女性として見れないと言われてしまいました
注意:R15です
・直接的な性描写はありませんが匂わせるような描写があります
・軽い拘束、無理矢理系の描写があります
ご理解いただけた方のみお読みください
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・地名とは一切関係ありません
*前書き必読
「レオン・フォルシュタイン並びにリルアーナ・トルドリン……汝らは健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、互いを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「「誓います」」
二人の宣誓がなされ誓いのキスが交わされると盛大な拍手と歓声が大聖堂を包み込む。
私たちは本日夫婦となった。
歴史は浅いが貿易により名を挙げたフォルシュタイン伯爵家と歴史と血統はお墨付きだが突出しているものが無いトルドリン伯爵家の典型的な政略結婚。とは言え、両家の間に摩擦は無くお互いも納得しての縁談だったので特に問題もなくトントン拍子に話は進んで行った。愛のない結婚だとしても、過ごしているうちに情は湧くだろうと、少なくとも私はそう思っていた。実際何度か会っているうちに彼の誠実なところに好感は持っていたから。
「……彼女を、リルを愛せる自信がない」
式が終わり、初夜を迎えようとしていた私が聞いたのは友人に自分の心情を吐露するレオンの姿だった。思わず壁際に寄り身をひそめる。応接室の僅かに開いたドアからはレオンと彼の友人であるイアン・リングバーグの姿が見えた。
「ばっ、お前自分が何言ってんのか分かってんのか?!いくら政略結婚とはいえ流石にそれは」
「俺だってどうしていいか分からないんだ!いい子だとは思う、でもそれだけなんだ……今の彼女を女性として見れない……だからと言って不貞を働くとかそんな気は……大事にしたいと思ってるんだが……」
「……女として見れないねぇ……お前今日どうすんの?」
「……一応そういう薬は持ってきている……自分用の」
「……大事にする気はあるんだね、ほんとに……」
そこまで聞いて私はそこを静かに離れた。
政略結婚というものは当人たちの気持ちはほとんど無視される。
けれども少なくとも男性として、異性として彼を見ていた。
『女性として見れない』
だからその言葉は思ったよりも私の心に傷をつけた。
勝手に目の前が滲んできたので手荒にその水を拭き取ると夫婦の寝室にある洗面台に向かい顔を洗った。部屋に入って真っすぐに洗面台に向かい顔を洗う私に部屋を整えていた侍女が驚いて駆け寄ってきたので、目にゴミが入って痛かったと適当な嘘を吐いた。その嘘を信じたらしい侍女に軽く整えてもらうと後はもう大丈夫だと言って私は一人ベッドへと腰かける。
「……どうしよう」
優しい彼のことだ、自分用の薬というものを使って初夜を迎えようとするだろう。気持ちが伴わないのが政略結婚だとは言え、私は彼の心情を知ってしまった。その状態で初夜を迎えられるほど大人かと言えば、まだそこまで大人にはなれなかった。
「……そっか……期待していたのね……」
政略結婚とは言え、どこかでお互いの想いが通じ合うと、恋人とは言わなくてもそれに準ずる関係になれると期待していたのだ。それはつまり私は彼にすでに好意を持ち始めていたということで。
「……ふふっ、政略結婚なのに失恋……?意味が分からないわ」
自虐的な笑いが漏れそのまま後ろに倒れる。ベッドに撒かれた赤い薔薇の花びらが宙に舞い余計に私を惨めにさせた。
それからしばらく経った後、ノックの音とともにリル、という声が聞こえる。
ゆっくりと起き上がりそのままの姿でドアを開けると、開いた先にいたレオンは遅くなってすまないと謝って部屋に入ってきた。横になったことで乱れている私の服には何も触れないまま。
彼は真っ先に水差しを見つけてコップに水を注ぎ始めたので、近くに寄ってそのコップに手で蓋をするように覆う。私の行動の意味が分からないのか戸惑いながらどうしたんだと聞いてくる彼に大丈夫ですと答える。
「レオン様、私たち契約しましょう?」
「……契約……?」
私の言葉に更に混乱した彼を椅子に導き座らせる。そして近くから紙とペンを取り出して机に置いた。
「……私たちは政略結婚です。お互い譲れないこともあるでしょう……それを守るために契約しませんか?」
「何を言って……」
「そうですね……先ず、私の有責で良いので子供は親戚から養子を貰いましょう……それに伴い夫婦の営みはしなくて構いません」
「え、ま、待ってくれ!なんで、そんな……それに君の有責とはどういうことだ、そんなことをしたら……」
「……私を女性として見れないのでしょう?」
「……!!」
「……跡継ぎを作ることは貴族にとって義務のようなもの……私は年齢的にまだ猶予がありますし、すぐに作らなくても問題ありません……何か言われればまだ二人きりの時間が欲しいとでも言えば納得するでしょう……そうしてかわしていった後は私が子供の出来にくい体質だという設定にしましょう、そうすれば周りは貴方に他の女性を勧めるかもしれませんが、出来れば……っ」
「……なんで、知ってるんだ」
淡々と話す私の手を取ると血の気が引いたような顔で私を見つめる彼がいた。その掴んだ手は決して強くなく、振り払えば簡単に取れてしまうようなそんな優しい拘束だった。
「……友人との会話はもう少し周りを確認してした方がよろしいかと」
「聞いて、いたのか」
「……結果として盗み聞きのようになってしまったことは謝ります」
全てが繋がったのかレオンは力なくその拘束を外し椅子に深く腰掛け俯いた。
「……申し訳ない」
「……っ、謝らないで、ください……私が惨めです」
「ちがっ、そういう意味では……」
顔を上げた彼がそれ以上の言葉を紡ぐのをやめ静かに席を立つ。すぐに戻ってきた彼の手には真新しいハンカチ。見覚えのある刺繍に、以前私が贈ったものだと気づいた。それを見て溜まっていた涙が静かに流れるのが分かり、一度決壊すればとめどなく流れていく。
「っ、ふっ……なんで、ダメ、なんですか……私っ、そんなに……」
「……申し訳ない、まさかここまで君を追い詰めることになるなんて思っていなくて……」
問いに対する答えが返ってこないことに、余計に私は苛立っていく。彼が大事にしたいと言っていたのは本当のことらしいが、今はその優しさが辛い。
「私、だって、心が伴わなければ嫌だとかっ、そんな子供じみたことを言うほど子供じゃないんです!でも、だからと言って、相手にその気がないのに受け入れるほど、大人にもなれなかった……っ!」
「……リル」
「なんでっ、最後まで隠してくれなったの……!どうして、誰かに聞かれるようなところでそんな話をしたの……っ!私が、貴方に絆されていくのをみて、あなたはどう思っていたの……」
最後の方は嗚咽に紛れてちゃんと言えていたかも怪しいが、それでも彼は聞き取れたらしい。すまないと謝りながら背中を擦る彼に私は余計に涙が止まらなかった。
「……契約書のことだが、少し待って欲しい」
ひとしきり泣いた私は少し落ち着きを取り戻し、また二人机越しに向かい合っていた。
何でですかという意味を込めて彼を見つめると意図を組んだ彼が頬をかきながら続ける。
「……一応夫婦になったばかりだ、君もまだ若い……もう少し様子を見てからでも遅くはないと思う……勿論、君を大切にするといったことに嘘偽りはない、他の誰かとどうなる予定もない……そして、そんな人もいない」
「……でも期限は決めましょう、養子を貰うにしても早い方がいいですから」
「……そうだな、では五年でどうだろう」
「……分かりました」
五年後と言うと私は二十三歳、彼は三十歳、第一子を迎えるには丁度よい時期だろう。
その五年の間に、彼は私を女性として見てくれるようになるんだろうか。
「……結婚式でも疲れているだろうに、泣いてもっと疲れただろう?今日はもう横になろう」
そう言って立ち上がる彼につられて席を立つ。真っすぐベッドに向かう途中思い出したように棚へと方向を変えた。先にベッドに上がった彼に、本当に意識されていないんだなと勝手に落ち込む。いくら初夜をしないとはいえ、同じ布団に入って眠ることが出来るのだから。
棚からある物を手に取りベッドに上がると徐にガウンを太ももまで捲る。当然横にいた彼は驚くがそれよりも早く内ももを小さなナイフで傷をつけた。皮膚を薄く切るピリッとした痛みとともに鮮血が滲み、それをシーツに押し付ける。
「な、にしてるんだ!!」
「……初夜を迎えたように見せるための偽装です……破瓜の血が無いと怪しまれるでしょう?」
「だからと言って君を傷つけることはないだろう?!」
怒る彼に戸惑っていると彼は急いで部屋に置いてある手当箱を持ってくる。綺麗な水を染み込ませた布巾を持ったまま近づく彼に我に返った。
「まっ、自分で出来ます!」
「先ずはナイフ没収」
握ったままのナイフを差し出すよう出された手と有無を言わせない顔と言葉に大人しくナイフを渡す。それを自分の方のナイトテーブルに置くと私の足を掴んで開いた。驚く間もなく同時にタオルがかけられ患部以外は露出していない状態にされる。丁寧に血の付いた部分を拭き取られ、ガーゼを当てて上から包帯が巻かれる。その手つきに厭らしさは微塵もなく、テキパキとあっという間に手当てが終わった。
「……どうして俺に言わないんだ」
「……レオン様のお手を煩わせるようなこと……」
「年頃の令嬢が自らを傷つける必要はない」
だって、と続ける間もなくいいか、と手当箱の蓋を閉めた彼が私を指差した。
「確かにまだ女性として見れないとは言った、だが一人の人間として、そして伴侶として大事にする心は俺にだってある……俺のためにしてくれた君の行動を責めるつもりはないが、相談ぐらいはして欲しい……偽装のための血なら俺のだろうと分からないじゃないか」
「……はい」
「それに、その包帯を明日どう説明するつもりだ?着替えや入浴の時には嫌でも目に入るだろう?」
「その、ここまで大げさになる予定ではなかったので……出来るだけ見えない所に傷をつけたのですが……」
「……はぁ、幸いそんなに深い傷でも範囲の大きい傷でもない……明日になれば塞がっているだろうし、俺がこっそりと処分しよう」
「……お願いします」
少し腑に落ちないまま返事をするとガウンを直され身体を倒される。布団を掛けられると隣にレオンも横になった。
「……とりあえず休もう、明日は皆気を遣って早くは起こしに来ないからゆっくりしててくれ」
「……分かりました……おやすみなさい、レオン様」
「おやすみ、リルアーナ」
就寝の挨拶とともにレオンには背を向ける。
枕から薔薇とは違う甘い香りがして不思議と気分が落ち着いた。
その匂いを嗅いでいるうちに疲れもあったのかあっという間に周りの音も気配も感じなくなり、眠りの世界へと入っていった。
………
「……ん」
微かに聞こえる鳥の囀りに意識が浮上する。ゆっくりと身体を起こせば見慣れない部屋で、椅子に掛けられたガウンを見て昨夜のことを思い出した。隣を見ればすでにレオンの姿は見えず、温もりも失っていた。一体いつここからいなくなったのだろうか。
近くにあったベルの紐を引っ張ると実家からついてきた侍女のメアリーが入ってきた。
「おはようございますお嬢様……いえ、もう奥様とお呼びしないとですね」
「おはようメアリー、なんだか不思議な感じだわ」
メアリーがカーテンを開けに行く間、ふと太ももを触れば包帯が無いことに気づく。約束通り外してくれたようだ。
(……待って、私その間も寝ていたということ……?!)
流石にそれはどうなのだろうかと思ってしまう。変な顔をしていなかったか、寝相は悪くなかったか、そんなことを考えてふと冷静に戻る。きっと、彼は私のそんな姿すら興味がないのだろう。瞬く間に気分が沈んでいくのをメアリーの声が引き留めた。
「それにしても随分濃厚な夜を過ごされましたね?」
「……貴女、そういう話好きだったかしら?」
「いえ、お嬢……奥様がこんな時間まで寝ているのは初めてですし……何より首元が……」
「え……?今、何時なの?」
「そうですね、お昼まであと二刻というところでしょうか」
「えぇっ?!」
物心ついたころから体調が悪いとき以外でそこまで眠っていたことはない。流石にそんな時間ならレオンが隣に居ないのも当たり前だろう。彼のことだ、きっとギリギリまでこの部屋に居たことは間違いない。
「……因みにレオン様っていつ部屋を出たのか分かる?」
「確か一刻前にどうしても外せない用事があるからと言って出ていきましたね」
「……フォルシュタイン夫人初日からなんてことを……!」
「まぁ、皆さん色々と察していたので今日ぐらいは大丈夫だと思いますよ」
じゃあ支度しましょうか、と言って顔を洗う桶が出される。水を掬おうとした時に反射した自身の姿に違和感を覚える。少し波が落ち着くのを待って再確認した後、私は洗面台にある大きな鏡へと走った。
首元に残る複数の赤い痕。付けられた記憶が無いものに思わず指を添えた。この位置だとハイネックのドレスを着なければ見えてしまうだろう。
「~っ?!」
「あれ、もしかして気づいてなかったんですか?旦那様ったら中々やりますね」
私の奇行の後を追ってきたメアリーがにまにまとこちらを見ているが、内心それどころではなかった。偽装のためのものだと分かっている、けれどもその確かな痕に喜びを感じている自分がいることが一番辛い。ぐっと込み上げるものを飲み込みその場で顔を洗う。メアリーにはその行動が照れ隠しのように映ったらしく、生暖かい微笑みが来るだけで特に何も言われなかった。
日も暮れて帰ってきたレオンを出迎え何事もないように食事をし、また夜になる。
部屋に二人きりの状態になると首元を指差し彼に詰め寄った。
「レオン様!!いつこんなことをしたんですか!?一日中使用人の方々から微笑ましい顔を向けられて恥ずかしかったんですけれども!!」
「ん?あぁ、わかりやすくていいなと思い……因みに今朝だ、包帯外した時も起きなかったし、それ付けても起きなかったし……起きたら説明しようと思ったんだが、余程疲れていたんだな」
「~~~~っ?!!?」
あやすような口調で言われ、挙句頭を撫でられる。一人で騒いでいるような恥ずかしさもあって何も言えなくなった私は布団をかぶり丸まった。
「リル、そういえば怪我の具合はどうだ?」
「大丈夫です!!もう塞がってます!!」
「そうか、ならよかった」
微かに安堵するような吐息が聞こえ、きゅっと胸が捕まれるように感じる。
(もっとひどい人だったら、ろくでもない人だったら……こんな感情持たなかったのに)
自分ばかりが好きになっていくようで悔しいような、寂しいような気持ちを抱えながら今日もまた彼の隣で眠りに落ちた。
………
そんな日々を続けて半年ほど経った頃だろうか。相変わらず距離は縮まらないままではあるが、表面上は夫婦として上手くやっていると思う。伯爵夫人としてそれなりに実務もこなし充実した生活を送っているのだが……最近、私の周りで不可解なことが起こっている。
「……また無くなっています」
「……今日は何が無いの?」
「ハンカチですね……昨日完成したやつです」
昨日まであったものが次の日に忽然と姿を消しているのだ。
最初に気づいたのは食べかけの菓子だった。次の日に取っておこうと厨房に置いてあったものが無くなっており、その時は誰かが間違って捨ててしまったのだろうと深くは考えなかった。しかし菓子に続き、愛用していた万年筆、手袋の片方、髪飾り、そして今回のハンカチ。ここまでくると流石に意図的なものを感じて気味が悪い。
「そろそろ旦那様に相談した方がいいんじゃないですか?」
「そう、ね……でも皆のこと調べても何も出なかったし……」
申し訳ないとは思いつつ、髪飾りが無くなった時には使用人全員の身体検査と部屋の確認を行った。無くなったことは複数の目撃者がいる為、皆快く受け入れてくれたのだが、屋敷中どこを探しても見つからなかったのだ。
「動物とかならまだいいんですけど……」
「や、やめましょう、それ以上は口にするのはちょっと怖いわ」
光物を集めるような鳥の仕業なら問題ない、けれども仮に人が関わっているのだとしたら。
「何を口にするのが怖いって?」
「!!!」
背後からの声掛けに飛び上がって驚く。声を出さなかったことを褒めて欲しいくらいだ。
私の驚きようにレオンは慌てて謝ってきた。
「……そんなに驚くとは……それより、どうした?」
「その……実は、ひと月ほど前から私の私物がいくつか無くなっておりまして」
「……そんな報告はされてないが」
「私が止めていたのです、すでに屋敷中も使用人にも確認しました……それでも見つからず、今日はハンカチが無くなったので……そろそろレオン様にも伝えた方がいいと思ったところです」
「……出来れば今後は些細なことでも最初に伝えてくれ」
「……申し訳ありません」
俯いた私の肩に彼の手が乗る。心配かけたくなかったんだろう、と言われ頷けば二回肩が叩かれた。
「それにしても一体いつ、どうやって盗っているのか……」
「奥様の執務室や、厨房、それに私室……どこもそれなりに人の出入りがあるところなので分からないはずがないのですが……」
「……久しぶりに点検も兼ねて俺が直接見て回ろう。リルはいつも通り過ごしていてくれ」
「はい……分かりました」
心配するな、という声を残してレオンは屋敷の見回りに部屋を出ていった。
寝る前に聞いたレオンの報告では不備はないという判断で、現状は彼でさえお手上げ状態らしい。
無くなったらすぐに報告するように、と念を押されその日は就寝した。
そして次の日、いつものようにレオンを見送り執務室で仕事をこなしていると机の上に先程までなかったカードが乗っていることに気づいた。何気なくそのカードを持ち裏返す。
「え……っ!?」
そこに書かれた文字を読み終わるのと、目の前が真っ暗になるのはほぼ同時だった。
………
「……っ、ん……?!」
身体の痛みに意識が覚醒するも動くべき手足が動かないことに軽くパニックになる。目を開ければ見たことのないロッジのような部屋で、手足は手首と足首でそれぞれロープで縛られているようだった。口には猿ぐつわが噛まされ、身動きが取れない状況となっている。身体が沈んでいることから恐らくソファかベットの上なのだろう。
「あ、起きちゃった?」
突然聞こえる声に身を固くする。部屋の扉が開き現れた姿に私はまた驚き、同時に恐怖を感じた。
「そんな怖がらないでよ、直接会うのは三回目かな?リルアーナちゃん」
レオンの友人、イアン・リングバーグ。
にこりと微笑む彼に恐怖と混乱で思考も動作も止まってしまう。
「ははっ、どうしてって顔してるね……そんなの決まってるじゃん……レオンから君を奪うためだよ」
私のそばに腰かけた彼が髪をすくいそこにキスを落とす。そのまま匂いを嗅ぐような仕草に背筋に悪寒が走った。
「はぁ、いい匂い……君の手袋もいい香りがしたけど実物は格別だね」
「……!!」
「……そうだよ、レオンのところの使用人買収して君の私物を盗っていたのは俺……ったく、あの使用人ビビッてしょうもないものばかり盗ってくるからこんなにも早く俺が動くことになっちゃったじゃん」
(イアン様、が……いやだ、怖い、レオン様……!)
「レオンに君を紹介してもらった時からずっと好きだったんだ……所謂一目惚れってやつだね……その時にはもう君たちの婚約は決まっていたから、この想いには蓋をして、最初こそ二人の幸せを願っていたんだけど……結婚式の夜、あいつがあんなこと言うから……!」
『今の彼女を女性として見れない』
聴こえてしまったその言葉を思い出して思わず顔をしかめると、その内容が気になってると勘違いした彼がにっこりと笑ってその台詞を繰り返す。
「君のこと女として見れないんだって!信じられなかったよ、こんなにも君は魅力的なのに……だったらそのまま初夜なんて過ごさなければいいのに、しっかりやることはやるんだもんな」
分かっていたこととはいえ他人の口から聞くのはまた違ったショックがある。滲んできた目の前の景色に首を振ってその涙を飛ばした。その様子を見て彼は丁寧な手つきで私の頭を撫でる。
「……可哀想に、君は愛されていると思っていたんだろう?あいつ外面だけはいいからな……でも、実情を知って君もレオンのことを軽蔑したでしょ?大丈夫、すぐにレオンのことなんて忘れさせてあげるよ」
「!!」
軽い身のこなしで私に馬乗りになると、どこから出したのか折り畳み式のナイフが目の前に突き出された。どうにかして逃げようとしていた身体が一気に固まる。
「動かないでね?君には傷一つ付けたくないから」
目の前に迫る鋭い刃に恐怖に染まった身体が動くわけもなく、彼の手で切り裂かれる服の感触を感じているしかなかった。お腹の辺りまで切られるとまだレオンにも見せたことのない素肌が露になりぎゅっと目を閉じる。音と感触だけを感じる中、素肌に触れたことが分かり勝手に涙が溢れてきた。
「泣いてる顔もそそるなぁ……でもなんでそんな顔するの?君のこと何とも思っていないレオンとは出来て、君のことを想う俺と出来ないはずないよね?」
「イアンっ!!!!」
バンッという音とともに聴きたかった声が部屋を満たす。先程まで上にあった重みが消え、目を開けた先に見えた背中に違う種類の涙が溢れて止まらなくなった。
「ちっ……!邪魔すんなよレオン!!これはお前のためでもあるんだぞ?!」
「何が俺のためだ!人の妻を誘拐したあげくこんなことまで……!!」
乗り込んできたレオンがイアンに斬りかかり、それをイアンは避けてナイフで応戦する。決して広くない部屋の中で聞こえてくる金属のぶつかり合う音に私は身を小さくしてきつく目を閉じた。
「はっ、いつまで綺麗事言ってんだよ!?もうリルアーナは全部知ってるんだ!お前が彼女を愛せないってことを!」
「……黙れ!!」
「だから俺がリルアーナをもらってやるよ!俺なら彼女を心から愛せるからな!」
「黙れ!!!」
ナイフで受けきれなかったのか胴ががら空きになったイアンにレオンが蹴りを入れ隣の部屋へと蹴り飛ばす。そこに待機していたフォルシュタイン家の私兵によって彼は取り押さえられた。
「リルアーナ!」
息を弾ませながら私を呼ぶ声に目を開ける。彼に似合わない汗と汚れの滲む姿にまた涙が出てきた。
手足のロープを切られ猿ぐつわも外される。手近にあった毛布でくるまれるとそのまま彼の腕に包まれた。
「すまない……こんな目に合わせてしまって」
「っ、れお、んさま……こわ、恐かったで、す……っ」
彼ではない人に触られるというのが、抵抗できない自分の姿を見られるということが、こんなにも気持ちが悪く恐怖を感じるものだとは思わなかった。思い出すだけでまた身体が震えレオンに縋りつくようにくっついていく。
「……抱えてもいいか?」
動ける状態じゃないと判断した彼にそう聞かれどうにか頷くと、全身をすっぽりと毛布で包み横抱きに抱え上げられた。顔を彼の胸に押し付けるようにして出来るだけ外の音を拾わないようにされる。
「……抵抗する……このまま……」
「…………あとで…………」
いくつか彼が指示をするような声が微かに聞こえ、その声を聞きながら私は意識を手放した。
『君のこと女として見れないんだって!』
「っ!!」
嬉しそうにそう言い放ったイアンの顔と台詞に目を開ける。呼吸が浅く早くなり、苦しくなって手を伸ばすとその手が誰かに掴まれた。驚いて手を引っ込めようとするも力強いその手はそのまま私の身体を引っ張り起き上がった背中に固いものが滑り込んだ。
「……落ち着け、リル……ここはもう安全だ」
「はっ……はっ、はぁ、レオ、さ……ま」
後ろから私を支えるように座ったのはレオンだった。彼の胸に背中を預けるような形になり、強張った身体の力が抜けていく。先程掴まれた手はそのまま握られ、彼は器用にナイトテーブルの上にあったコップに水を入れて私に差し出した。
「飲めるか?」
「……はい」
お互いの片手を添えて水を飲む。二口程飲み込めばいくらか気分も落ち着いた。
「……すまなかった……俺がもっと気を付けていれば……」
「……ご友人を、疑うことは難しいと思います……」
「それでも……自分の中だけにとどめておくべきだった」
それはきっと、あのことを言っているんだろう。
確かにイアンに言わなければ今回のことは起こらなかったかもしれない。
けれども誰かに相談したいという彼の気持ちも分からなくは無かった。
偶々今回は最悪の歯車が嚙み合ってしまっただけ。
「……レオン様、一つお願いしてもいいですか」
「なんだ?俺に出来ることなら何でもしてやろう」
私はきっと、これからもあの言葉に囚われて生きていくのだろう。
そして今日起きた出来事も自分の記憶に残り続ける。
それならば。
「……私を女性として、まだ見れないのかもしれません……でも、私は、貴方に私の全てを捧げたい……誰かに、貴方以外に、奪われるかもしれないと思ったら……!」
「リルアーナ……」
「そ、それに、少しでも今日の記憶を消したいのです……触れられた感触を、どうか、貴方の手で……!」
振り返ったその先で顎に手を添えられ唇が重なる。触れるだけのキスの後、少し離れた彼が低い声でいいんだな、と呟いた。その言葉に頷けばまた唇が重なる。
私を恐がらせないようとするその優しい手つきに、いつしか何も考えられなくなっていった。
………
隣で眠るリルアーナの頭を撫でるとくすぐったいのか小さく身じろぐ。動いたせいでズレた布団を肩までかけ直し俺はベッドを降りた。シャツを着てバルコニーへと出ると満月のせいで思ったより明るいそこにくっきりと人影が浮かび上がっていた。
「気分はどう?レオン」
「……悪くない」
「えぇ~それだけ?もっとこう、最高の気分だ、とか、すがすがしい気分だ、とかさぁ」
「……声を落とせ、いくら夜更けとはいえ見回りはいるんだぞ」
「僕がそんなへまするわけないだろ?」
目の前にいる友人だった男はそう言ってにっこりと笑った。イアン・リングバーグという架空の友人役を頼んだこの男は腕の立つ何でも屋だ。詳しいことは知らないし知ろうとも思わない。これ以上踏み込んではいけない所は自分でも分かっている。
「じゃあ報酬をいただこうか……あ、盗った物はどうする?」
「私物は俺が預かる、俺の執務室にでも置いておいてくれ……それとリルに触れたことは契約外だ、その分は引いてある」
シャツのポケットに入れていた小切手を渡すと不服そうに唇を尖らせた。
「おかしいな、君に見えてなかったと思うんだけど……それに綺麗な肌に触りたくなるのは仕方がないっていうか……っ!ちょっと!無言で斬りかかってこないでよ!!どっから出したのその短刀!?」
「黙れ、確認したなら誰かに気づかれないうちにさっさと消えろ」
「はいはい……全く、このお嬢さんも可哀そうだね、こんな奴に捕まって」
小切手の値段を確認しそれを仕舞うと男は優雅に一礼した。
「ご利用ありがとうございました、また何かありましたらいつでもご連絡ください」
バルコニーから飛び降りるように身をひるがえした男は下を見てもすでに跡形もなく消えていた。
そのままバルコニーの手摺に身を預けるように寄りかかり、煌々と輝く満月を見上げる。
リルアーナと初めて会ったのは婚約する半年前だった。
偶然自身の服を仕立てに寄った店に、彼女がドレスの試着に着ていたのだ。一目見て心の全てを奪われた俺は彼女の乗った馬車の紋章を頼りにその人物を特定した。
リルアーナ・トルドリン。歴史ある名家の一つだが、幸いにもまだ彼女に相手はいなかった。
しかし名家の令嬢というのはそれだけで結婚相手の格を上げる部分があり、彼女と縁を繋ごうとしている者は多かった。一方俺の家は歴史は浅いものの他国との貿易によって名を挙げた新興貴族。通常の求婚ではきっと相手にもされないだろう。
だから少しだけ手を回した。
さりげなくトルドリン家の取引先に潜り込み、そこを掌握して直接の関りを持つ。一つや二つではなく、半分程度を自分の手中に収めた頃、ようやくトルドリン家当主との直接的な取引まで辿り着いた。
そこからは少しずつ、絶対に下心が見えないように自分を売り込み、やっとリルアーナとの面会が許された。彼女が嫌がったり、何か気になるようなことがあれば即この話を無くすという条件付きで。
トルドリン伯爵も娘の結婚相手を決める気はあるようで、俺を含め五人に順次会っていく予定らしい。勿論他の四人のことはすぐに把握できたし、より好みで条件の良い相手を紹介するという約束を交わしてさりげなくこの舞台から降りてもらう算段は付いているのだが。
初めて会う日は本当に緊張した。俺が一人残る出来レースとはいえ、彼女に嫌われてしまったら元も子もない。一つのミスも出来ないその顔合わせは、あまりにも緊張しすぎて終わった後はほとんど何も覚えていなかった。
ただ、彼女が典型的な貴族のご令嬢だということは印象に残った。自分を一つの駒だと思い、政略結婚という愛のない結婚をすんなりと受け入れられるような、そんな高貴な人。きっと自分の感情を後回しにして表にも出さないだろう。
(……見てみたい)
彼女が、リルアーナが、己の気持ちに戸惑い、理解し、感情のままに涙を流し、叫び、怒り、そして笑い、喜び、はしゃぐ姿を。
(そしてその感情の全てを……俺が受け止めたい)
想像しただけでも体が震えるような感情が這い上がる。雷が落ちたような一目惚れから、いつの間にこんなにどろどろとした仄暗い感情になっていったのだろうか。そして自分がそういった感情を持つタイプの人間だったという衝撃も少なからずあった。
天が俺に味方したのか、二回目の顔合わせも決まり、そのまま予定通り俺は彼女の婚約者という立場を手に入れた。会う回数を重ねるごとにリルアーナも年相応な反応を見せることが増えていった。それでもまだ、彼女の感情のひとかけらを見ているに過ぎない。
どうすればもっと彼女の心を乱せるのか。
その心に俺だけが入り込み、留めておいてもらえるにはどうしたらいいのか。
そんな時だった、商談相手との何気ない会話の中で出てきた眉唾物の噂話である【金の魔法使い】の話を聞いたのは。なんでも金さえ積めばこちらが依頼したことを確実に叶えてくれるらしい。興味はさほどなかったが、こういった情報が別の何かに繋がっている可能性もあるため、一応詳しい話を聞いておくことにした。
「……何をやっているんだ俺は」
その日の夜、商談相手から聞いたとおりの手順でその【金の魔法使い】との連絡を取ろうと試みたのだが、直前になって我に返り腕を組む。窓際に置かれた五芒星が書かれた紙の上にぬいぐるみが一つ、その隣には水の中に金貨が一枚入ったコップを用意した。あとはその場で接続と唱えるだけなのだが。
「……ここまでやって試さないのも変か……接続」
念のため部屋にも、部屋の外にも誰もいないことを確認してあるため、何も起こらなくてもさほど羞恥心はない。寧ろこの噂は嘘であるという証明が出来たことが一つの収穫だ。
予想通り何も起きないため、片づけようとぬいぐるみに手を伸ばしたところラジオのチャンネルを探すような乱れた電子音が室内に響いた。驚いて部屋の中にあるラジオや蓄音機を確認するが動いている様子もなく、その間も何回か聞こえるその音に部屋を見渡す。
「――――あ――――――お―――――――」
雑音に交じり聴こえた声に俺はぬいぐるみに近づいた。
「――あ、あーーんんっ、もしもし~聞こえますか?」
「……聞こえている」
「お、ご利用ありがとうございますお客様、こちら何でも屋と申します」
あろうことかぬいぐるみから男性の声が聞こえてくる。そして会話が成立しているという事実に驚きが隠せない。戸惑いながらも返事をするとご用件は、と聞かれた。
「すまない、噂が本当なのかという実験目的もあり、用件をまだ考えていない」
「あれ、そうなんですか?おかしいな……いくら実験とは言え利用する気が無い人のところには繋がらないはずなんだけどな……お客様が今抱えている不安や悩みとかありませんか?」
「……悩み……」
そう言われて浮かんだのはリルアーナだった。彼女をいかにして完全に自分のものにするか、というのは悩みになるんだろうか。
「……守秘義務はどうなっている?」
「おや、お客様は商いに携わっている方ですかね?勿論契約書がありますので安心してください」
「そうか……本当に何でもいいんだな?」
「えぇ、勿論……ただしこちらにも最低限侵してはいけないルールというものがありますので先に説明させてもらいますね」
何でも屋とは言いつつも殺人や兵器の開発入手などはしてないそうだ。相談内容によっては確認が取れてから受けるかどうか決めることもあるらしい。
「それでは改めましてご用件をどうぞ」
「……婚約者となった女性がいるのだが……その人の全てを手に入れるにはどうしたらいいだろうか」
「……ん?婚約者になった時点でほぼほぼ叶っているのではないんですか?」
「対外的にはな……説明が難しいんだが、彼女の心を占めるものを俺だけにしたいんだ」
「あぁ……なるほど、そういった意味ですか……そうなると貴方とお相手の情報もいただくことになりますが構いませんか?」
「構わない、契約が交わされるならな」
「承知しました、ではその情報を基に少し調査をして受けるかどうか決めさせていただきます……人の心を無理矢理変えるのは僕のルールに反しますので」
「……分かった」
「ではまたご連絡差し上げますね」
そう言ってプツリと会話が途切れる。ぬいぐるみを持ち上げても中を触っても機械が仕込まれている気配は無く、どうやって今の会話が成立していたのか理解が追い付かない。夢でも見たような心地になっているとふと、水に沈めた金貨が消えていることに気づいた。
「……金の魔法使い、ね」
あながち間違いではないなと、窓際を片付けながらこの名前を最初に付けた人のことを思っていた。
そうして三日ほど経ったある日、その何でも屋はイアン・リングバーグという名前で俺の前に現れた。
どうやら俺の依頼は受理されたらしい。
人の心を無理矢理変えることはしない、ということは少なからずリルアーナの気持ちも俺にあったということだろうか。この男がどういったことを提案してくるのかは分からないが、それだけでも大きな収穫だった。
そうしてイアン・リングバーグは俺の友人となり、結婚式の夜へと話が進んで行く。
あの会話を聞かせたのも、私物の紛失も、誘拐も、全ては俺たちの掌の上。
半信半疑であったこの作戦も、寝室で感情が漏れ出るように泣いて怒った彼女の姿を見て確信に変わった。これこそが俺の求めていたものなのだと。ただ、その後に偽装のため自らを傷つけるような真似をするとは思っておらず、生粋の令嬢を甘く見ていたと痛感することにはなったのだが。初夜というものが重要な意味を持っているのは分かっていたつもりではあったが、いざその覚悟を見せられて流石にその時はただただ感心するしかなかった。
そしてもう一つ予想外だったのは枕に仕込まれた睡眠薬だった。恐らくイアンが一つのベッドで寝る俺たちに万が一にも間違いが無いようにと仕込んだものだろう。横になり気づいた俺はなるべく呼吸をすることを控え、リルアーナの寝息が聞こえた後急いで起き上がり新鮮な空気を吸いに窓を開けた。
「あれ、気づいちゃった?」
「……こんなことしなくても手は出さない」
上から降ってきた声に返事をする。姿は見えないがおそらく屋根の上にいるのだろう。
「念のためだよ、いざ目の前にしたら決心が揺らぐこともあるだろう?」
「……それより、少し予想外のことが起きた」
彼女が自らを傷つけてまで証明しようとしたことを話すと、じゃあついでだから見せつけておいたら?と首元に印をつけることを提案される。言うとおりにするのも癪ではあるが一理あると自分を誤魔化し会話を終え部屋に戻った。しかし、いざ彼女を目の前にするとすぐには動くことが出来ず、明日包帯を取るついでにしようとその日はそのまま眠りについた。
朝になって睡眠薬の効果が切れないうちに包帯を解く。昨夜は傷の手当に意識が向いていたがいざその白い柔肌を目の前にして思わず生唾を飲みこみ、理性をフル動員させガウンを戻した。そうしてそのまま彼女の身体をゆっくりと起こし腰かけた自身の身体にもたれかかるようにして、首筋に唇を這わす。刺激で起きないかと心配になったが全く起きる気配のない彼女に逆に心配になってきた。いくつか痕を付けた後、再び横にした彼女の呼吸や鼓動、脈を確認するも正常であることが感じられたため、一安心して布団をかけ直した。その晩、顔を真っ赤にしながら抗議してきたリルアーナはとても可愛らしかった。
その後私物の盗難と誘拐事件を起こし、今に至る。
あの男が彼女の素肌を見て触れたことだけは許せないが、概ねこちらの希望通りの結末となった。
リルアーナは今だ、俺が彼女を女性として見れないと思っている。けれどももう、彼女の中では俺しかおらず、俺しか彼女を満たせない。それは逆も然り、俺にもリルアーナしかいないのだ。
今までの出来事を振り返っていると背中に軽い衝撃が走り、お腹周りが締められる。
「……リル、起きたのか?」
「……」
抱きついてきたのは勿論リルアーナで、鼻をすする音にまた嫌な夢を見たのかと察する。その出来事すら俺たちの仕組んだものとは知らず、彼女は俺に縋りつく。
一度その拘束を解いて彼女を抱き上げると一緒に部屋へと戻りベッドに横になった。
落ち着かせるように顔にキスを降らせば、彼女の方から唇へのキスをねだられる。
その様子に秘かに悦を感じながら二人の夜は更けていった。
END
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