2章第15話:『吐き出しちゃった』
昼休みにて
屋上でAは昼メシを食べていた。
「う〜ん、やっぱKがいないと暇だな」
友達のいない食事にうんざりしながら食べていると突然端末に連絡が届く。
「ん?なんだ、……!日立一夏太が少年院への襲撃を開始、直ちに現場へだと」
端末には日立一夏太が少年院への襲撃を開始したと書かれていた。
「ついに動き出したか、それにしても何故少年院へ襲撃を……?まあ、いい。今はあいつをぶん殴りたくてしかたがない」
Aは端末で車の手配をお願いし、学校に早退すると伝えた。
「早退?さっきまで元気そうだったじゃないか」
「ごほっ、ごほっ、あー、今すぐにでも死んでしまいそーだー。くるしー、くるしー、これは早退しかないなー」
源先生に早退するための適当な嘘をついて帰った。
「あ、ちょ、まちなっ、帰るな、A!」
源先生は納得して快く帰らせてくれた。
大きな声で別れの挨拶をしてくれる源先生を無視してAは校門へダッシュした。
「廊下を走るなーっ!」
源先生の声が響き渡る廊下を抜けて、校門へ辿り着く。
「お、もう車ついてる。ありがてー」
車の中に入り端末を確認する。
「班長、これをどうぞ」
運転席の隊員がAに第二騎士団の紋章が刻まれた黒の腕章とAの刀の瑠璃を渡してきた。
「おっ、さんきゅー」
Aが背中に腕章を付け、刀を腰につける。
ダークナイツが関わる事件にはテレビ局や警察ですら干渉が不可能だ。
そのためこのダークナイツであることを示す腕章がなければ現場に入ることができない。
「じゃあ運転頼むよ」
「はい、急ぎのため少し飛ばしますね!舌噛まないように喋らないことをお勧めします!」
「え?舌噛むってぇぇぇぇぇぇ!?」
隊員がアクセルを大きく踏み出し、車がえげつない速度で加速しながら道路を進む。
(こいつ、運転荒っ!!!)
車酔いしないようにAは一点に焦点を合わせることに全集中した。
「あ、着きました。班長」
「うぅ、頭がぐらぐらするぅ」
湧き上がる吐き気を抑えながらAは少年院の入り口に向かった。
すでに少年院を中心とした半径1キロは避難誘導が終わり、周りには人はいなかった。
「A、来たか」
入り口には石狩と西園寺茜の二人がいた。
「はい……」
「なんだ気分が悪そうだな、大丈夫か?」
「いや、ちょっと運転役の隊員の運転が荒くて……うぇ」
「何よ、ロリ制圧班班長がそんなのでへばってるんじゃないわよ!ほらっ、しゃきっと!」
茜がAの背中を叩く。
「ちょっ、何しておえええええええ」
背中に衝撃が加わりAが昼メシを吐き出す。
「おい!大丈夫か、A!しっかりしろ!」
「何してるのよA……」
「いや、お前が10:0でお前が悪いだろ……」
任務は史上最悪のスタートを切って始まった。




