第六十二話:『新たなクラスメイト』
一夏太の記憶喪失が判明してから1週間が経過した。まだ一夏太の記憶を戻す手段もわからずにダークナイツも処遇を決めかねていた。ただでさえ代理人から能力を与えられたという非常事態だったのに記憶を無くしたことで連日会議を開いていた。
5日に及ぶ会議による話し合いの結果、日立一夏太は記憶の回復が確認されるまではダークナイツに保護される形となった。初めの方では今すぐに殺すべきだという声も多かった。
しかし、Aと石狩が日立一夏太の記憶が戻りまた人を害する行為を行った場合はダークナイツを辞任するという旨の契約書を出したことで死刑判断を取り消すことができた。
それでも問題は山積みでAは疲労が溜まりに溜まっていた。そんな中でAダークナイツのロリ制圧班総班長室で書類仕事をしている時に吉報が舞い込んできた。
「あー、しぬしぬ。ふつうにしぬ、やばいだろ。高校1年生にやらせるしごとじゃね〜。?なんだ、通知?書類の催促か?んーっと、っ!Kからだ、明日は学校行ける、まじか!よっしゃ、やる気出てきた〜!」
Kからは端末で明日から学校にいけると連絡がきて久しぶりに高いテンションで学校にAは行けると思い、その夜に提出すべき書類を全て片付けた。
Kが登校する日にAと同じように意気揚々とAの学校へ向かう少女が1人いた。その少女は長い緑の髪を結ばずにそのままにし、右の頭の方に綺麗な一輪の花をつけていた。
「フンフン♪フフ〜ン♪楽しみだなぁ」
軽快なステップを刻みながら少女は大きな丸い真紅の瞳を輝かせながら学校へと進む。まるで修学旅行に行くのかと思わせるほどその少女は学校に行くのが楽しそうだった。
「A君は覚えててくれてるかな?ふふっ」
その少女はまさかの匿名Aに想いを馳せながら学校へと向かう。そんなことは知らずにAはKを考えながら学校へ向かった。
Aが学校に着くと既にKは席に座っていた。その姿を見てAは小走りでKに近づいた。
「よっ!久しぶり、K」
「A、久しぶりだな。話は聞いたよ、任務の引き継ぎありがとうな」
「別にいいよ、Kは体の方は大丈夫か?」
「ああ、ぎりぎりで能力を使ったからなんとかな。今はもう万全だよ」
「ならよかったよ、……一夏太のこと悪かったな。俺があいつの気持ちに気付けてたらお前も一夏太だってあんな目に遭わなかったのに」
「いいよ、一夏太もお前も被害者だよ。悪いのは代理人の成神だけだ」
KはAに茜や石狩がAにかけてくれた言葉と同じように優しく慰めてくれた。
「それにそんなくよくよしてたら女にモテねーぞ、まあお前はロリ以外に興味ねーか」
「別にロリ以外にまったく興味がないわけじゃないしガチの小学生に恋愛感情は湧かないわ。それにお前こそ彼女いんのかよ、お互い非リアだろ」
非リア同士の可哀想な会話をしていると朝のホームルームの時間になり源先生が教室に入ってくる。珍しくきちっとした黒いスーツを着て、先生は深刻な顔をしながら話を始めた。
「今日はみんなに伝えないといけないことがある」
「えー、なになに。源せんせー、怖い顔して」
「伝えないといけないことってなにー?もしかして……退職!?」
教室の中でさまざまな憶測が飛び交う中でKとAも何の話か話していた。
「なんだろうな、源先生があんな真剣な顔するなんて」
「俺はただの冗談に賭けるぜ、源先生がこういう顔の時は大抵しょうもないことだ」
Kが大したことないと推測していると源先生の口が開かれた。クラスメイトの全員が固唾を飲んで源先生の話を聞く。
「えー、伝えなければいけないことは」
「それは………」
「新しいクラスメイトが加わることです!」
源先生が陽気な感じで話す。それを聞いたクラスメイトは全員、拍子抜けしたような顔をしていた。
「源せんせー、ビビらせないでよ!」
「いやー、ごめんごめん。でもやっぱ新しい子が入りやすいように雰囲気作った方がいいじゃん?」
「でも、新しいクラスメイトって何?うちらの学校って私立でしょ?途中入学とかできんの?」
「今から入ってくる子は親の都合で最近まで海外にいて学校に行けなかったんだ、で今帰ってきたから今入学したってこと」
「女の子?」
「ああ、新しく入ってくる人は女子だぞ」
源先生の言葉にクラス中が湧き上がる。男子生徒は新しい女子が入ってくることに狂喜乱舞し、女子生徒も可愛い子が来るかと楽しみにしている。
しかし、AとKは源先生が話したことに疑問を持つ。というのも普通の学校なら納得したかもしれないがここはダークナイツの管轄の学校だ。その学校に途中で入ってくるということは
「もしかしてダークナイツの隊員か?」
「たしかにありそうだな、今の時期にクラスメイトが増えるなんて怪しいし」
そんな話をしていると源先生が新しいクラスメイトに教室に入っていいよといって中に入れる。そして、入ってきた少女はクラスメイト全員の目を釘付けにした。
綺麗なエメラルドを思わせる深緑色の髪にルビーのように華麗な真紅の瞳、そして特徴的な頭の右側についている真っ白な一輪の花。彼女の可憐な姿にクラスメイトは釘付けになり、言葉を失っていた。
そして、それはAも例外ではなかった。しかしAが驚いたのは彼女のその可憐な姿にではなく別のことだった。
「じゃあ自己紹介をしてもらおうか」
「はーい、私の名前は一ノ瀬百華です。百の華って書いてももかって読みまーす、よろしくね!」
一ノ瀬百華と名乗った少女が元気よく自己紹介をする。その自己紹介でAの驚きは確信へ変わった。そして百華もAに気づくと、笑顔で駆け寄った。そしてAの前で止まると、
「久しぶり、小2以来だね!私のダーリンっ!」
「一ノ瀬………?」
そうAに向かって無邪気な笑顔で衝撃の言葉を言い放った。




