第三十三話『幼女審判空間』
「ぁ、う、ここ…は」
目が覚めて意識が戻る。
頭な少しの痛みを残しながらAは立ち上がった。
「ルリとの契約が上手くいったのか?体がやけに軽い、っ!」
死角からの影からの攻撃に即座に反応する。
影は驚いたかのような反応を残して気配を消して隠れた。
「これが魂の契約、生まれ変わったようだ。でもまだあいつの気配を探ることはできないしここままはやばいな」
Aは起死回生の案を考える。
「まあ、見えないなら全部攻撃すればいいよね」
Aが幼力を込める。
「幼女的火砕流」
爆発がAの周囲を巻き込み炸裂する。
「無詠唱でできちゃったよ、すげーな。で、あいつはどうなった?」
Aがあたりに舞う砂埃の中から影を探す。
「うおぉ!?しっぶとぉ!」
絶えず影からの攻撃は続く。
「うっ、あっ、ぐっ」
力を得てなお影の気配を探ることは不可能だ。
じわじわと削られてどんどんと不利になっていく。
「広範囲攻撃でもダメならあれしかないか」
矢部が決戦前に教えてくれたことを思い出す。
―決戦前
「えーっと、これでこの刀の使い方は全部教えたかな」
「てんきゅー、矢部。色々とありがとな」
その言葉に矢部が驚く。
「君が素直に感謝するとはね、風邪によく効くクスリでも処方しようか?」
「お前無免許だろ。それに薬がクスリになってるぞ、マッドサイエンティスト」
「いやでも君がこんな素直になるとはね。死というものは人を変えるものだ」
「矢部には色々と世話になったし、感謝ぐらいするよ」
その言葉に矢部は上機嫌になり、
「そうか、そうか。なら世間話程度に聞いて欲しいんだが結界術というものを知っているかい?」
「結界術?」
矢部が聞き覚えのない単語を挙げる。
「結界術というのは自らの能力のイメージを現世へ反映させるものだ。その空間では敵を閉じ込めることも可能だし、能力も飛躍的に向上する。」
「でも俺そんなんできないけど」
「頭の隅にでも入れておきたまえ、自身のイメージを現実に映し出すというイメージだ」
「まあ、一応頭に入れておくよ」
―現在
「もうこうなればぶっつけ本番だ!」
Aがイメージする。
「っ!」
Aの雰囲気の変化に影が構える。
「いけっ!…………あれ?」
「………?」
Aの頭上に槍のような刀のようなぐちゃぐちゃでぐにゃぐにゃのものが出てきて消えた。
「失敗した!?ぐっっ!!」
隙を見られて影からナイフで腹に一突を受けた。
「いってぇ、血ぃでちゃったよ」
(やべ、頭くらくらする)
Aが倒れそうになる。
すると後ろから馴染み深い声が聞こえた。
「もうっ、Aは私がいないと全然ダメだなー」
「えっ?」
後ろから声が聞こえたと思ったら見えない何かに手と手を交差させられた。
「ルリ?いや、これは!そういうことか、ルリ!」
Aは交差した手の中にイメージをうつしだす。
それを徐々に広げていく。
Aの周りの雰囲気が変わる。
「いける!これで、こうだ!」
手印を解いて、瑠璃に幼力を目一杯込めて地面へと突き刺す。
「幼女審判空間」
結界が訓練場を囲み、Aと影を閉じ込める。
「よし!成功しtっ、あぁああーあ!」
結界が作り出された直後に頭に強烈な痛みが走る。
「いや、これ俺もくらうのか?、そうか、これはロリ以外を拒絶するのか、っっ!やべぇ、早くなんとかしないとやば、い」
影も同じくもがき苦しんでいるがこのままでは相打ちだ。
その時、走馬灯がAの頭に浮かんだ。
これまでの様々な記憶が出てくる。
そのほんとんどがロリだったがその中でニコライの言葉を思い出す。
「ロリコンがロリを覗いている時、ロリもロリコンを覗いている、か」
その意味をやっと理解できた。
「ロリはこちらから一方的に見守るだけの存在じゃなくてロリも戦えるってことか」
Aが考えを改める。
「それなら、力を貸してくれ。ロリ」
影は依然苦しんでいる。
しかしAはもう苦しまずに平然と結界に立っている。
「おい、影!お前だけ苦しんでいる理由を教えてやるよ」
影はもう満身創痍だ。
「この空間ではロリ以外の者全てに致命的なダメージを与える。それは俺も例外じゃない、でも俺は今全てのダメージをロリに肩代わりさせている。そしてロリはこの結界の効果を受けない。」
影が崩壊を始める。
「だから、ロリはノーダメだ。……以前の俺ならロリにそんなことさせるのは無理だった。でもロリも戦える、守られるだけの存在じゃないと知った。だから勝てた。」
影に最後の一撃を入れる。
「終わりだ、影。ご主人様と地獄で反省しろ」
瑠璃を鞘にしまい、結界が解かれる。
Aが誰もいない訓練場に佇む。
「終わった、のか?」
Aが全てが終わった安堵感で力が抜け、へたり込む。
「敵は取ったよ、ルリ」
そして、そのままAは訓練場で倒れた。




