番外編 ドキドキ手作り弁当!
朝、4時半。
私、山岸 鶫はお弁当を作っています。
本当だったらもうちょっと寝ていたいのですが、今日は頑張らないといけません。
なぜなら、私は今、ずっと好きだった人にお弁当を作っているからです。
名前は 初瀬 浩介君。(こう君)
私とこう君は、幼稚園からの幼なじみです。
こう君は、優しくて、かっこよくて、引っ込み思案の私をリードしてくれました。そして、私が幼稚園児のある時、私にプロポーズをしてくれました。
「大人になったら結婚しようぜ!そして、仲良く暮らそうぜ!」
それ以来、私はこう君を意識するようになりました。
私は、こう君と結婚するため、女性磨きをしました。
幼稚園の時には、親の家事を率先して手伝うことから始まり、小学生から中学1年生の時には、料理、洗濯など本格的な家事を頑張り、中学2年生から今の、高校1年生までは、自分磨きをしました。
そして、その努力が生かされる時が来ました。
私は、好きだと言う思いを込めながら料理に励みます。
実を言うと、こう君にお弁当を作るのはこれで二回目です。
一回目は、こう君を見つけることが出来ず、お弁当を渡すことが出来ず悔しい思いをしました。
だけど、今日はこう君と約束をしたため、絶対に渡せます。
だから、今日は、何があっても手を抜くことは出来ません。
そして、お弁当を作り始めて、2時間半。
ついにこう君のお弁当を完成させました。
多分、今までの中でも一番いい出来だと思います。
あっ!私のお弁当作り忘れた!
――学校――
「ふん~それで、自分のお弁当はないと……そこまでして、初瀬君のこと好きなんだ~」
とニヤニヤと私を笑うのは、私のお友達、瀬奈 愛梨ちゃん。
中学の時、なかなか、クラスになじめなった私に声を掛けてお友達になってくれた人です。
瀬奈さんは私とは違い、明るい子で言いたいことをズバズバ言え、私の恋の応援をしてくれる人物です。
「それで、これ初瀬君に渡すんだよね」
「うん……」
「もしかして、緊張している?」
「うん」
果して、こう君の口に合うのでしょうか?
昼休みが近づくたび不安が募ります。
――昼休み――
ついにこう君にお弁当を渡すことになりました。
「こ、こう君!これ私の手作り弁当!良かったら食べてください!あと、もし良かったら感想も教えてね……」
「うん、分かった」
私はこう君にお弁当を渡しました。
この時、私は緊張のあまり、こう君の顔をあまり見ることが出来ず、どんな反応をしていた分かりませんでした。
その後、私と愛梨ちゃんで学校の食堂に向かいました。
愛梨ちゃんが私のために奢ってくれました。
「どうしたの?食べないの?」
「ううん、食べるよ」
今頃、こう君が私のお弁当を食べている頃です。
果してこう君の口に合っているのでしょうか?
お弁当には手ごたえを感じていますが、不安のあまり、ご飯が喉を通りしません。
そんな私に気づいたのでしょう、愛梨ちゃんが「これ食べて元気を出しなよ!」と私の口に何かを入れました。
私は愛梨ちゃんがくれたものを噛みました。
この触感と味……まさか!
「どう美味しかったかな?」
私は首を横に振りました。
そして、私は愛梨ちゃんに怒りました。
「美味しくない!愛梨ちゃんの馬鹿!」
私は愛梨ちゃんを無視してご飯を食べました。
愛梨ちゃんは私が嫌いなトマトを口に入れたからです!
ですが、今思えば、これは、愛梨ちゃんなりの思いやりだったのかもしれません。
なぜなら、この時の私は、怒りの気持ちがいっぱいで、こう君が、私のお弁当食べていることを忘れていたからです。
――昼食後――
「ちょっと鶫!しっかりしなさいよ」
「う、うん」
お昼ご飯を食べ終えた私達は、こう君にお弁当の感想を聞きにこう君の所へ行きました。
私は今、とても緊張しています。
こう君に会う前に深呼吸しなければ……
あれ?愛梨ちゃん?
「ほら、鶫。居たわよ」
「ちょっと!愛梨ちゃん!」
「ほらほら」と愛梨ちゃんに手を引っ張られ、私はこう君の所へ行きました。
こう君は今、友達である 浜田 裕君と一緒です。
浜田君は私に気づきました。
「あれ?鶫さん。どうしたのですか」
浜田君は私に近づきました。
そして、「う~ん相変わらず今日もお綺麗で」といつものお決まりの言葉を言いました。
「綺麗なんて」言われて、嬉しいのですが、なんだか、こうストレートに言われると恥ずかしいです……
「おい、浜田。山岸が困っているんだろ」
「あっ!ちょっと浩介!鶫さんとの時間を!」
「ごめんな、山岸」
「ううん、大丈夫だよ……」
こ、こう君です。ど、どうしよう!
まだ心の準備が!
あっ!もうそんなこと言っている場合じぁない!
「山岸?」
「あ、あのこう君」
私は意を決して聞くことにしました。
心臓の音がうるさいです。
静まれと思っても静まりません。
だけど、聞かなければ!
「今日のお弁当どうだった……」
不味かったらどうしよう……
「山岸って料理下手なんだなw」なんていう事を言われたら、私……
どうか、美味しかったと言って欲しいと願いながら、私はこう君の感想を聞きます。
そして、こう君はこう言いました。
「とても美味しかったよ」
その言葉を聞き、私はとても嬉しかったです。
今日、頑張って良かったと心の底から思いました。
「それでさぁ、山岸。良かったらまた作って来てくれないかな?」
えっ、今私、聞き間違えたのでしょうか?
こう君が今、もう一度、作って来て欲しいて言ったような……
「山岸?」
「あっ、うん」
「なら、またよろしくな」
こうして私は、こう君のお弁当を作ることを約束してしまいました。
これは、果たして夢なのでしょうか?
こう君と別れた後、私は愛梨ちゃんにこう言いました。
「愛梨ちゃん、頬っぺたつねってくれる?」
「えっ」と戸惑いながらも、愛梨ちゃんは私の頬っぺたをつねってくれました。
その結果、私は痛みを感じました。
ていう事はこれは夢ではなく現実だと言う事が分かりました。
――自宅にて――
夜、私は、ベットの中で、とても嬉しくて、にやにやが止まりません
また、こう君にお弁当を作れる……
そして……
「山岸はい、あーん」
「あーん」
私はベットから落ち、目を覚ましました。
どうやら、知らぬ間に寝落ちをして、知らぬ間に朝を迎えてしまいました。
はぁ……これが現実だったらなぁ……
これを現実にするにはまだまだ先の話かも知れません。
ですが、いつかは、こう君と一緒にお弁当を食べてこう君と夢出たように、イチャイチャとしたいです!
読んでくれてありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!