化した物語です。
ゆっくりになるとは思いますが、楽しく書いていきたいと思います。
「○○さん、○○さん、朝ですよ」
まだ頭の働かない少年のことを誰かが呼んでいる。
「そろそろ起きないと学校に遅刻しますよ」
「ん〜」
今呼ばれている青年(僕)はとある高校に通う二年生。
身長は182センチで痩せ型、顔は中の上といったところだろうか。
成績も良く常にトップ30には入っているが、あまり勉強には興味がないようで現状を維持するためだけに暗記しているに過ぎない。
そしてこの世界で一番大事な数字、人間レベルは7。
この歳で7というのは世界でも少数の部類に入る。
レベルが5まで上がると、そこから上は何かしら国、または世界に対して有益な事をしなければ上がらないシステムになっている。
なのでレベルが上がれば上がるほど、歴史に名を残すような偉大な人間の名前が出てくる。
彼がレベル5の壁を越えるのに何をしたのかは、また今度書くことにする。
現在両親は共働きで殆ど家にはいない。
基本海外を拠点に仕事をしているので当然といえば当然なのだが。
普通の家庭なら子供一人残して海外に住むことはあまり考えられないと思う。
だが僕の親は両方ともレベル8ということで国からいくつかの特別待遇を受けることができる。
内容については詳しく明記されている訳ではなく、大まかな内容や金額などが書かれているだけである。
なので待遇自体は内容を受ける側が考え、人間レベルを管理している独立機関に提出した後、後日結果を知らされるという流れなのだ。
要望が通る基準など詳しいことはごく一部の人しか知らないらしく機関の透明性などに批判が出ることもあるが、広い視野で見てみればこのシステムは非常に明確で判り易く一定の成果を出していることから多くに人に支持されている。
対応なども親切で細かなところに手が届くようなサービスがあるのも、この機関が安定した業績を残せている要因なのかもしれない。
まぁそのおかげで僕の家も家政婦を雇うことができるわけだが。
「あっ△△さん、おはようございます」
「おはようございます。また夜更かしですか?ゲームも程々にしないと駄目ですよ」
「ははは」
僕は苦笑いを浮かべるしかなかった。
最近買った新作のRPGが面白くてここ数日毎朝こんな感じなのだ。
「朝食用意してあるので、早く顔を洗ってきて下さいね」
彼女はそう言うと部屋を出て行った。
言われたことを済ませリビングに向かう。
ドアを開けると好い香りに鼻腔をくすぐられ連動して腹の虫が鳴いた。
「すぐ出しますから座ってて下さいね」
彼女は笑顔でそう言うと、用意してあったものを器によそってくれた。
今朝は和食のようだ。
献立は僕の健康のことを考えたバランスのよい食事を出してくれる。
最初のころは食事の内容をリクエストすることも多々あったが、和洋中どの料理も絶品なので最近は全てまかせっきりだ。
「どうぞ」
そう一言僕に声をかけ目の前に食事を出してくれる。
やっぱり今日も完璧だ。
僕は食事を済ませ彼女の元へ食器を持っていった。
「ご馳走様でした。今日も美味しかったです」
「ありがとう」
そう言って食器を受け取り彼女は洗い物を始めた。
こういうことも一人なら全て自分でやらなければならないと思うと、彼女には感謝以外の感情が見つからないものだ。
それから僕は自分の部屋に戻り学校へ行く支度を済ませ玄関へ向かう。
靴を履いているといつものように彼女がお弁当を持ってきてくれた。
「お弁当どうぞ。今日のおかずは○○さんの好物なので楽しみにしていて下さいね」
笑顔の彼女からお弁当を受け取り一言お礼を言って僕は学校へ向かった。
いかがでしたでしょうか?
続きが楽しみだと思っていただけると嬉しいです。
もしお時間がありましたら、読んだ後感想をいただけるとさらに嬉しいです。