二十四話:『空っぽ』
「はぁっ、はぁ、は、ぁああ!」
遊園地からAは全力でダークナイツの病院へ向かって走っていった。
もう既に冷たくなったルリの体を抱えて。
「大丈夫っ、大丈夫だから!ダークナイツに行けば神の力できっと何とかしてくれる、大丈夫だっ!」
もう希望は薄いということを十全にわかっていてもAは走った。
暗闇の道をただ一つの希望を信じて。
Aは1番近かった科学技術班の管轄の病院へと辿り着いた。
前には連絡を入れておいた矢部が待っていた。
「っ、ついた。ついたぞ!ルリ、助かるよ、きっと絶対助かるっ!矢部、頼む!ルリを、この子を!助けてくれ……!」
空っぽのルリに向けて必死に言葉をかける。
矢部はルリを抱えるAを見て残酷な真実を告げた。
「すまない、A君。僕に死んだ人間を治す力はないし、あてもない。本当にすまない。」
「は?何言ってんだよ!死んでない、まだ生きてるに決まってる!だって、こんなに、こんなにっ」
遺体を抱きしめながら子供じみた反論をしながら涙を流す。
「A君、いつまでも外に置いていたら状態が悪くなってしまう。中へ入れよう。」
矢部は冷静にAに話す。
「ルリを物みたいに言うな!ルリは頑張って生きてるんだ!母を失っても強く、生きて、いたのに…なんで……」
「君だってもうわかっているだろう?辛くても現実を受け入れるしかない。……はあ、辛いなら僕が運ぼう。」
そう言ってルリの遺体に伸ばした矢部の手をAは叩いた。
「…………俺が運ぶ」
「…わかった」
その後Aと矢部は中へ入り、遺体を解剖室へと入れ事情を聞くために休憩室に行った。
「それでA君、落ち着いたかい?」
「…はい、すみません。」
「じゃあ早速聞くが何があったんだ?」
Aはルリが倒れているのを発見するまでの経緯を話した。
「なるほど、ルリ君は君がトイレに行っていた数分の間に殺されたという訳か」
「…はい」
「それならルリ君を殺した何者かは事前に準備していただろう。手際が良すぎる、誰か怪しい人物に見られた覚えは?」
「…いや、そんな記憶はない、です」
「そうか、」
その後矢部はルリの遺体を解剖して死因を探してくれた。
矢部によると死因は毒。
それも即効性の毒で、痛みもなくルリは死んだらしい。
その後Aはダークナイツを脱退した。




