2章第16話:『少年院襲撃』
Aの嘔吐からしばらくして
Aの吐き出したものはAの部下の隊員が嫌な顔をしながら片付けた。
「それで今はどういう状況ですか?」
Aが石狩に戦況を尋ねる。
「おそらく11時頃に日立一夏太が少年院へ入り、中の人たちを人質にした」
「なるほど、あっち側から何かアクションはありましたか?」
「30分前ほどにおそらく中の一人が解放されて一つのメッセージを届けに来た」
「メッセージ?何ですか?」
「あなたよ、A」
茜が答える。
「俺?どういうことだよ」
「日立一夏太はあなたを中へ入れろと言ったらしいわ」
「……なるほど?俺が目当てか」
Aが一夏太の目的を考えていると石狩が話しかける。
「それでA、大丈夫か?」
「大丈夫って、そりゃあさっき吐いたんで大丈夫っちゃ大丈夫ですけど……」
「そっちもそうなんだが……そっちじゃなくて一夏太のことだ。両親のことで気にしてたろ」
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。おもろい先生がアドバイスくれたので」
「おもろい先生?」
「ええ、体罰賛成派の古臭い先生っすよ」
「そうか、なら安心だな」
石狩がAの肩を叩いて笑う。
「それでこれからどうする?Aは日立一夏太が要求しているから大丈夫だとしてそれ以外をどうするかね」
「そうだな、俺以外誰を入れるか、それか俺単身で入るか」
「Aが単身は危険だ、相手がAを指名している以上何か仕掛けが用意されているのは確実だ」
「そうですね、やはり最初の作戦通りに私と石狩さん、Aの三人だけで行くのが良さそうですね」
茜が石狩の考えに賛同して作戦を立てる。
「そうだな、では行こうか」
「「はい」」
Aと石狩、そして茜が少年院の扉を開けて中へ入る。
「!二人がいない、どういうことだ……?いや、結界か。最初から俺以外が来ることを想定済みってことか」
Aは少年院へ入った瞬間に二人と分断された。
一方、石狩は廊下に飛ばされていた。
「分断、想定済みということか。それになんだこいつは」
目の前には異形の生物。
たくさんの足と手、そして苦痛に歪んだ顔がついた醜悪な生物。
その上最悪なことにその生物は
「あの名札、まさかこの化け物、少年院の中の者達で作られたキメラか……!?」
石狩が覚悟を決めて大剣を鞘から引き抜く。
「うごぉぉ、た、たす、け、てぇぇ」
「……許してくれ、哀れな子たちよ」
茜は体育館の中へ飛ばされた。
「なるほどね、分断されたわけか。あなたの仕業?代理人さん?」
「ええ、その通りですよ。日立一夏太は匿名Aをご所望ですので」
「代理人ってことも否定しないのね、あなたがHの言ってたニャムなんとかっていうやつ?」
「ニャム=リムルカのことですかね?あいつも代理人ですけど代理人違いですね。私は成神善と申します、あなたは?」
「私はダークナイツ第一騎士団兼戦術班総班長、西園寺茜。覚える必要はないわ、恨まれるのは嫌だからね」
成神が手を槍に変形させ、茜が武器を構える。
Aが少し歩いた先には日立一夏太の姿。
「久しぶり、A。この前は楽しかったぜ」
「色々聞きたいことがあるけどそれはお前をぶん殴ってからだ」
長年の友と友が向かい合い、対峙する。
それぞれの戦いが始まる。




