第四十六話:『思い出』
「久しぶり、A」
「お、おお、久々だな」
突然家の前に現れた一夏太に驚きながらも挨拶を返した。
(なんで今俺の家に?今捕えるか?いや、俺一人じゃ周りの民間人を守りきれない、話を聞いて契約者という確信を得よう)
「どうしたんだよ、突然」
「ああ、ちょっと話したくてな。入っていいか?」
「おう、夜だし冷えるだろ」
一夏太がお邪魔しまーすといって家へ入る。
「ていうか帰ってくるの遅かったな、何かあったのか?」
「ああ、えと、部活が長引いてな」
「じゃあなんで学校帰りなのに荷物持ってないんだ?」
「ああっと、それは、面倒だったから部室に置いてきたんだよ」
「なるほどな」
(なんかこいつ前より鋭いな)
「あ、一夏太。服にゴミついてるぞ」
Aが一夏太の服からゴミを取る。
「お、悪いな、A」
そしてリビングに着き、テーブルを挟んで二人は椅子に座りながら向かいあった。
「で、結局なんだよ。最近連絡も返してくれないし」
「わりーわりー、ちょっと最近色々あってな。それでこれからも連絡できそうにないんだ」
「まじかよ、色々ってなんだよ」
「それはまあ、いえねーわ、ごめん」
「そうか」
(やっぱ契約絡みのことか?)
「Aには伝えないとなって思ったんだよ、ずっと俺と一緒に仲良くしてくれてたから」
「なんだよ、急に。照れるな」
「Aはめちゃくちゃいいやつだよ、昔から俺の漫画を真剣に見てくれてたし。……小1からだよな」
一夏太がAと一夏太の出会いを話す。
「ああ、小1の時に急に隣の俺に面白い漫画見せてやる!っていってきたのが最初か?最初はビビったわ」
「誰かに見したくてしょうがなかったんだよ、でも最初に見せたのがお前でよかったよ。真剣に俺の漫画見てくれて」
一夏太が嬉しそうにいう。
「そりゃまあ、あんな自信満々に見せられたら、なあ?」
「そうか?それにAは色々手伝ってくれたよな、俺が本気で漫画家なりたいっていったらめちゃ漫画について調べてくれて」
「やめろよ、照れるだろ。でもそんぐらいお前には漫画家になってほしかったんだよ」
「伏線をしっかり撒けとか、下書きはちゃんと書けだの、トレースをやってみたらとか俺より詳しくなってたし」
「ははっ、確かに」
「Aはすげーいいやつだよ、でも、俺は」
「なんだ?」
Aが一夏太の言葉の続きを促す。
「いや、なんでもない。じゃ、帰るわ!ありがとな!」
「おう、じゃあまた」
「じゃあな」
そして一夏太はAの家を出て帰って行った。
一夏太が家から遠ざかったのを確認してAは端末を開いた。
「GPSはちゃんと機能してそうだな、でもあんなこと言ってくれるやつに悪いことしたな……」
先ほど一夏太からゴミを取るふりをしてつけたGPSの動作を確認した。
「あとで石狩さんに今日のこと連絡するか」
そうAは思い明日に備えて眠りについた。




