01 - 組織の裏切り、たった一人の家族
初めまして!
毎日投稿は難しいかもしれませんが、頑張って書いていきますので、感想やリアクションなどありましたらお願いします!
あれば励みになります!(渇望w)
あ、タイトルは変わる可能性ありますw
真夜中の東京、渋谷のとあるビルの屋上で、私は妹と二人で息を切らしていた。
私たちは必死に走り、30階もあるビルをかけが立ったので当然だ。
屋上の扉を閉め、ホッとしていたのもつかの間、パンッ!という音とともに、扉が勢いよく開いくと、黒いスーツの男が入ってきた。
私は妹を後ろに庇いながら距離を取ろうと後ろにさがるが、妹にぶつかってしまう。
横目で後ろを確認すると、落下防止の鉄格子だった。脱出するには、男の後ろにある出入口か、ここの鉄格子を飛び越えるしかない。
もっとも、そんなことをすれば落下して死ぬだけだ。
男が銃口を私に向ける。
「お、お姉ちゃん・・・」
弱々しい妹の声を聴いて、私は覚悟を決める。妹は絶対私が守る。
「日和、心配しないで。あなたは私が守るからね」
男たちの隙をついて、どうにか男たちの後ろの出入り口に妹を行かせる。
この子のためなら、私は死んでもいい。
だけどどうする、あいつらは組織の中でもトップの実力者。今の私では、あいつを相手にするのは難しい。
私は小声で日和に声をかけた。
「いい、日和。私があいつに突っ込むから、あなたはその隙に全速力で逃げるのよ」
「い、嫌だよお姉ちゃん!逃げるならお姉ちゃんも!」
必死に私にしがみつく日和の頭を軽く撫で、私は日和を強引に引き離し、男に突っ込んだ。
男が引き金に手をかけようとした瞬間、その腕を掴み、男を背負い投げし、床に叩きつけた状態で、
「日和、今のうちに!」
私は背中越しに日和へ叫ぶ。
日和のが泣きそうな声で私呼ぶこえが聞こえるが、動こうとしていないようだった。
「早く行きなさい!!」
日和のすすり泣く声が聞こえ、横目で日和を見ると、出入口へ駆けるのをみてホッとした瞬間、男は抑え込んでいた私の腕を振りほどき、すぐに起き上がり体制を立て直し、私と距離をとって銃口を私に向け、今度こそ引き金を引いた。
パパァン!
私は自前の反射神経で2発の銃弾を避ける。少しでも時間を稼いで、日和が逃げ切る時間を稼がないといけない。
しかし今の私には銃もナイフもない。この男と戦うには、組織で鍛えた体術しかない。
男がリロードした瞬間、私は男と距離を駆けて詰め、その勢いで殴り掛かるが、男は簡単に私の攻撃を防ぐ。
男のボディを狙って2,3度拳を叩きつけようとしても、全て片手で防がれてしまう。
やはりこの男、強い・・・。
私は一度、男との距離を取ろうと後ろに後退した瞬間、
パパァン!
「かはっ!?」
右肩と左足を撃たれ、その勢いで後ろに倒れてしまう。
このままじゃまずい、もっと時間を、日和が遠くへ逃げる時間を稼がないと!
私は痛みを我慢しながら、なんとか上体だけ起こし、男を睨みつける。
どうしればあの男に勝てる、どうすればもっと時間を稼げる。
男は銃口を向けたまま、勝利を確信したかのような表情を浮かべ、ゆっくりと私に近づき、
「終わりだ、鬼灯月渚」
銃を頭に突き付けられ、私は目を閉じて、死を覚悟する。
その瞬間、今までの経験が脳裏に浮かんできた。
これが俗に言う、走馬灯なのだろうか。
妹を守ることができなかった自分のふがいなさを悔やみ、後悔し、懺悔する。
ごめんね、日和。もっと時間を稼いで、あなたを遠くへ逃がしてあげたかったけど、私はここまでみたい。
お願い日和。私より、長く生きてね。
「お姉ちゃん!」
日和の声が聞こえたと思った瞬間、私の身体は何かに突き飛ばされ、
パァン!
銃声がなった。
恐る恐る、私はさっきまで自分がいた場所をみると、そこには血を流して倒れている、日和がいた。
「ひよ・・・り・・・?」
どれくらいの時間が経っていたのかわからないが、もう10分以上は先に逃げたはずの日和がなぜここに・・・?
「日和・・・日和っ!」
私は急いで日和のそばへ行き、抱き寄せる。
日和の身体は血で赤く染まり、苦しそうに息をしている。
「日和っ!なんで、なんで戻ってきたの!?私は、あなたが生きていればそれでっ!」
「おねぇ・・・ちゃん・・・」
日和はゆっくりと目を開き、血を吐きながら口許をゆるませている。
「ばかな、お姉ちゃん・・・私だって、私だってお姉ちゃんがいれば、それでよかったんだよ・・・?」
「日和・・・っ!」
「お姉ちゃん・・・お姉ちゃんが、私のお姉ちゃんで・・・よかっ・・・た・・・」
そう言って、日和は目を閉じて動かなくなってしまった。
「ひよ・・・り・・・っ!」
私は動かなくなった日和をそっと床に置き、涙を拭う。
男は私と日和の今のやり取りを興味なさそうに見ていた。
「よくも、私のたった一人の家族を・・・日和を!」
私は男を睨みつけ、間合いを詰める、力任せに男に殴り掛かった。
しかし男は余裕な表情で私の攻撃を避ける。が、その避けた先を予測した私の蹴りが男の横腹にヒットした。
「っ!?」
男は驚いた表情を見せ、私にけられた横腹を抑えながら後ろに距離を取った。
すかさず私は男に近づき、殴る蹴るを連続で放つ。
男は苦渋な表情になりつつ、私のなりふり構わない攻撃を防ぎながら後退し、
「くっ!」
男の背後には、腰までしかない鉄格子。
私は男のスーツを掴み、勢いよく力任せに前へ押して、
「貴様っ!このままではお前も死ぬぞ!」
「知らない!日和がいない世界なんか、もうどうだっていい!」
私はそのままの勢いで、男と落ちる決断をした。
男は抵抗しようと私の腕を掴むが、男を掴む手を私は緩めない。
「貴様、何故急にこんな力強く!」
「うるさうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
もうどうでもいい。日和がいない世界なんて、もう、どうでも・・・。
私はさらに男を押す力を加え、男の足を持ち上げながら飛び降りた。
こいつと死ぬのは最悪だけど、これで日和の仇はとれる。
「日和、バカなお姉ちゃんで、ごめんね・・・」
男が落下しながら何か叫んでいるが、私の耳にはなにも入ってこなかった。
これで、私もあなたのところへ行くよ。
落下してから数分も経たずに、身体に衝撃が走った瞬間、私の意識はそこで途絶えた。
◆◇◆
目が覚めると、木造の屋根の裏側が視界に入ってきた。
「ここ、は・・・?」
私は上体を起こし、自分がベッドで寝ていたことがわかった。
周りを見渡すと、埃を被った家具や布をかぶせている棚などがあった。
屋根の裏側の骨組みが見えているところから、ここは木造宅の屋根裏なのだろうか。
いや、そんなことよりもだ。あんな高いビルから落下したのに、助かったというの?
強い衝撃を感じた瞬間、意識が飛んだところまでは覚えている。
さらに言うならば、撃たれたはずの右肩も右足も痛みはなく、傷痕も残っていないようだった。
なにがどうなっているのかわからないまま考えていると、木の階段を上るギシギシという音が聞こえた。
音の方をみると、一人の女の子が上ってきたようだ。
起きている私に気が付くと、女の子は嬉しそうに近寄ってきた。
「よかった、目が覚めたんですね!」
肩まで伸びた白い髪の色。瞳は綺麗なエメラルドの色をした少女。
外国の子なのだろうか?私は日本にいたはずだ。
「えっと・・・あなたは?」
「あっ、私の名前はソフィアって言います!森で倒れてたあなたを見つけて、ここに運んだんです。そうだ、目が覚めたこと、お母さん呼んできますね!」
少女、ソフィアはそう言って階段を下りて行った。
「森で倒れてた・・・?」
そんなはずはない。だって私がいたのは日本で、東京の渋谷だ。
森で倒れていたなんてまずありえない。本当にどういうこと?
自問自答したところで答えが見つからずにいると、再び木の階段を上がるギシギシという音が聞こえ、今度は若い女性が顔をだしてきた。
その後ろを、先ほどの自己紹介してくれたソフィアがついてきていた。
「よかった、気が付いたみたいね。身体の具合はどう?」
「・・・大丈夫、だと思います」
私は少し警戒しながら答える。
助けてくれたことには感謝しているが、何故見ず知らずの私を助けてくれたの?目的はなに?
まさか、組織に私を売るつもり?!
私は無意識に睨みつけていたのだろう、若い女性は少し困った表情を見せたが、すぐに笑顔になった。
「そんなに警戒しないで。助け合うのはお互い様。ほら、これでも食べて栄養付けてね」
そう言って、若い女性は私に木製の容器を渡してくる。
容器の中身は、まるでクリームシチューのような見た目をしていた。
「毒なんて入ってないから、安心して食べてね。あなた、森で血だらけで倒れてたから。見つけた時は驚いちゃったわよ。服は汚れていたから勝手に着替えさせてもらったわ。私のお古で申し訳ないんだけどね」
「血だらけで倒れてた?」
言われて気づいたが、私の今の服装は確かに若い女性が来ているような服になっていた。
血だらけってことは、やっぱり私はビルから落ちて死んだんだ。
なのに何故こうして生きているの?これはもしかして夢?
私は試しにほほをつねってみたが、軽い痛みを感じて驚愕した。
まさかこれは、夢じゃなくて現実だというの・・・?
「大きな怪我をしていたみたいだし、もう少し休んでていいわよ。はい、これ。私が作った牛肉のシチューよ。栄養もあるし、食べやすいと思うから、ちゃんと食べなきゃだめよ?」
「ありがとう、ございます・・・」
私は素直に若い女性からシチューを受け取る。とてもいい匂いがしたから仕方ない。
ぐぅ~
「っ~~~!!」
お腹がなってしまい、恥ずかしくてうつむいてしまう。
くぅ~!よりによって、こんな警戒しなきゃいけない時にっ!
「あっはっはっ!よかった、食欲はあるみたいね。それ食べて、早く元気になってね。いくよ、ソフィア」
「うんっ」
そう言って、二人は階段を下りて行った。
私はシチューに目を向け、木のスプーンでシチューを掬い、匂いを嗅いだ。
これは生前の癖でもある。毒が入っているかを確認するためだ。
さっきの若い女性は毒なんか入っていないと言っていたが、やはりまだ用心しないといけないことばかりだ。
ぐぅ~
「・・・」
えーっと、用心は必要だけど、空腹だからしかたない、よね?
実際、本当にシチューからは毒のような匂いはしていない。
「・・・こんなによくしてもらっといて、警戒しすぎていたら日和に怒られちゃうか」
鬼灯月渚。私の、たった一人の家族。
もう二度と、会うことができない妹。
私が生き残って、あの子が死ぬなんて・・・。
「ふぅ・・・」
私は少しでも気持ちを落ち着かせようと、軽く息を吐いて、シチューを一口食べる。
シチューを一口食べただけでわかる。濃厚なミルクと滑らかな味わいを感じる。
つまり、いままで食べたシチューの中でダントツに美味しい。
気づけば、私は二口、三口と続けて食べていた。
そういえば、日和もよくシチューを作ってくれていたっけ・・・。
「ひよっ・・・りっ・・・」
私はシチューを食べながら妹のことを思い出してしまい、涙が止まらなくなっていた。
最初から暗すぎてすいません。これからの月渚にご期待ください。
きっと、彼女は幸せになってくれます!(たぶん)