十六話:『詠唱』
「で、次は何すればいいんだ?矢部」
「まあ、今日のところは僕のしたいことできたし僕的には用はないよ」
「じゃあ帰っていいか?ルリが待ってるし」
Aが帰り支度をしようとすると矢部から静止の言葉を言われた。
「さっき言っただろう?僕のしたいことは終わったって」
「別の用があるってことか。何だ?」
矢部が少しタメをつくっていう。
「ずはり詠唱さ。」
「詠唱?何だそれ」
Aが疑問を矢部へぶつける。
「詠唱っていうのは大規模な能力の使用や能力の性能を上げるために使われるものだ。特定の詞を発することでできる」
「その詠唱を俺に教えてくれるってことか?」
矢部が上機嫌に言う。
「その通りさ!ニコライの頼みとはいえこの僕直々に詠唱を教えてもらうなんて喜んだ方がいいよ」
Aは詠唱とかいいからルリに会いたいという気持ちを隠して喜んぶ振りをした。
「わーい、うれしーなー。めちゃうれしー」
「少し棒読みなのが気になるがいいだろう。それに君は膨大な力を得たがその力を使いこさなければ意味ないからね。」
「今のままじゃ強くなってないってことか?」
「もちろん。強い武器を手に入れても扱い方がわからないならゴミと同じだろう?」
矢部が例えを用いて説明する。
「そうだな。じゃ手短に頼むよ」
「はっ!太々しいもんだ。じゃあ詠唱についてもう少し講釈しよう。」
矢部が椅子に座りスクリーンに映るAの戦闘映像を指し示す。
「今の君が使っている攻撃方法として幼女的串刺がある。確かに強力だが戦闘の盤面をひっくり返せるほどの力はない。」
そこで立ち上がり、Aを見つめていう。
「そこで詠唱と君の幼力本願を合わせた必殺技を考えよう」
「必殺技、ねぇ」
「詠唱を行うことで威力が跳ね上がり、本来君の実力では不可能な高位の力を使うことができる」
「なるほどね。詠唱の詞は決まってるのか?」
「決まってないよ。ある程度の長さは必要だが詞自体に意味はないからね。あくまで詠唱という何もできない時間を作ることで力をあげているんだ」
「へー、話終わり?」
面倒くさそうにAが問う。
「これで終わりだよ。詠唱と必殺技のイメージを考えておきな。君の能力は認知に関わるからね。」
「はいよ、てんきゅー。矢部」
「いや、こちらも有意義な時間を過ごせた。じゃあね」
その後Aは家へ帰った。
家へ入ると真っ先にルリが抱きついてきて、
「おそい!もうゴハンできてるよ」
その言葉にAが驚く。
「え??ルリがつくったの?」
「うん。ルリ以外に誰がつくるのよー、早く座って」
テーブルに着くと美味しそうな見た目の料理が並んでいた。
「普通にうまそう」
「まーまー食べてごらんなさいな」
そう言われて一口口に入れる。
「うぉぐおえふ!まっず!えぐまずい!なんだこれ、ルリ何いれたんだよ!?」
「えーっと、おさかなと鶏肉とマシュマロとお酢と何かいっぱい」
「えげつないもん作ったな……。見た目が美味そうなのも意味わからん」
その日Aはルリが作った料理を何度か失神しながら完食した。




