6 宿泊研修
時は進み、宿泊研修当日。
俺は、生徒会室に呼ばれていた。
「困りますよ先輩!」
「大丈夫です。ここなら誰も来ません」
いやそう言う問題ではない。
もう、みんな教室を後にして、外に行っている頃だ。
だから、こんな所で、もたもたしていたら、俺だけ、置いてきぼりにされる!
「それよりもこれ」
「受け取ってください」と東雲先輩からお守りを渡された。
しかも、ハートマークが書かれていて、どう反応していいのか困るお守りだ。
だけど、これって……
「これ、私の手作りです。だから、大切にしてください」
東雲先輩からの手作りのお守り。
見た感じ丁寧に作られている。
多分、相当時間をかけたのだろう。
俺は東雲先輩からお守りをにぎりしめた。
「ありがとうございます。先輩、俺行ってきます」
「はい、気を付けてください」
東雲先輩が作ってくれたお守りだ。
だから、大切にしなければ
だが、こんなの、人前には出してはいけないものだ。
こんなの見られてら、俺に良からぬ噂が広がってしまう。
だから、みんなにバレないように隠し持たなければ……
こうして俺は、先輩と別れ、ついに宿泊研修が始まった。
「なぁ、浩介知っているか?」
「何がだよ」
「ここにはある伝説があるんだ。ほら最終日の夜にあるキャンプファイヤー」
「キャンプファイヤーがどうした」
「はぁ・・・・・・お前は何も知らないんだな」
と浜田に呆れられたが、浜田は俺のためにキャンプファイヤーについて説明をしてくれた。
浜田が言うには、最後のキャンプファイヤーでマシュマロを焼く際、異性のマシュマロを貰うと、その女性と結ばれると言う噂だ。
所詮は噂程度。
何とも、馬鹿馬鹿しい噂だ。
一体、誰がそんな噂を信じるものか
「もしかしたら、山岸さんのマシュマロを貰えたりしてな……」
そんなわけないだろう。
第一、山岸がそんな噂を信じているかも分からないし。
「なんだよ、浩介~。今日も機嫌が悪いな~」
そうやってベタベタとくっついてくると余計にイライラする。
それと、酔い止めのみ忘れて、俺は気分が悪いんだ。
だから、そんなに俺にくっついていると、大惨事になるぞ。
そして、バスに揺られること数時間。
俺達はついに目的についた。
ついた俺達はまず、荷物を宿舎に置きに行き、
その後は、入校式みたいな式をやった。
そして、気づけば、昼ご飯の時間だ。
今日は雲一つもない快晴。
「おーい初瀬君~」
「な、なんですか、瀬奈さん!」
「鶫が一緒にお昼ご飯を食べようだって、ほらほら、行ってあげなよ!」
と瀬奈さんに背中を押され続け、俺は山岸の所へ
「こう君どうしたの?」
あれ?なんか思っていた反応と違うけど!
瀬奈さん!
「朗報だよ鶫!なんと瀬奈君が、一緒にお昼ご飯を食べてくれるそうです!」
「あれ?鶫!?」
山岸は固まった。
瀬奈さんが「おーい」と呼び掛けても反応を示すどころか、瞬きさえしてない。
「あははは……どうやら鶫固まったね。私が誘っておいて悪んだけど、他の人と食べてくれないかな?鶫は私がなんとかしておくから」
と瀬奈さんに言われた以上は、山岸とご飯を食べる事はなくなった
「おいおい、泣く事じゃないだろ」
「う、うるさい」
お前には分からないだろうな!?
好きな人と食べることが出来なかった事が、どんだけ悔しいのか!?
悔しい思いをすることになった俺初日の研修。
だが、これから、色々イベントが起きるのだが、俺はまだ知らない。
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