4 愛情弁当
山岸に嫌われた日から、少し日にちが立った。
そんなある日のこと。
俺は東雲先輩に呼び出しを受けた。
「初瀬君、後で渡したいものがありますので、次の休み時間に生徒会室へ来てください」
学校では赤の他人のように振舞うと言っていたそばから、俺を生徒室に呼び出す、東雲先輩に色々と言いたいところが、あるが……
一体、何の用だろうか?
人気がないと言うのを確認してから、俺は生徒会室へ入った。
そして、生徒会室には、凛々しく立つ東雲先輩が居た。
流石、次期生徒会長候補。なんだか、会長としての威厳を感じる。
俺が来たことを気づいた、東雲先輩は俺の所へ来た。
すると
「ごめんなさい、初瀬君!」
と突然、謝った東雲先輩。
東雲さんが謝る事なんて何にも無いのに……
「いいえ、私は貴方とした約束を破ってしまいました。学校では、赤の他人で振る舞います的な事を言っていたそばから、こうやって、初瀬君と密会してしまいました。そして、これ……」
俺は東雲先輩からお弁当を受け取った。
それも、二段弁当だ。
「こう言うのも駄目だと思っています。だけど、初瀬君に対する気持ちを抑えられないのです。だから受け取って食べてください!そして、今度私に会ったときは正直な感想を私に教えてください!」
そう言い残し、東雲先輩は生徒会室から出て行ってしまった。
――昼休み――
誰も居ない場所で俺は、お弁当を食べることにした。
さて、どんな弁当が……
俺は中身を開け、驚愕した。
な、なんなんだこのお弁当は……
滅茶苦茶、おかずは多いし、中にはステーキとか入っている!
それと、この下の白飯!
ハートマークまで書かれている!
でも味はうまい!
特にこの弁当に入っている肉じゃがは、今まで食べた肉じゃがの中でも一番美味しい!
こうして、お弁当を一人で堪能した俺は、教室へ向かった。
いや~、東雲先輩のお弁当マジでうまかった!
また機会があれば、食べたいものだ。
「ちょっと!初瀬君!探したわよ!も!どこ行っていたのよ!」
なんだか、不機嫌な瀬奈さん
一体、俺が何をしたと言うのか?
「鶫が初瀬君のこと探していたよ!」
えっ?山岸が……
「ちょっとまだ話は終わってない!」
瀬奈さんを放置し、俺は山岸を捜しに行く
あの日、以来から山岸とは距離感があった。
顔は見ることがあるが、一言を話すことがなかった。
だから、これはチャンスなんだ!
「山岸!」
「こう君!」
久しぶりの会話だが、案外緊張しないもんだ……
「あの、山岸、そのー話は瀬奈さんから聞いたが……」
「あっ、うん……」
「おぉ!浩介!」
と呼ばれたが、どうしてお前がいる
浜田!!!!!
そこには浜田がいた。
そして、浜田はある物を持っているが、まさか……
「いや~、山岸さんの手作り弁当は最高だったよ」
今なんて……
「だから、山岸さんの手作り弁当」
てめぇ!一体誰の許可を取って山岸のお弁当を食べていやがるんだよ!
てか、なぜおまえが、山岸の弁当を食べているんだよ!
「だって、お前が居なかったし、それに山岸さんがくれるっていうからよ」
「ごめんね、こうくん」
なんて、不運なんだ……
山岸の手作り弁当を逃すとは……
俺は不幸な人間だ
「おい、そんなに落ち込むなよ」
お前には、5枚くらい作文にまとめて、山岸の手作り弁当を食べた感想を書かせてやる!
食べ物の恨みは怖いことを思い知らせてやる!
「こう君……」
「ほら!鶫、今がチャンスだよ!」
「あ、愛梨ちゃん!」
瀬奈さんと山岸がこそこそ何か喋っている……
「鶫!あんた今、言わないでどうするのよ!今がチャンスでしょ!ほら、もし良かったらまた今度、作ってあげようか?てきな事を言うだけじゃん!」
「む、無理だよ!」
「あぁー!じれったい!初瀬君!鶫からお話があるようです!」
えっ、山岸からお話?……
一体、なんだろう
「あ、あのこう君。その……よ、良かったらまた、お弁当作るよ!」
えっ、今なんて?
俺の聞き間違えじゃなければ、またお弁当を作ってくれるって
「ほらどうするの!?」
「それは」
勿論、作ってもらう以外の選択肢はない!
「山岸、またお弁当を頼んでもいいか?」
「うん」
「ほら、鶫。頑張りなさいよ」
「うん!」
「良かったな、浩介。ふぅ~これで一件落着」
お前には、まだ作文の刑が残っている。
だから、お前だけは一件落着はしてない。
「こう君!私頑張るから楽しみにしていてね!」
うん、楽しみにしていますよ。瀬奈さん!
「ちょっと愛梨ちゃん!やめてよ!」
「どう、鶫のモノマネ似ていた?」
「うん、似ていましたよ」
「もう!こう君まで!」
なんだかんだったが、山岸にまた手作り弁当を作ってもらう事になった俺。
俺はその日まで楽しみにするのであった。
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