第二十三話:『悲劇』
ルリは母との最期の思い出を語り終えた。
「そう、だったのか。辛かったな、ルリ」
Aはそっとルリを抱きしめた。
「ううん、ルリは大丈夫。だって今日はAがいっぱい楽しい思い出作ってくれたもん」
ルリはAを抱きしめ返して、
「お母さんは居なくなっちゃったけど今はAがいるから。もう寂しくないよ」
「ああ、そうだな。ずっと一緒だ。」
母を亡くした悲しみはそうそうなくなるものではない。
それなのにルリは乗り越えて、新しい人生を歩んでいる。
Aはルリのことを強くて立派だと思った。
観覧車から降りると二人はベンチに座った。
「ちょっとトイレついでに飲み物買ってくるけど何欲しい?」
「ホットココア!」
「おっけー」
Aはベンチを立って、トイレへ向かった。
Aが見えなくなるとルリの後ろに人が立っていた。
するとその人物はルリの肩に手を置いた。
「え、誰?」
その問いに背後の人物は笑いながら、
「俺だよ!今井!いやー、Aがしっかり休暇を楽しめてるか気になってついてきちゃったよー」
「えー、今井ルリ達のことストーカーしてたの?」
その言葉に今井は笑いながら言った。
「人聞き悪いなー、あ、あとルリちゃんにお願いあるんだよね」
「なになに、ルリ今機嫌いいからなんでもいいよ!」
「それはよかった、じゃあ」
「死んで」
「え?」
今井は右手の注射器を素早くルリの首元へと突き刺した。
ルリは首に毒を入れられて倒れた。
「じゃあね、ルリちゃん。」
今井は一瞬で影へと消えた。
そこから数分後Aはルリの元へ戻った。
「ん?またルリ倒れたふりか?飽きないやつだな」
Aはお化け屋敷で倒れたふりをされたことで本当に倒れているとは思っていなかった。
「おーい、ふりだってわかってるぞ。早くおきろー」
しかし、ルリからの返答はなかった。
そこでルリに近づくとAは気づいた。
ルリの脈がとても弱いことに。
「は?どうなってんだよ!とりあえず本部で治療をっ!」
Aはすぐさま遊園地を出て、ダークナイツの本部の病院に向かった。




