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トレーニングの後
俺と東雲先輩は、一緒に共同している家(愛のすみか)にいた。
これは、俺と東雲先輩で約束した決まり事で、休日は二人で愛を育む。
だが……
「私の愛がこもったオムライス良かったら食べてください!東雲様」
東雲先輩と二人っきりの休日だと思いきや、何故か、犬飼さん(邪魔者)がこの家にいる状況だ。
「犬飼さん。なぜ、ここに居るのですか?」
「東雲様をこの輩から守るためです!」
と誇らしげに言うが、東雲先輩はとても怖い顔をしている。
この雰囲気的に絶対に怒らせてはならないと思うが……
「犬飼さん。帰ってくれます?はっきり言って邪魔です」
犬飼さんに対して、冷たい表情で見下す東雲先輩。
なんだか、とても様になっている。
一方、犬飼さんは、目をウルウルさせなが、犬飼さんにしがみつく。
「そんな!せっかく、お昼ご飯の、オムライスを作りに来てあげたのに!」
「私は、犬飼さんに料理をお願いしたつもりはありません。それとわざわざくっいて来ないでくれます?!」
「そんなこと言って、本当は私が料理を作ってくれて、ほっとしていませんか!」
「そ、そんなことはありません!一応、料理も作れますし……まぁ、犬飼さんほどでは無いかも知れませんが……」
すると、犬飼さんの態度が一変した。
「えっ、今なんて〜?」
「べ、別になんでも」
「えぇー今、私より料理が下手くそとか言っていたような気がしますが〜」
「そ、そんなこと!」
「あー本当ですかね〜」
とニヤニヤと笑い、東雲先輩を煽る犬飼さん。
東雲先輩は、今にも怒りそうだが……
犬飼さん……東雲先輩を怒らせて、メイド解雇されても知らないぞ……
そして、その挑発に対して東雲先輩は乗ってしまったのだ。
「じぁ!私と料理対決をしましょう。私が犬飼さんより、美味しい料理を作れることを証明しますよ!」
「東雲様みたいに庶民的な味しか作れない人なんて、私の相手にはなりませんが、いいですよ」
東雲先輩は、顔を膨らまし、まるでフグのようだ。
だけど、そんな東雲先輩もとても可愛い……!
「初瀬君!」
鋭い視線を向けられた俺。
そして、東雲先輩の顔が近づいてくる……
なんか、悪いことでも言ったのだろうか
「忖度は要らないので、どっちの料理が美味しいか審査してください!」
「もしも、忖度したらわかりますよね?」
「はい……」
と言う事で、東雲先輩vs犬飼さんのバトルが始まった。
「では、バトル飯は、オムライスと言う事で、審査員の初瀬様が美味しいと査定した方が勝ちにしましょう」
「いいですけど、それではつまらないので、何か罰ゲームをつけませんか?」
と強気な東雲先輩だが、大丈夫なのだろうか?
相手は犬飼さん。正直言って東雲先輩に勝機なんてないような気がするが……
「では、負けた方は今日一日、その人の言いなりになるというのはどうでしょうか?」
「えぇ、望むところです」
「なら、勝負を始めましょう」
こうして、犬飼さんvs東雲先輩のオムライスバトルが始まった。
「初瀬様。私が満足させるオムライスを作りますので少々お待ちくださいね」
と言い、犬飼さんは手際よくオムライスを作っているようだ。
一方、東雲先輩も負けていないようだ。
「初瀬君、私も丹精を込めて作りますので、応援よろしくお願いします」
東雲先輩は楽しそうにオムライスを作っている。
一体、二人はどんなオムライスを出してくるのか……とても楽しみだ。
――数分後――
二人はオムライスを作り終わった。
「まず、私のオムライスを食べてください!」
と犬飼さんに言われ、俺は犬飼さん特製のオムライスを食べた。
「どうですか?」
「ものすごく、上手いです……」
この卵のふわふわは一体どうなっているんだ……
今まで、食べたことのないオムライスだ。
恐るべし、東雲家のメイド
スプーンの手が止まらず、俺はあっという間にオムライスを食べてしまっていた。
「初瀬様が、私のオムライスを完食しましたよ~もう、これで、私の勝ちですよね?」
「まだ、私は出してませんよ」
東雲先輩はオムライスを出した。
犬飼さんのはとても美味しかったが、東雲先輩のは、どうだろうか
見た目は普通のオムライスて言う感じだ。
「ちょっと待ってください!」
すると、東雲先輩はケチャップをかけ始めた。
そして、ハートマークを作ると、今度はスプーンで、オムライスをすくった。
「正直言って、犬飼さんより、上手くはありません。ですが、初瀬君に対する思いは負けませんから……ほ、ほら早く食べて下さい……初瀬君とはいえ、こう言うのをやるのは恥ずかしいので……」
東雲先輩がスプーンですくってくれたオムライスを俺は食べた。
「ど、どうですか?」
「うん、美味しいです」
だけど、至って普通のオムライスだ。
はっきり言って、犬飼さんのオムライスの方が断然に美味しい。
結果は言うまでもない。
「では、結果発表!さぁさぁ、初瀬様!私のオムライスと東雲様のオムライスどっちが美味しかったですか?まぁ、言うまでもなく……」
「東雲先輩」
「えっ?ちょ、ちょっと何を言っているのですか……私のオムライスはかなりの自信作で!」
「確かに、東雲先輩のオムライスを超えていました」
「じゃあ、どうでして!」
「愛情がないからです。確かに犬飼さんのオムライスは美味しかった。ですが、ただ勝負のためにしか作られていないものだと感じました。ですが、東雲先輩は違った。東雲先輩のは愛があった。その証拠に犬飼さんがいる前で、あんなことをしてくれた。」
「初瀬君……」
「なるほど……初瀬君らしい選択肢ですね……」
すると、東雲先輩を見る。
「私の負けです。色々と生意気なことを言って、申し訳ありません。さぁ、東雲先輩、何でも言う事を聞きますので何なりとお申し付けください……」
負けた犬飼さんはとても落ち込んでいた。
「では、犬飼さんは、お昼ご飯を私達と過ごした後、この家から出て行って下さい」
「分かりました……東雲様達とお昼ご飯を食べた後、この家から……えっ!今なんと……」
「だから、私達とお昼ごはんでも、食べてから」
「えっ?よろしいですか?」
「勿論」
「し、東雲様!すみませんでした〜わ、私東雲先輩に失礼なことをしたのに、こんなご褒美を貰えるなんて〜」
と泣きながら抱きつく犬飼さん。
そんな犬飼さんに、対して「そんな大袈裟な」と少し、呆れる東雲先輩だった。
ともあれ、俺達は仲良くオムライスを食べる事に
「どうですか、私のオムライス?」
「うん、美味しいです」
「ならこのまま、私と結婚でもいかがでしょうか!そうすれば!」
「結構です」
「東雲様~」
と犬飼さんは泣きながら、東雲先輩が作っただろうオムライスをばくばくと食べていた。
「時に初瀬君。その、私のオムライスは本当にお口に合いますか?」
「はい、とても美味しいです」
「そうですか……」
とほほ笑む東雲さんがとても可愛らしい。
こうして、オムライスを食べた俺達。
犬飼さんは約束通り、俺達の家から出て行った。
そして、俺と東雲さんは共に時間を過ごすのであった。
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