第四十八話:『ぶん殴れ』
日立一夏太の家への突撃から2日後。
Aは学校にいた。
しかし、頭の中に一夏太の両親の死体がずっと蠢き本調子ではなかった。
「Aくーん、大丈夫ですか?」
授業中もずっと俯いていて担任の源先生に注意された。
「、あ、はい。すみません」
「…ちょっと後で職員室に来なさい」
「え、あ、はい」
周りから源先生厳しー、と声が上がる。
そのままAはぼーっとしながら授業を受けて職員室に行った。
「よし、来たなA。で、話だが何か悩みとかないか?」
「悩み、ですか?まあ、はい」
Aが歯切れ悪く答える。
「じゃあ先生に言ってみなさい、相談に乗ってあげよう」
「え?いや、でも先生じゃぁ……」
「なんだ、俺では頼りないか?贅沢なやつだなぁ」
「いや、そういうわけじゃ、うーん」
Aの頭に石狩の他人を頼れという言葉が浮かぶ。
「えっーと、なんか昔からの友達がグレちゃってどうしようかなって」
Aが少し濁しながら説明する。
「あー、そういうことか。なるほどなるほど」
(正直、解決するとは思えないけど言わないよりマシかな)
Aが源先生に期待せずに答えを待っていると源先生が話し出す。
「それならとっておきの方法があるよ」
「え、まじすか?」
「大マジ、それはね」
「それは………」
「ずばり、ぶん殴って更生させればいいんだよ!」
「……………え?」
まさかの回答にAが固まる。
「それ先生が言っていいんすか、PTAがキレますよ」
「最近の教育はぬるいからね、もっとバシバシ体罰あっていいと思うよ」
(思ったよりこの人やべぇな)
「いや、でもぶん殴ってそんな上手く更生できますかね?」
「不良みたいな人間はね、自分が全能だと勘違いしているんだよ。だから、一回ぶっ倒して頭冷やさせるのが一番さ」
(確かに今の一夏太はおそらく契約者になって特殊な力を持っている、なら倒せば更生できるか?)
源先生の考えに少し共感する。
「たしかにそうっすね、ありがとうございました。なんかすっきりしましたよ」
「そうか、では存分にぶん殴ってこい」
「ははっ、そうっすね。バカにお灸を添えに行きたいと思います」
Aはすっきりとした面持ちで職員室を出た。
「あ〜、なんか悩んでいるのがバカらしくなってきたわ。俺が一夏太をぶっ飛ばして更生させればいいんだ、簡単簡単」
Aが悩みを解消した時。
ある少年院の目の前にて
「じゃあ、始めるか」
一夏太と成神が動き出す。




