第五十四話:『松尾優』
石狩は思考を巡らす。
目の前のヘカトンケイルを収容者の望み通りに倒す方法を。
そして
「俺はダークナイツだ」
そういって石狩は躊躇なくヘカトンケイルへ攻撃した。
「なっ!?やめてくれ、痛いのはい、や、、だ?痛くない……?」
石狩から攻撃を受けたはずなのに収容者に痛みを感じる様子はなかった。
「なんでだ……?」
「俺の能力さ、君に痛みをなくすという制限をかけた。俺の能力の制限は簡単にいえばデメリットを受けてメリットを得るものだ」
石狩が収容者に説明する。
「今回は痛みをなくすというメリットもデメリットもあることだから痛みがなくなるという制限で痛みがなくなるというメリットを受けた感じだな。痛みはなければ動きが鈍ることはないが攻撃されたかわからなくなるからな」
「よくわかんないけどありがとう……」
「いや、このような力を持っているのに助けられなくてすまない」
「いいんだ、俺みたいな犯罪者なんて生きる価値なんてなかったんだから」
収容者が暗い顔で自重気味にいう。
「そんなこと言わないでくれ、君のように自分の罪を認められるような人は立派だ」
石狩が収容者のことを擁護する。
「いや、そんな、こと、な、うっ、うう!ぁあ!死にたくないよ!母さん、、、!」
石狩の優しい言葉に感極まり収容者が涙を流す。
石狩がヘカトンケイルの動きを止めて収容者の涙をハンカチで拭き取る。
「すまない、最後に君の名前を教えてほしい」
「俺は、松尾、松尾優だ」
「俺は石狩白だ、松尾優君。君のような人をこれからたくさん助けると誓おう」
「……ありがとう、少し気が軽くなった気がするよ」
石狩が松尾の顔へ大剣を振るう。
「ぁあ、ああ、ああああ!!!」
するとヘカトンケイルの体が崩壊する。
「なるほど、松尾君があのキメラの核だったわけか」
石狩がヘカトンケイルへ手を合わせて祈る。
そしてヘカトンケイルへ背を向け歩き出した。
「さて、A達と合流しに行こうか」




