1を書いて10を伝える
これは、創作の話。といっても、創作論を語れるほどの身ではないので、自分が苦手としていることを、タイトルにしている。なんなら、現実でのリアルな会話でも、めちゃくちゃに苦手だ。
自分は、全年齢向けでないところで創作活動をしている。現在、初めての連載を150万字くらいまで書き進めているが、一向に完結までは至らない。プロット、予定表なるものは作っていても、話数の予定は完全にオーバーしてしまっている。
無論、書きたいものを書く、という部分で、後悔などあるはずも無い。自分は間違いなく「目の前にあるものを全部描写する」ことを強く意識しており、それがきっと、この文字数に繋がっているのだ。
つまり、「10を書いて10を伝える」タイプ。そう自負もしているし、そういう作品を書きたいという気持ちは強い。
でも同時に、自分のやり方が絶対的に正しいなんてのは、思えるはずが無かった。むしろ、上手い作者ならばきっと、簡潔に、スパッとした文言だけでも、伝えたいことを伝えていそうなのだ。
そういうところで、綺麗かつ大胆に進む作品に、凄いなと思うことは多い。勝手に「1を書いて10を伝える」ような作品なんて思っているが、個性として、そして読みやすさとして参考にしたいし、自分も勉強しなきゃなと感じる。
でも、現実問題として、自分の書きたいものを全部、齟齬なく読者に伝えたいと思うのは変わらない。だから、今の自分にできるのは、全部描写をして伝えるという形になる。
なんだかんだ、今の自分の文体は好きだし、崩すつもりはない。でも、「10を書いて10を伝える」が、「8を書いて10を伝える」くらいにできたら、自分的には丁度いいかもしれないなんて、思ったりもするのだ。
……とはいえ、こんなことを書いたところで、「10を書けているのか」というのもまた、主観になってしまう。
本当に、創作というのは難しいし、自らの心中で堂々巡りが続くことは変わらなかった。




