ようこそ初瀬家へ
宿泊研修が終わりついに、ゴールデンウイークを迎えた。
そして、それと同時に数日間、東雲先輩と同居生活が始まるのであった。
「今日からよろしくお願いしますね初瀬君」
「こちらこそよろしくお願いします」
ソファーの隣に座る東雲先輩。
東雲先輩は軽く足をばたつかせ、うきうきしてるように見える。
多分、俺と何日間も居られることが、相当楽しみだったのだろう。
すると、東雲先輩がそっと俺の手を握った。
「初瀬君、せっかくのゴールデンウイークなので、どこか行きませんか?」
「別に構いませんけど……」
ゴールデンウイークはどこも混んでいて、正直疲れるだけ、そうなればずっと家でいた方が、個人的にはいい。
だが東雲先輩が、どこか行きたいと言っているからには、言いずらい。
「それで、どこに行きます」
そう聞くと、東雲先輩は俺の手を強く握りしめこう言った。
「ひ、久しぶりに初瀬君の家の旅館に泊まりたいです……」
顔を真っ赤にし、どことなく恥ずかしそうな東雲先輩。
滅茶苦茶可愛い!
こんな姿を見られたら、ハートにズッキューンです!
だけど、そんなに手を握りしられると、俺の手が潰れてしまうんで、もう少し力を弱めてくれると助かります……
「あっ、ごめんなさい!私としたことが、一人で舞あがってしまいました」
「別にいいんですよ」
むしろ、東雲先輩の可愛い姿を見れて良かったです。
「それより、いつ行きます?」
「えっ?いいんですか!?」
「別にいいですよ。むしろ俺達は大歓迎ですよ」
「なら、お言葉に甘えて……」
そして、俺達が話し合った結果。
5月2日と5月3日の一泊二日で俺達ホテルに行くことに決まった。
「ていう事で、お願いな。親父」
「おぅ!任せておけ!お前たちの思い出に残るようなおもてなしをしてやるかよ!楽しみにしてろよ!」
「分かった楽しみにしているよ」
電話越しでも伝わる親父の幸せそうな声。
その声を聴くだけで、俺の選択肢は正しかったと思える。
5月2日
俺達は親父が経営してるホテルに出向いた。
「お待ちしていました」
玄関先で出迎えてくれたのは、親父ではなくこの旅館に20年以上勤めている女将さんだ。
俺が小さい時は、とてもお世話になった人だ。
まるで、母親みたいな存在だ。
「宇鷹ちゃんも見ないうちに別嬪さんに、そして、坊ちゃんは立派な大人になられましたね。さぞお二人のこと、奥様もお喜びですよ」
「そうだと良いですね」
俺の母親は、俺が幼い時に病気で死んだ。
今日も元気ですか、母さん。
俺は、今、彼女が出来ました。
よく、この旅館に来ていたので、覚えているかも知れませんが、名前は東雲 宇鷹さん。
同じ高校の先輩です。
家にいるとき俺は、毎日仏壇の前で母さんと話す。
悲しい事、楽しかった事、時には愚痴なんかも聞いて貰っている。
「私もとなり良いですか?」
「えぇ、大丈夫です」
手を合わせる東雲先輩と一緒に俺ももう一度、静かに手を合わせた。
「では、今日宿泊して貰うお部屋を案内してもらいます」
そして、連れてこられた場所は、自然に自然に囲まれているな風景を楽しめる綺麗な和室だ。
そんな和室に一人、景色を見ている人物がいた。
「おやおや、2人とも」
「お父様!どうしてここに!」
東雲先輩のお父さんだ。
相変わらず、奇抜のファッションをしている。
「初瀬君、今日は宇鷹を頼んだぞ」
「分かりました」
すると、俺に近づいたお父さん。
そして、こそこそとこんな事を言ってきた。
「それで初瀬君、今日は宇鷹と二人っきりだが、何か行動は起すのかい~」
お父さんが言う行動とは?一体なんのことだか?
「またまた、分かっているだろ。ほら、宇鷹とエッチ的な事はしないのか?」
「な、何を言っているのですか!?」
東雲先輩とエッチな事……
「そこは駄目です!初瀬君!」
「へへへ、いいではないか〜」
駄目だ!そんな事は!
まだ俺達は未成年者だし!そもそも俺にはそんな下心ありません!
「なぁ、初瀬君。宇鷹の胸とかおしりとか触ってみたいだろ。ほら、あんなに大きな胸見るだけで興奮するだろ」
なぜ、俺をそんなに誘惑してくるのですか!?
俺は、東雲先輩をそんな目では見ません!
やめてください!お父さん。
それに怖い顔をした東雲先輩がこちらに……
「全て聞こえてますよ。お父様」
「あれ?宇鷹ちゃんひょっとして怒ってる?」
「えっ、怒ってますよ。私の侮辱。初瀬君に対していての誘惑。これはもう大罪ですね」
「ちょ、ちょっと落ち着きたまえ宇鷹!」
その後、お父さんは……ご想像にお任せします。
その後、お父さんは退出し、俺達二人だけの空間となった。
だが、さっきのこともあってとても気まずい。
「あの、さっきは、うちの父がとんだご迷惑を」
「いいえ、大丈夫です」
「……」
「……」
すげぇ!気まずいんですけど!
早くこの空間から出たいのですけど!
「初瀬君は私のことどう思っています?」
それは勿論、俺には勿体ないほどの彼女だと思っています。
「そう言うことではなく……いいえ、やっぱり何でもないです」
と言った東雲先輩はどこか、嬉しそうだった。
「初瀬君。せっかくですので、一緒に温泉行きませんか?確かここには混浴風呂があるとか……」
確かに、混浴風呂は存在してます!
綺麗な海の景色と共に、男女一緒にお風呂に入ることが出来ます!
けれど、俺達にはまだ早いステージだと思いますが!
「むぅ、そんなに私と入るのが嫌なのですか!?」
顔を膨らませる睨みつける東雲先輩に俺は、首を横に振った。
その結果、東雲先輩と混浴をする羽目になってしまった!
俺は先にお風呂に入り、東雲先輩を待っている。
しかも俺以外、誰も居ないんですけど!
そうこうしていると東雲先輩が来た。
「お待たせしました」
もじもじと恥ずかしがる東雲先輩。
「は、恥ずかしいのでそんなに見ないでくれますか?」
すみません。
だけど!見とれてしまうほど、綺麗です。
東雲先輩は、一度体を流し、東雲先輩は湯船に
そして、俺に近づく。
「なんか、恥ずかしいですね」
「そ、そうですね」
こうして、まじかで見ると、東雲先輩の胸は大きい……
いかん!そんなところを見ている場合ではない!
なにか会話をしなければ!
「う、海、綺麗ですね」
「えぇほんと綺麗ですね」
そうった東雲先輩は俺の腕に絡みつく。
「東雲先輩!」
「せっかく二人っきりではありませんか、だから今だけはこうさせてください……」
や、やめてください!東雲先輩!
胸の感触がダイレクトで感じて、もう俺限界です……
「初瀬君!?」
その後の事は覚えてない。
ただ、俺が目を覚ましたら、俺達の部屋に戻っていた。
そして、目を覚ますと、心配そうに俺を見る、東雲先輩が薄っすら視界に映った。
「初瀬君!大丈夫ですか!?」
俺はゆっくりと起き上がる。
「えぇ、大丈夫ですよ」
「良かったです!」
東雲先輩は俺に抱きついき、涙を流した。
まさか、ここまで心配して貰ったとは
「ご心配おかけしました。東雲先輩」
俺は、東雲先輩を強く抱きしめた。
「お坊ちゃまの様子はどうですか?し!」
俺の様子を見に来てくれた女将さん。
なんて言う、タイミングだ。
あらまぁ、見たいな顔しないでください。
「ごめんなさい。どうやらお取込み中のようでしたね」
ちょっと!誤解です女将さん!
俺は、事情を説明し、なんとか、誤解である事を説明した。
「さぁ、当旅館の夕食でございます」
どうやら、俺が気を失ってだいぶ時間が過ぎていたようで、俺が目が覚めた頃には、夕食の時間になっていたらしい。
「すみません。東雲先輩。俺のせいで、殆どの時間を無駄にさせてしまって」
「大丈夫です。むしろ、初瀬君と一緒にお風呂を入れて良かったです。また機会があれば、一緒に入りましょうね」
「えぇ、そうですね・・・・・・」
東雲先輩すみません!
それはもう少し時間を空けた後でよろしくお願いします!
じゃないと、また俺が倒れてしまいます!
「少し話が変わりますが、ここのお料理はとても美味しいですね。特にこの肉じゃがは絶品で」
「それは、ありがとうございます!」
いきなり俺達の部屋が開いた。
そして、開いた扉に居たのは、料理長の 小笠原 史郎さんと女将さんの二人だ。
「料理長、女将さん。困りますよ」
「こんな美女を連れているくせに、水臭い事は言わないでくださいな、坊ちゃん」
「もしかして、この方がこの料理を……
「えぇ、そ……」
「えぇ、そうです!どうです。お口に合いましたか?」
俺の言葉を遮り、挙句のあてには東雲先輩に近づいた料理長。その対応に対して、東雲先輩は一瞬驚いた。
けれど、次の瞬間、東雲先輩は料理長の手を握った。
「えぇ、物凄く合いました!そこでお願いなのですが、その肉じゃがのレシピを私に教えてくれませんか!」
「参ったな……こんな別嬪さんに手を握られちゃったら」
料理長は東雲先輩にデレデレしている。
そんな料理長に女将さんはこう言った。
「料理長さん。そろそろお仕事に戻った方がよろしいかと……」
女将さんはにっこりと笑っている。
それに対して、料理長のにっこりこう、女将さんに言う。
「そう言う、女将さんこそ。こんなところで、サボっていて良いのですか?」
「あらまぁ、私はそこの女性たらしとは違って、仕事をしていますよ」
「なんだと」
二人からは不穏な空気が漂い始めた。
ちなみに、女将さんの名前は、小笠原 由紀子と言う。
もう、この段階で気づいた人もいると思うが、実はこの二人は、夫婦なのである。
こんな所で、夫婦喧嘩を始めた。
「坊ちゃんはどっちが、悪いと思います」
「勿論、このクズ料理長ですよね」
「いやいや、このクソ女将ですよね」
もぉ!どっちもです!
「ちょっと坊ちゃん!」
「二人とも用事がなければ俺達の邪魔をしないでください!」
俺は二人を追い出した。
全く、こっちは一応客だと言うのに、それを忘れて夫婦喧嘩なんて
「すみません。東雲先輩。さぁ、冷めないうちに、食べてください」
「あ、はい。頂きます」
東雲先輩は、料理を食べた。
とても幸せそうな顔をしている。
「どうでした。当旅館の料理は」
「はい、とても美味しかったです」
その後、俺達はまた旅館のお風呂に入った。
今度は混浴ではなく別々のお風呂に入った。
お陰様で、今度はゆっくりリラックスできた。
そして、お風呂上りは、美味しい牛乳を東雲先輩と飲み、せっかくなので卓球をした。
「東雲先輩、強すぎますよ……」
「そうですか?私はまだ本気を出してないですよ」
嘘だろ・・・・・・俺は、東雲先輩からだいぶ点数を取られていると言うのにまだ本気ではないと言うのか
こうして、俺は東雲先輩に惨敗するのであった。
「では、お休みなさい」
こうして、1日目は終了した。
ーー夜中ーー
俺は途中でトイレに行きたくなり、目を覚ました。
そして、俺は気づいた。
あのーこれは一体……
俺の横で、東雲先輩が寝ているのですけど……
確か寝た頃には、俺とは違う場所で寝ていたはずだったはずが……
どうして、俺の布団の横に東雲先輩が!
東雲先輩はとても気持ちよさそうに寝ている。
こっちは、驚きのあまり目がシャッキリしたと言うのに!
「初瀬君……食べてください……」
と寝言を言い、俺が使っていた布団を持っていってしまった東雲先輩……
俺は、どうしたら良いのですか?
まだ、5月……
夜中は、まだ少し寒い。
だから、布団は欲しいのだが……
東雲先輩は、俺の布団を股に挟んで抱き締めている。
奪おうにも奪えない……
どうしたら……
ふと、俺は東雲先輩が寝ていた布団が目に入った。
そして、東雲先輩が使っていた布団が……
これは、俺が悪いわけではない。
すべて、俺の居場所を奪った東雲先輩が悪い。
俺は東雲先輩が寝ていた布団をお借りして寝た。
布団はまだ生暖かい。
そして、東雲先輩の匂いがついている。
俺は東雲先輩の布団で寝たが、到底寝れなかった。
そして、気づいた頃には朝を迎えていたのであった。
朝、東雲先輩は起きた。
「あれ!どうして、初瀬君の布団に!?て!どうして、私の布団に初瀬君が!」
東雲先輩は俺が掛けていた布団を取り上げた。
俺は、目を覚ました。
ぼやける視界の中、顔を膨らまして怒っているような東雲先輩が……
「初瀬君、起きてください!」
「はい!どうしたのですか!先輩!」
先輩は怒っている。
理由が、分からない。
どうしたのですか!東雲先輩!
「どうして、初瀬君が、私の布団にいるのですか!」
えっ……先輩。覚えてないのですか
先輩が、俺の布団を奪ったからですが・・・・・・
て言いたいが、これは言っていいものだろうか?
東雲先輩は、絶対、俺が悪いと思っている。
それで、東雲先輩が布団を奪ったのですよ的な事を言ったら・・・・・・
「初瀬君、嘘は良くありませんよ・・・・・・」
ごみのような目で見下されるのだろうか?
考えるだけでぞっとする。
だったら、ここは俺が犠牲になるしか!
「すみません。俺が寝ぼけて東雲先輩の布団を奪って」
「ではどうして、私がこちらに」
それは東雲先輩が俺の布団に入り込んだからですよ!
と言いたいがこれは東雲先輩の為だ!
「多分、俺が東雲先輩を動かしたかと・・・・・・」
俺は思う。
俺がやっていることはただの変態じゃないか!
それに見て欲しい。このゴミを見るような東雲先輩の目を!
「そうですか。まぁ、今回は大目に見ます」
「すみません。」
東雲先輩は部屋の外へ行ってしまった。
ホテルの外にて
「あぁ!どうしよう!初瀬君にどうやって謝ろう!私がすべて寝ぼけてやったことなのに、全て初瀬君のせいにしてしまった!あぁ、どうしよう!」
東雲先輩はすべて覚えていました。
なので、俺の犠牲はすべて無駄と言う事に・・・・・・
こうして、最終日が始まった。
読んでくれてありがとうございます!
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