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100円ショップ

作者: DAI
掲載日:2025/04/26

私は死んだ。

心臓発作での突然死。

とはいえ、70近くまで生きたから、

まあ、いい人生だったと言えるだろう。

三途の川らしき小川を渡ると

目の前に、この場所には不似合いな建物が見えてきた。

『100円ショップ あの世』と書いてある。

「あの世に100円ショップ?」

私は不思議に思ったが、入ってみることにした。

自動ドアを通って店に入ると、カウンターには店員らしき、赤鬼と青鬼がいた。

「いらっしゃいませ!あの世にようこそ!」

妙に元気のいい店員(鬼)だ。

私は、店の棚に並んでいるものを見てみた。

普通の100円ショップにはないものが並んでいる。

その中の一つに目が留まった。


それは、私が生前に使っていたマグカップだった。

思えば、営業職で仕事一筋だった私は、家を留守にすることが多かった。

家で落ち着いてコーヒーを飲むことなど、ほとんどなかった。

「夫婦水入らずでコーヒーでも飲んでゆっくり過ごす時間が欲しかったな。。。」

「それは、後悔ですね。」

ウワッ!

突然赤い顔が後ろから覗いてきたので、私は驚いてマグカップを落としそうになった。

「これは失礼。この店には、お客様の後悔や未練にかかわる品を揃えてございます。」

赤鬼が営業口調で話す。

「後悔や未練か・・・」


思えば私の人生も後悔や未練だらけだった。

一番の後悔は、、、

「これで御座いますね。」

赤鬼が画材を持ってきた。

若いころ、私は画家になりたかった。美大に入って、画家を目指して勉強をしていた。しかし、画家では食っていけない。私は妻との結婚を機に画家の道をあきらめたのだった。

「絵描きになっていたら、どんな人生だっただろう?」


「お客様、人生に、もしも?はございません。」

赤鬼が言う通りだ。人生に、もしも?はない。

「お客様、この店で未練や後悔の品を買うも買わないも自由で御座います。もし、欲しい品があれば、来世にお持ちください。」

「未練や後悔を来世に?」

「そうでございます。未練や後悔を来世で晴らすのでございます。」

来世で、未練や後悔を晴らすか。。。


私は迷っていた。妻や娘との思い出が走馬灯のように蘇る。そうだ、未練や後悔はあるが、私は幸せな人生だった。

来世は来世で、きっと、いい人生になるはずだ。今世の未練や後悔に来世も縛られたくはない。来世の幸せは来世の自分自身で掴むのだ。


「店員さん。」

「はい、何でございましょう?」

「私には、この店の商品は必要ないようだ。」

「そうでございますか。では、よい来世を。」

私は店員に見送られて、店を出た。


今世の未練や後悔を手放し、私は来世へと歩き出した。


来世も、きっといい人生が待っているはずだ。



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