第二十六話:『影の手掛かり』
Aは二週間ぶりの学校へ登校した。
「お、Aじゃん。久しぶり」
同級生の日立一夏太が話しかけてきた。
「あ、ああ。久しぶり」
Aは少し歯切れ悪く答えた。
「また長い間学校休んでロリでも探しにアマゾンの奥地にでもいってたのか?なんて」
「は、はは。…たしかにそう、だな」
「?どうした。元気ねーじゃん。もうすぐ受験なんだし気合い入れろよっ!」
元気のないAを見かねて日立がAの背中を叩いて喝を入れる。
「ってて、そうだな。ありがと、お前も受験頑張れよ」
「おう!じゃあまたな。」
日立は隣のクラスのため自分のクラスに戻った。
「はあ、そういえば受験なんてもんがあったな。ダークナイツにいれば裏口で行けたかな」
そんなことを考えながら独りだと考えていた自分に話しかけてくれた日立に密かに感謝した。
その後Aは普通の中学生三年生と同じように受験に勤しんだ。
それと同時にルリを殺した犯人も捜していた。
矢部からもらった毒のデータから入手経路を探ったり遊園地に聞き込みに行ったりした。
そのどれもが空振りになり、一つの手がかりも掴めなかった。
「くそっ!何も手掛かりすら掴めない。」
今回も何も成果を得られずにイライラしていると突然後ろから話しかけられた。
「やあ、久しぶりだね。A君」
「矢部?何のようだよ、俺はもうダークナイツじゃないから実験に協力する気はない」
「いやいや、違うよ。君に大事な物を届けにきたんだよ」
そう言って矢部は後ろの大きな荷物を取り出した。
「何だそれ」
「これはルリ君の遺骨を使って作った特殊な刀さ。ルリ君の体を診てみたところ普通の人間と違って君の能力との親和性が高かったから作ったみたんだ」
「ルリの骨で作ったのか?頭おかしいのか?」
「ひどい言いようだね。でも性能は保証できるよ、なんせこの剣は幼力本願を使えるからね。」
その言葉にAが驚く。
「どういうことだ、剣が能力を使うなんて」
「さっき言った通り君の能力とルリ君の骨は親和性が高いからこの剣に幼力を込めれば能力を使うことができる。無機物だから君以上の力を扱うこともできる。」
矢部がぺらぺらと剣の説明をする。
「剣の性能はわかったがなぜそれを俺に与える?ダークナイツに所属していない一般人に与えていいものじゃないはずだ」
「それはその通りとしかいいようがないね。でも君はルリ君を殺した犯人を倒そうとしているだろう?でも今の君が戦っても殺されるだけだよ?」
「それでも…」
「別に敵を討とうとして綺麗に死ぬのはいいと思うが君の能力は面白いからね。死んでほしくないんだよ、A君。だからこれをあげるよ、はい」
矢部はAの手に剣を置いた。
「あと、剣の命名もしておきな。名前がある方が愛着が湧くだろう?そして、これは誰かわからない人からだ」
続いて矢部からノートパソコンをもらった。
「これはダークナイツの隊員の全ての情報が入っているらしい。差出人不明だから本当かわからないけどね」
そして矢部は用が終わったとばかりに帰って行った。
「一方的に色々と渡して帰っていきやがって、お人よしかよ」
Aはその後も調査を遊園地で続けたが結果は何もなかった。
昼時になり、諦めて帰ろうとした時前にロリを連れた親子がいた。
その姿をみてAは何か引っかかった。
持ってきたルリの昼食の時間の写真を取り出す。
それと見比べると確かな違和感があった。
―――影の長さが違う。
明らかに写真に写るルリの影が長かった。
そこに何か手掛かりがあると思い、すぐさまAは家に帰って矢部からもらったノートパソコンで検索を始めた。
キーワードは影。
検索すると一人の隊員が出てきた。
その隊員はーーーロリ制圧班第二部隊班長の今井健。
契約の神は影の神。
そしてAは気がついた。
ルリをAの家に入れたのが今井、遊園地へと誘ったのも今井だった。
今井は極めて犯人である可能性が高い。
わからないのは動機だけだ。
でもそんなものは会ってから聞けばいい。
Aはロリ制圧班へ入るためもう一度ダークナイツに入った。




