2章第19話:『背水の陣』
ある日の任務帰りにAはダークナイツの談話室で西園寺茜と石狩について話していた。
「なあ、茜。お前って石狩さんの能力知ってる?」
「え?まあ知ってるけど急ね」
「いや、今日は任務で石狩さんと一緒だったんだけど石狩さんが能力使ってるとこ見なかったから」
「ああ、その任務の戦闘って早めに終わったでしょ?」
「ああ、石狩さんがえぐい力で全員倒したからな」
「それなら石狩さんはわざと能力使ってないのよ」
茜がホットのミルクティーを飲みながら話す。
「え!?石狩さん、あの性格で舐めプする人なの……?」
「いや、そーじゃなくて……、そういう能力なのよ」
茜が呆れながら説明する。
「石狩さんの能力は自身に制限を課すことで強化を得る《背水の陣》」
茜が説明する。
「その能力で石狩さんは戦闘開始から10分間の能力の使用の禁止っていう制限を自身に課しているの」
「えぇ、すげぇな。それにしてもまじで能力使ってなかったのか。最初は身体能力高すぎて肉体強化系の能力かと思ってたわ」
「たしかにそうね。石狩さんは素の力も凄まじいから」
「それで石狩さんはその制限でどんな強化を得られるんだ?」
「身体能力の向上よ」
茜の返答に思わずえ、と声を上げるA。
「じゃあ能力解放後の石狩さんって……」
「ええ、本気の石狩さんはめちゃくちゃ強いわよ。元の力に能力の向上でね、流石に私の超化ほどではないけどそれでも規格外ね」
茜が規格外と言う石狩の本気がヘカトンケイル戦で解放される。
「さて、俺の能力を使うのは久々だな」
石狩が大剣を軽く振るう。
「ふんっ!」
するとそれだけヘカトンケイルは何枚もの皮膚が切られ、血が飛び散り重傷を負った。
「ぁ、ああ、あ゛あ゛ぁぁぁ!」
ヘカトンケイルが反撃に無数の手を石狩に伸ばす。
しかしその手は石狩に届く前に止まる。
「届かないさ、俺の《制限》は俺だけに課されるわけじゃない。お前にも課せられるのさ」
石狩がヘカトンケイルの背後に回る。
「今お前は五秒間の静止の制限を受けている、代わりに防御力が上がっているが攻撃しなければ意味のないことだ」
ヘカトンケイルの制限が解除される。
だがその時にはすでに石狩の攻撃が始まっていた。
「はぁ!はっ!ふん!はぁぁぁぁ!」
石狩がヘカトンケイルに猛攻を仕掛ける。
「これで二十八回、早めに終わらそうか」
するとヘカトンケイルの皮膚が少し裂けて中の原型をとどめた収容者の顔が出てきた。
「た、たすけて、く、れ、、、」
「まだ意識があるのか……?」
予想外のことに石狩が動揺する。
「痛い、あんたが攻撃するたびに死ぬほど痛むんだ、攻撃をやめてくれ!」
「な、そんな。でも、どうすれば、ごふっ!?」
判断に迷っているとヘカトンケイルから反撃を喰らった。
「くそっ、どうすれば」
「もう殺してくれてもいい、こんな化け物になってまで生きられない。でもあんな痛みは耐えられない!」
収容者の言葉に石狩の攻撃の手が止まる。




